昼食難民の新書生活

(新宿・秋葉原・芝浦など各地でのランチと読書)

ロースとんかつ定食@みのや(東十条)

王子方面に行ったので、久しぶりに東十条のとんかつ店「みのや」へ。

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13時近くに入店すると、カウンター7席、4人がけテーブル3卓、2人がけテーブル1卓の清潔な店内に先客は7人ほどだった。

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ワンコイン500円のロースとんかつ定食で有名な店だったけど、「原材料費の高騰のため」として550円に値上げされていた。

「ロースとんかつ定食(550円)」を注文した。50代の店主が調理を担当し、妻らしい女性がホール係、20代の青年がご飯、80代くらいの老婆が豚汁を担当している。家族経営なのだろう。だから、低価格でとんかつ定食を提供できるのか。

食べ終わったお客が出ていくと、次々に新しいお客が入ってくる。女性の1人客もいる。

10分ほどで料理が供された。

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かつは、長さ16〜17センチ幅8センチほどで、以前に比べ千切りキャベツとマカロニサラダの量が増えているようだ。

豚汁にも豚細切れとキャベツがたっぷり入っている。

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肉の厚さは8ミリほど。嫌な獣臭はなく、片面に胡椒がたっぷりふりかけてあって美味しい。ラードの甘い香りをまとった衣がバリバリと固くて、口の中を傷つけてしまった。

真夏には、ちょっと塩っぱい豚汁が嬉しい。

ご飯は大盛りなので女性や少食の方は「少なめ」でお願いしたほうがいいだろう。

50円値上げしても、これで550円は素晴らしいとしか言いようがない。


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◆希望支払金額:700円(ワンコインちょっとで立派なとんかつ定食)
◆費用対効果度:127%(700円/550円)


みのや(東十条)
住所:
東京都北区中十条3-17-4
営業時間:11:00〜14:00 17:00〜22:00
定休日:日曜日

※JR京浜東北線東十条駅北口を出て左に進み、階段を昇って狭い路地を50メートルほど進んだ右手に店はある。

→ 前回訪問したときの「ロースとんかつ定食@みのや(東十条)」

→ 【地域別】とんかつ店リスト
→ 【価格別】とんかつリスト
→ 【とんかつランキング】

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『「農民画家」ミレーの真実』井手洋一郎(NHK出版新書 427)

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『「農民画家」ミレーの真実』井手洋一郎(NHK出版新書 427)


著者は、府中市美術館館長で美術評論家。1997年に山梨県がミレーの「種をまく人」と「夕暮れに羊を連れ帰る羊飼い」を購入した翌年に山梨県立美術館に学芸員として就職し、開館以来10年間にわたって「ミレー番」としてミレー作品の世話をした。

本書は、ミレーの代表作が描かれた時代背景と、図像学的側面からミレーの綿密な技法を解説するとともに、清貧の「農民画家」として日米で偶像化されたミレーの実体に迫る評伝になっている。

【目次】

第1章 〈種をまく人〉がまいているのは何か?—ミレーの革新性
 一 ミレーによる「農民画」の改革
 二 〈種をまく人〉の衝撃
 三 二つの〈種をまく人〉の謎
第2章 ミレーの生涯と画業の変遷—ミレーの多様性
 一 グレヴィルの日々—ミレーの原風景
 二 シェルブール、パリ—苦難の日々と肖像画家としての研鑽
 三 二月革命でつかんだチャンス—歴史画から農民画へ
 四 バルビゾン前期—農民画代表作の誕生
 五 バルビゾン後期—風景画の新境地と名声
 六 晩年—最後の「四季」から印象主義の先駆へ
第3章 ミレーは本当に清貧か?—ミレー神話の形成過程
 一 ミレー・ブームを作ったアメリカ
 二 サンスィエの「ミレー伝」、神話と真実
 三 日本におけるミレー神話
第4章 さまよえる魂の画家—ミレーの現代性
 一 「現代画家」としてのミレーの素顔
 二 人間の疎外とミレーの世界性


ミレーは、1814年にフランスのノルマンディー地方に生まれ、1875年にパリ郊外のバルビゾン村で亡くなっている。ミレーが生きた19世紀初頭から後半のフランスは、七月王政の時代を経て産業革命の勃興による労働者主体の二月革命が起こるも、ナポレオン3世によって第二帝政となり、次に普仏戦争によって第三共和政となったように、王政と共和政が交互に入れ替わる激動の時代だった。

パリで「第一回印象派展」が開催されたのは、ミレーの亡くなる1年前の1874年4月のことだった。モネ、ドガ、ルノアールらが参加した私的な展示会で、サロン(官展)に落選した作品を集めた「落選展」だった。一方、彼らよりは一世代上のミレーは、サロン展に何度も当選し、晩年には第1位も受賞している。

ミレーは農家の長男として生まれている。しかし、19歳で故郷を離れて以来、農民だったことはなく、あくまで農民を描く「農民画」の画家だった。しかもミレーの描いた約400点の油絵のうち、農民中心の構図は100点に満たず、それ以上に肖像画や風景画を描き、聖書や神話が主題の歴史画、風俗画、静物画も描いたが、代表作とされるのは農民を描いた一連の作品だ。

ミレーが1850年のサロン展に「種をまく人」を出品したのは、革命的な事件だった。それまでも農民画はあったが、1人の農民をアップで描いた絵画はなかったからだ。大股で歩きながら種をまく農夫の力強さから「霰弾をまいている」と評した人もいたほどだった。さらに、画面を厚塗りにしたことも、薄塗りの新古典派の技法に反して革新的だった。

当時ミレーはバルビゾン村に住んでいたが、描かれた斜面は故郷のノルマンディーを思わせ、まいているのは蕎麦の種と推察されると著者はいう。ノルマンディーでは、荒野でも育つ蕎麦が主食となっていたからだ。豪奢を極めるパリっ子たちにミレーは、貧困にあえぎながらも力強く生きている農民の姿を見せつけたのだ。

実はミレーは5点の「種をまく人」を描いたという。1840年に描かれた作品はすでに失われ、1847〜1848年に描かれたのは、縦長のキャンバスに描かれた「種をまく人」。そして、1950年にボストン美術館版と山梨県立美術館版の2点を描き、最後に未完成作のカーネギー美術館版を描いている。

種をまく人
左が山梨版、右がボストン版

このうちボストン美術館版と山梨県立美術館版のどちらかがサロンに出展されたはずだが、どちらが出品されたのかはっきりしないらしい。

1984年から1985年にかけて、日本各地で開催された「ミレー展 ボストン美術館蔵」と題した展覧会では、ボストン版と山梨版を並べて展示され、1985年4月に山梨県立美術館でどちらがサロン展に出品されたかという問題を巡ってシンポジウムが開催された。ボストン側は学芸部長補佐のアレクサンドラ・マーフィー、山梨側は「ミレー番」学芸員の著者が、一騎打ちで論争することになった。

著者は、X線写真で現れた下絵に描かれた人体各部が現在の山梨版よりもボストン版に近いことなどから、山梨版が後から描かれたことを証明した。さらに、ミレーの友人であり、マネージャー兼作品ディーラーでミレーの伝記作家アルフレッド・サンスィエが、1850年に描かれた「種をまく人」2点のうち、後に描いた方をサロンに出品した、と伝記に書いていることから、著者は山梨版がサロン展出品作だと主張した。これに対して、ボストン側は様式比較などによってボストン版の方がサロン出品作にふさわしい、と主張した。

X線分析という客観的証拠によって山梨版に軍配が上がるかと思われた。しかし、ミレー研究の権威であるロバート・ハーバート教授は、山梨版を所有したサンスィエが売却の際にサロン出品作だと主張していないこと、ボストン版はボストンにもたらされて以来サロン展出品作と呼ばれてきたことから、山梨版が後に描かれたとしてもサロン展出品作ではなかった、とボストン説を擁護したという。

マーフィーは現在でもことあるごとにボストン版がサロン展出品作であると主張しているが、結局はどちらがサロン展出品作かはわからないのだ。

「落ち穂拾い」の解説も面白い。ミレーは「落ち穂拾い」も何度も描いているが、1857年にサロン展に出品した「落ち穂拾い」は特別だ。

落ち穂拾い

落ち穂拾いという行為は、フランスでは古くから農村の互助的風習として行われていた。その際、零細農民には、地主の麦畑の収穫を手伝う手間賃が支払われ、さらに生産物の1割を占める落ち穂を拾う権利が認められていた。

しかし、1854年、第二帝政期に貴族階級を中心とする地主たちがこれに物言いをつけたのだ。2年間の論議の末、落ち穂拾いは、日没前に女性と子供が監視人付きで行うなどの制限が付くようになった。

サロン展に出品された「落ち穂拾い」は、3人の女性たちが、拾うべき落ち穂がほどんどないような畑で、日中に堂々と落ち穂を拾っている。つまり、落ち穂拾いという権利を奪われた農民の姿を描いているのだ。評価は、「ボロを着た案山子」「貧弱」「醜悪」「粗雑」「平板」「傲慢」という悪評と、「崇高さと晴朗さ」「農夫の美徳である勤勉な忍耐」という過大な賛辞に別れた。

著者は、構図分析によってこの作品が巧みな視線誘導で「大地に生きる農民」の姿を描いていることを示している。この絵は二等辺三角形を基本構図としていて、対角線上の平行線内にモチーフが納まるように計算されているという。3人が持つ落ち穂の束は右下から左上へと対角線上に並び、左上の大きな積み藁にたどり着く。中央と右の農婦の顔を結んだ延長線上には、馬上で命令している監視人が描かれ、彼女たちが監視下にあることを示しているのだ。

夕暮れの畑で祈る若い夫婦を描いた「晩鐘」も不思議な作品だ。

晩鐘

アメリカ人美術コレクターのトマス・ゴールド・アップルトンの依頼で描かれたこの絵は、鐘の音と祈りをテーマにしている。しかし、遠くに教会の尖塔は描かれているものの、キリスト像やマリア像、十字架といったアイコンは描かれず、カトリックの宗教画の形式を放棄した構図になっている。著者は、プロテスタントであるアップルトンの指示で宗教や宗派を問わない「ユニバーサルな祈り」の作品として描かれたとしている。堅苦しい宗教臭がないから、宗教とは離れた「祈り」の絵画として世界中で受け入れられることになったのだ。

夫婦はいったい何を祈っているのか。著者の仮説は「馬鈴薯の収穫」だというものだ。小麦が採れない地域のフランス農民は蕎麦や燕麦を主食にしていたが、それも食べられない場合にはじゃがいもで代用したという貧しい状況を、同じくじゃがいもを主食にしていた開拓時代のアメリカの生活になぞらえて描き、ボストンの富裕層向けに節約の美徳を表す効果を狙った郷愁的教訓画である、としている。

ミレーは農家の長男だったが、絵の才能を活かすために故郷を捨て、家族を捨てた漂泊者としてバルビゾン村で暮らした。しかし、そこで描いた風景画は平坦なバルビゾンの農地ではなく、傾斜のきつい故郷ノルマンディーの農地であり、ノルマンディーの農民たちだった。故郷や家族は捨てたが、心はノルマンディーから離れることはなかったのだ。

そうしたミレーの作品は、フランス国内よりもアメリカで人気を博した。「信仰・清貧・農民」というイメージは、ミレーのマネージャー兼作品ディーラーのサンスィエが書いたミレーの伝記で捏造されたという。それはアメリカのピューリタン精神に受け入れやすかったため、アメリカ人は捏造されたミレー像をさらに増幅して愛した。

そして、明治末期から大正にかけて日本でミレーが「偉人」として受け入れられ、数々の偉人伝に「清貧の農民画家」として書かれたのも、そのアメリカの影響下にあったためだ。

ミレーは古典派から印象派の端境期にあって、さまざまな技法にチャレンジしながら革新的な画法によって描いたが、フランス国内では人気が出なかった。著者は、フランス人が外国人には見せたくないフランスの野暮ったさや前近代的な姿を描いたからではないかと推察している。

最近では、アメリカと日本に続いて、韓国・台湾・中国などのアジア諸国でもミレーの人気が高まっているという。

著者は、そこにかつて農業国だった国々で、ミレーの絵が公害のない穏やかな田園時代のユートピアとして捉えられていると見る。2010年の上海国際博覧会で展示された「晩鐘」、2012年に上海中華芸術宮(国立美術館)の落成を記念して展示された「落ち穂拾い」の圧倒的人気に、日本で公害が最もひどかった1960〜1970年代に同じくミレー・ブームが起こったことと重なるという。世界でミレーが「脱工業化のシンボル」と捉えられているのだ。



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カオマンガイ@ガイトーンTOKYO

渋谷の「ガイトーンTOKYO」へ。

この店は、バンコクのプラトゥーナムにある「ガイトーン・プラトゥーナム」の日本進出1号店。スタッフがピンク色の制服を着ているので現地では「ピンクのカオマンガイ」と呼ばれる有名店だ。

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閉店時間の15時近くに行ったのに満席でちょっと外で待つことに。

店内は2人がけテーブル10卓と狭く、テイクアウトもやっている。

メニューはとてもシンプルで、提供している料理はカオマンガイ(カーオマンガイ)1品だけ。

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「カオマンガイ並盛り(700円)」を注文し、辛いソースをお願いすると、3〜4分ほどで料理が供された。

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あれ、パクチーがない?

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いえいえ、ブリキのカップにぎっしり詰まったパクチーがちゃんと先に供されたのでした。

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鶏肉は若鳥らしく軽い味で、少しパサついている。

鶏ガラスープで炊いたご飯はかなり長い長粒米で、スープから丁寧に脂を除いたらしくさっぱりしているけど、鶏の旨みをしっかり含んでとても美味しい。でも、カーオ・ホー厶・マリ(香り米:ジャスミンライス)ではないようだ。タイでもざっかけなファストフードなので、細かいことは言わずにワシワシ食べれよう。

ソースには、ぶつ切りの青唐辛子とショウガが入っていて、鶏とご飯にかけると、それぞれの旨みが何倍にも増してとても美味しい。

それにしてもパクチーの量が多い。100gくらいはありそうだから、スーパーで買えばこれだけで200〜300円になるだろう。パクチーを有料にしている店もあるほどだから良心的だ。

ほとんどのお客は生野菜サラダのようにムシャムシャと全部食べていた。でも、タイ人はこんなことしないな。パクチーは薬味だもの。

ご飯が少なめなので、男性は+50円の大盛りを頼んだほうが良いかもしれない。


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◆希望支払金額:800円(本場の味のカーオマンガイに山盛りのパクチー)
◆費用対効果度:114%(800円/700円)

ガイトーンTOKYO
住所:東京都渋谷区渋谷3-15-2
営業時間:11:00〜15:00 17:00〜23:00
定休日:なし

※JR山手線渋谷駅の東口を出て、右に明治通りを南下する。500メートルほど歩いた右側に店はある。

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『エピジェネティクス―新しい生命像をえがく』仲野 徹(岩波新書 1484)

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『エピジェネティクス―新しい生命像をえがく仲野 徹(岩波新書 1484)


エピジェネティクスは、ゲノム中心の生命観を変えるかもしれない生命科学の新しい概念であり、著者は大阪大学大学院教授でその研究者。

エピジェネティクスは、生命現象の根源的な現象の1つであり、病気の発症にも重要な役割を果たしており、創薬のターゲットとしても脚光を浴びている。ところが、著者はこれまでマスコミの取材を受けてもなかなか記事にされないことに不満をもっていたという。エピジェネティクスはわかりにくく、一般向けにエピジェネティクスを紹介する本が少ないからだ。

そこで本書では、エピジェネティクスの概念、分子レベルでの制御機構、生物における役割、発生や病気における重要性、さらには今後の展開までを解説している。

【目次】

序章 ヘップバーンと球根
第1章 巨人の肩から遠眼鏡で
第2章 エピジェネティクスの分子基盤
第3章 さまざまな生命現象とエピジェネティクス
第4章 病気とエピジェネティクス
第5章 エピジェネティクスを考える
終章 新しい生命像をえがく


エピジェネティクスは、イギリスの発生生物学者コンラッド・ウォディントンが1942年に提案した用語で、「エピジェネシス(後成説)」と「ジェネティクス(遺伝学)」の複合語。しかし、エピジェネティクスの研究が盛んになったのはゲノムの解析が進んだ2000年以降で、わが国でエピジェネティクスの専門学会である日本エピジェネティック研究会は、わずか8年前の2006年12月に設立されたばかりという新しい研究領域である。

エピジェネティクスとは、「遺伝物質からはじまり最終的な生物を形づくるすべての制御された過程の研究」のことで、2008年に次のように定義されているという。

エピジェネティクスな特性とは、DNAの塩基配列の変化をともなわずに、染色体における変化によって生じる、安定的に受け継がれうる表現型である。

わかりやすいのは一卵性双生児だ。まったく同一のゲノムを持っている一卵性双生児でも、コピーのようにまったく同じではなく容姿は微妙に異なる。指紋も似てはいるが異なる。 「DNA→複製→DNA→転写→RNA→翻訳→タンパク」という分子生物学のセントラルドグマからすれば、ゲノムに記録されている情報に基づいてまったく同じ表現型(容姿)になるはずだが実際には微妙に異なる。

1944年にオランダはドイツ軍によって深刻な飢餓状態に陥ったという。そのさなかに妊娠中の女性もたくさんいて、胎生後期に飢餓を経験して生まれた赤ちゃんは体重が極度に低く病弱な子供になった。飢餓が胎生前期だった赤ちゃんはおおむね正常な体重で生まれたが、半世紀後の疫学調査で高血圧・心筋梗塞などの冠動脈疾患や2型糖尿病などの生活習慣病や統合失調症などの神経精神疾患の罹患率が高かった。

また、イギリスで生まれたときの体重と中年になってからの疾病の関係について疫学調査をおこなったところ、生まれたときの体重が低いほど、高血圧や糖尿病といった生活習慣病のリスクが高いことがわかったという。

この2つの現象は、胎児期に充分な栄養がない場合、できるだけ栄養を取り込むように適応したからではないかと解釈されている。しかも、50年という長期にわたって「記憶」が体に刻み込まれている理由は、遺伝でもDNAの塩基配列の異常でもなかった。ゲノムに上書きされた情報であり、そのメカニズムがエピジェネティクスなのだ。

DNAが突然変異を起こさないのに遺伝情報が変わってしまうのは、DNAのメチル化とヒストン修飾という化学的結合によって遺伝子の発現が制御されるためである。

DNAメチル化とは、DNAのシトシンにメチル基が結合することで、DNAの転写が抑制され遺伝子発現が抑制されること。

DNAをテキスト情報とすると、メチル化によってDNAの一部が「伏せ字」になった状態に喩えられる。ワープロソフトでいえば「二重線」のことだ。テキスト情報自体には変化がないので、「二重線」を消せば、また読めるようになる。

一方、ヒストン修飾というのは、DNAの二本鎖が巻き付いているタンパク質のヒストンにアセチル基などの化学物質が結合することで、「この遺伝子は読み出してください」「この遺伝子は読んでいはいけません」ということを示す「付箋」が付くことだという。これらも、DNAメチル化と同様にテキスト情報自体に変化はなく、「付箋」は外すことができる。

ヒストン修飾には、アセチル化のほかメチル化、リン酸化、ユビキチン化などがあり、アセチル化すると遺伝子発現が活性化し、メチル化には活性化と抑制の2つの作用がある。

DNAとヒストンが化学的に変化することで表現型が変わるのは、秋まき小麦を低温で処理すると春まき小麦になる春化や、ミツバチが同一のゲノムを持つ卵から餌のローヤルゼリーの有無で働きバチと女王バチのまったく異なる成虫なることで説明されている。表現型は違うがゲノムは変化していないので、春まき小麦と女王バチが遺伝することはない。

発がんの仕組みについてもエピジェネティクスによる解明が進んでいる。

悪性腫瘍ではゲノム全体のDNA低メチル化と、特定領域のDNA高メチル化という特徴があることがわかっているのだ。特定領域のDNA高メチル化によって、がん抑制遺伝子の発現が抑制され、ブレーキが壊れた状態になっているという。また、白血病や悪性リンパ腫のゲノム解析では、9割の症例でヒストン修飾の異常が見つかっている。

こうしたことから、DNAメチル化を新しいがん診断マーカーとして使用することが可能になっていて、ヨーロッパでは大腸がんの診断がスタートしている。また、前立腺がんについてもPSA(前立腺特異抗体)と組み合わせてスクリーニングする方法が研究されている。

DNAの突然変異を正常化することは不可能だが、DNAメチル化というエピジェネティクスな異常は薬剤で操作することが可能だ。そこで、がん治療に利用しようという研究も進んでいる。骨髄異形成症候群に対してDNAメチル化の阻害剤アザシジンを投与する治療法だ。また、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤についても研究が進んでいるという。これが、エピジェネティクスによる創薬の可能性だ。

エピジェネティクスは、生命活動のあらゆる分野に関わっているが、まだまだ端緒についたばかりの研究分野でわからないことも多く、可能性は無限のようだが新しい分野だけに五里霧中だったり試行錯誤も数少ないのだ。



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カオマンガイ@プァンタイ 大久保店

大久保にあるタイ料理店「プァンタイ 大久保店」へ。

この店は、JR中央線大久保駅と西新宿をつなぐ路地にある。元々、ここには「ムアンタイ」というタイ料理店があって、目白に本店のある「プァンタイ」が居抜きで入ったらしい。

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15時近くに店を訪れると、4人がけテーブル4卓、2人がけテーブル3卓の店内に、先客はいなかった。

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専門学校が立ち並ぶ地域なので、リーズナブルな料金になっている。

「カオマンガイ(750円)」を注文すると、10分ほどで料理が供された。

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ご飯がとても美味しいけど、バターの香りがする。そして色ムラがあるので、この店も鶏ガラスープで炊いたご飯ではなく、魔法のカオマンガイ粉をかけて炒めたチャーハンかもしれない。なんちゃってカオマンガイかな。

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鶏肉は柔らかくて美味しい。

よく煮込んだ野菜の入ったスープが美味しい。


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◆希望支払金額:750円(“なんちゃって”だけど美味しい)
◆費用対効果度:100%(750円/750円)

プァンタイ 大久保店
住所:東京都新宿区百人町1-24-10
営業時間:11:00~23:00(通し営業)
定休日:日曜日

※JR中央線大久保駅の南口を出て右に進み、斜め左に伸びる路地を150メートルほど歩いた左側に店はある。かつて紹介した「中華料理 日の出」の隣。


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