TOP > 2008年08月

昼食難民の新書生活

(新宿・秋葉原・芝浦など各地でのランチと読書)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『中国ビジネスはネーミングで決まる』莫邦富(平凡社新書)

中国ビジネスはネーミングで決まる


『中国ビジネスはネーミングで決まる』莫邦富(平凡社新書)

中国出身のジャーナリストによる中国におけるネーミングの話。

社名やブランド名の中国語表現に積極的な欧米企業に比べて、日本企業は日本語による発音や日本語流の表現に頑なにこだわる傾向があるという。漢字という共通の文字を使っていることが、逆に日本ブランドの中国語化を妨げているのだ。本来、社名やブランド名は、地元の消費者の心に効果的に迫るための手段であるはずだが、日本企業の場合には自己顕示欲を満たすための存在に陥っているという。

欧米企業が中国化を積極的に進めているのは、中国人の多くがローマ字を読めないことを知っているからだ。しかし、日本企業には英文社名や商品名をそのまま使っている企業が少なくない。それどころか、工場内に日本語のスローガンを掲示したり、日本語の壁新聞を貼っている会社もある。

上海に出店しているある百貨店は、数年前に「ありがとう10周年」と日本語でかかれた横断幕を店内に掲げたという。それを著者が指摘したところ、「あれは中国人スタッフが作った」とわざわざ伝えてきたので、著者が意見交換をしようとアドバイスを申し入れたところ、「企業戦略に関わる問題」と一蹴したらしい。何と愚かな。

また、あるスーパーはバーゲンセールの際に「大割引」と書いた赤い札を店内に7年間も下げていた。中国人には全く理解不能な単語なのに。味噌湯や茶椀蒸といった中国人には全く意味不明の料理名をメニューに載せている外食産業もあるという。

数年前から、中国では伝統文化や民俗文化への回帰現象が起こっており、中華モチーフが台頭している。製品名を中国人なら誰でも知っているような古い詩から言葉を採った消費材が増えたり、河南省洛陽郊外の旧跡竜門石窟に掲げられていた政治スローガンが消えて、『論語』や『詩経』など「四書五経」から採った言葉が掲げられている。

また、中国ではインターネットのドメイン名が「中国語.cn」が急速に増えているという。マイクロソフトが、2006年に「中文.cn」をOSで支援すると発表し、IE7.0は海賊版OSでもダウンロードできるようにしたことが、さらに普及を加速することになっている。

自国が世界の中心だと臆面もなく国名にしたエスノセントリズムの国だから、中国でビジネスを展開する企業は、今後はますます漢語の社名やブランド名を選択せざるを得なくなるだろう。

著者によれば、中国語ネーミングの手法は次の3つ。
(1)中国語読みしたときの発音が言語の発音に近く、かつ中国語としての意味をもっている。
(2)意味は関係なく発音が言語に合っている。
(3)発音にこだわらず意味をもたせている。

もちろん、理想的なのは(1)。おいしくて楽しいという意味のある可口可楽(コカ・コーラ、中国語発音はクーコウクーラー)が有名だが、ベンツの中国語ネーミングである奔馳(ベンチー)も疾走するという意味がある。また、日本の三得利(サントリー)や馬自達(マツダ)も優れているという。

手紙という単語は中国ではトイレットペーパーを意味するのは有名だが、日本と中国では全く違った意味になる単語もある。さらに、中国と日本では文化の違いも少なくない。文化の違いを充分に把握した上でネーミングを考えなければならないのだ。

著者はジャーナリストだが、かなり以前から外国企業が中国に進出した際に、社名やブランド名の中国語化をいかに展開するかを注目し、新聞紙上で日本企業に苦言を呈してきたという。本書を書いたことで、中国語ネーミングのアドバイザーやコンサルタントとしての仕事がますます増えることになるだろう。

本書は、中国におけるネーミング戦略のありかたというビジネス書であるとともに、異文化コミュニケーションにおける問題の紹介、そして著者の業務の宣伝という一石三鳥の本である。充分に面白かったから満足なのだけど。

関連記事
スポンサーサイト

焼きそば@フエサイ(ラオス)

タイとラオスは、国境線のほとんどがメコン川で接している。川幅は数十メートルのところもあれば、数百メートルのところもあり、あちこちに国境ゲートが設けられている。ただし、越境できるのはタイとラオスの国民だけのゲートがほとんどで、外国人が国境線を越えることができる場所はあまり多くはない。

タイ北部の町チェンコーンとメコン川を挟んでいるラオスのフエサイの国境ゲートが外国人にも門戸を開いたと聞いたのは10年ほど前のことだった。そこで、チェンコーンに向かった。チェンマイから5時間ほどバスに揺られ、夕方にはチェンコーンの町はずれのバス停に到着。代理店で70USドルの手数料を払い、翌朝、タイを出国し、小舟でメコン川を越えた。フエサイの出入国管理事務所ですぐにビザをもらえるはずだったが、いつまでたってもビザは発給されなかった。ついに、パスポートを取り上げられたまま、フエサイのホテルに宿泊して翌朝まで待つことになった。

犬と鶏の鳴き声がうるさくて、夜明けと同時に目覚めてしまった。パスポートを返してもらえるのは9時なので、しばらく付近を散歩する。フエサイは、街道沿いに500メートルほど町並みが続くだけの小さな町だった。小学校にさしかかると、始業前の子ども達が校庭で遊んでいた。男の子達はサッカー、女の子達は輪ゴムをつなげて「ゴム飛び」をしている。日本と同じ飛び方だった。「ゴム飛び」は日本では昭和初期からあったというが、この遊びは一体どうやってこの町に伝わったのだろう。

ラオス01

子ども達の写真を撮っていると、手に下げたビニル袋から何かを食べている子供がいる。それも1人や2人ではない。焼きそばやチャーハンをビニル袋から手づかみで食べたり、焼き鳥の串を囓っている。ビニル袋を手にした子ども達は、校舎の裏から出てくる。子ども達とは逆行して校舎の裏に回った。すると、小さな小屋がいくつも並んでいて、子ども達が群がっていた。

ラオス02

おばさん達が、小学生相手に駄菓子屋というか朝食屋を店開きしているのだ。焼きそばや焼き鳥は子ども達の朝食らしい。焼きそば、チャーハン、串に刺したウインナーソーセージ、鳥のつくねのようなものといった食事になるものから、お菓子、パイナップル、マンゴーなどなど、すべて1袋あるいは1串100キップ(約5円)だった。

ラオス03

空腹だったので、子供向けの朝食屋に混ぜてもらうことにした。1袋分の焼きそばでは少なすぎるので、2袋分の「焼きそば(約10円)」を注文した。ほんの微かに温かい焼きそばは、薄味でいくらでも食べられそうだった。

結局、24時間待たされたが、9時過ぎにようやくパスポートがビザ付きで返却されボート乗り場へ。フエサイから400キロほど離れた古都のルアンプラバンまで、スピードボートで移動するためだ。チェンコーンの代理店では、腰痛になるからスローボートで行ったほうが良いと言われたが、スピードボートならば5~6時間で到着するところ、スローボートでは1泊2日になってしまう。残念ながら、そんなにゆっくりする時間的余裕はない。

スピードボートは木造で、トヨタの2トントラック用エンジンが付いていた。前後50センチほどのスペースに膝を抱えて2列に座る。これでは誰でも腰痛になってしまう。しかも60キロという猛烈なスピードで川面を疾走するので、しっかり捕まっていないと振り落とされそうだった。競艇の船のようにバンバンと水面を叩いてジャンプしながら疾走する。途中で川を下ったり、登ったりしているスローボートとすれ違った。屋根付きで広いスローボートでは欧米人達がのんびり日光浴を楽しんでいた。我々の船には、ライフジャケットやヘルメットはなかったが、スピードボートに乗る際にはつけるものらしい。ヘルメットの使用目的は、頭の保護ではなく顔の保護。川面を時速60キロ以上で疾走するので、ヘルメットの風防がないと、微細な砂粒が顔に当たってチクチク痛いのだった。

ラオス04

先日のテレビで、黒柳徹子さんがカンボジアを訪れた番組を放送していたが、船の構造や搭載しているトラックのエンジン、塗装までそっくりのスピードボートに乗っていた。ラオスとカンボジアのどちらが先かわからないが、国が違い10年を経ても同様のボートが走っているのを見て懐かしかった。


タイ北部の町チェンコーン



関連記事

さば塩焼き定食@鐙(あぶみ)

そろそろ昼食を食べる店の「新規開拓」も飽きてきた。初めて入る店には、もとより期待はしていないが、事前の不安通りに美味しくない店が続くと、自然と安心できる店に足が向いてしまう。

そんな訳で、味はもちろん値段も量も納得の「鐙(あぶみ)」へ。

080708鐙

繁盛店のこの店は13時近くになっても、まだお客が多い。ちょうど食べ終わった客が支払い中だったので、ほとんど待たずに座ることができた。このところ揚げ物が多かったので、「さば塩焼き定食(680円)」を注文。

この店は、注文を受けてから魚を焼くのでしばらく待たされるが、もちろん何の不平も不満もない。「注文を受けてから魚を焼く」という当たり前のことをわざわざ書くのは、この辺りの居酒屋のランチではずいぶん前に焼いて冷め切った焼き魚を出す店が少なくないからだ。暖簾には「魚料理」と染め抜かれているのに、冷房でキンキンに冷えた焼き魚を平気で出すような居酒屋もある。料理人としての最低限の矜持というものはないのだろうか。

さば塩焼き定食680円@鐙

しばらく待つと、程よく焼けたさばの塩焼き定食が登場。漬け物も切り干し大根の煮付けもたっぷりある。熱々のさばを口に入れて、ご飯を頬張り、みそ汁をすする。日本人に生まれて良かった、と思える至福の瞬間だ。


居酒屋 鐙
東京都台東区上野1-2-5

地図googlemap

関連記事

ロースカツ定食@とんかつIKADA → 閉店

→ 【地域別】とんかつ店リスト
→ 【価格別】とんかつリスト
→ 【とんかつランキング】


京急線の青物横丁駅で降りた。東京に住む人でもあまり知らないかもしれないので説明すると、青物横丁はJR品川駅から南に2キロほど行ったところにある。江戸時代には、近郊の農家が野菜を露店で売ったのでこの地名になったらしい。昼時だったので東海道の旧道沿いにあるとんかつ屋の「とんかつIKADA」へ。

080827とんかつIKADA

店頭にコック姿のブタというナイスな看板がある。店内には、床に固定された分厚い一枚板で、6人掛けにはちょっと狭く4人掛けには充分広いテーブルと4人掛けのテーブルがそれぞれ3つずつ並んでいる。椅子は背もたれのあるベンチ。パブかステーキ屋のような、まるでとんかつ屋らしくない内装。

「ロースカツ定食(980円)」を注文。

080827ロースカツ定食980円@とんかつIKADA

やや大きめのトンカツは幅2~3ミリ程度の千切りキャベツに載っている。これでも千切りと呼ぶのだろうか。味に特徴はほとんどない。ごく普通のトンカツ。この辺りは物価が安いようなので、980円は高いような気がする。

固定されたテーブルの窓側に案内され、後から来た客が相席になると、出るときにとても困る。「IKADA」という店名と一枚板の固定されたテーブルは関係があるのだろうか。


とんかつIKADA ※すでに閉店したそうです。
東京都品川区南品川2-7-10

地図googlemap

関連記事

牛丼並@牛丼専門サンボ

JR秋葉原駅から上野方面に徒歩6~7分。中央通りから1本西の裏通りにパソコンのパーツやジャンク品を扱う店が並んでいる。その辺りを歩いていると、甘ったるく獣臭い香りが漂ってくる。独立系牛丼屋の「牛丼専門サンボ」があるからだ。

080827牛丼専門サンボ

看板も潔く「牛丼専門サンボ」としか書かれていない。ガラスの向こうに、男達が黙々と牛丼をかっ込む姿が見える。意を決して店内に。すると、さらに強烈な牛丼の香りが襲ってくる。

うっ、と堪えながら、「並とみそ汁、卵(500円)」を注文。

牛丼専門だから、メニューは至ってシンプル。並(400円)・大盛り(500円)・お皿(ご飯つき)450円・牛皿(ご飯つき)650円・みそ汁(50円)・卵(50円)。お皿と牛皿は、白滝と豆腐が入ったすき焼き風らしい。漬け物やサラダなど、余計なものは一切メニューにない。この店は牛丼専門だから。男らしいなあ。

080827牛丼並+みそ汁+卵500円@牛丼専門サンボ

待つこと数分で牛丼が登場。あっ、と驚くほど肉が多い。吉野屋や松屋の「並」の2倍以上はあるだろう。ご飯ももちろん多い。この店の「並」は、他店の「大盛り」サイズなのだ。しかし、味付けはそれほど濃くないので、無理なく食べられる。みそ汁も、油揚げと豆腐、若布がたっぷり入っていて、みそ汁というよりも味噌煮込みという感じ。この充実感がたった500円、ワンコインなのだ。元気なときにまた食べに来よう。


牛丼専門サンボ
東京都千代田区外神田3-14-4

地図googlemap

関連記事

天丼セット@川中島うどん店

霧雨の降るなかを昼飯場所を求めていつものように彷徨う。
地下鉄湯島駅6番出口を出てすぐ左側のうどん店の暖簾に惹かれて入ってみた。

080826川中島うどん店

暖簾には大きく「讃岐うどん」と染め抜かれていた。上の看板を見ると、店名は「川中島うどん店」。以前、入ったことのある隣の「鳥やき 川中島」と同じ「しゃぶとカジュアル割烹」の川中島グループの店らしい。

うどん屋だけどちょっとだけ「保険」をかけてセットものにすることにした。「天丼セット(690円)」を注文すると、天ぷらを揚げている最中だったらしく、「天丼セットは少々お待ち下さい」と言われる。ほぼ同時に来店した客たちが、きつねうどんや山菜うどんを注文していたが、料理はあっというまに提供されていた。この店は、川中島グループの店らしく客を待たせないというのがモットーらしい。うどん専門店だけど、「立ち食いうどん店」ということか。

店内を観察すると、低めのカウンターと床に固定した丸椅子からは「ラーメン店」という印象。元々はラーメン店だったのではないか。メニューはうどん類が中心で、天丼セットのほかとろろ定食やチキンカレーセットなどご飯ものとのセットメニューもある。立ち食いうどん店らしく、おにぎりや稲荷もある。

待てとは言われたが、ほんの2~3分で料理が登場。

080826天丼セット@川中島うどん店

海老とイカ、カボチャの天丼にミニ讃岐うどん、漬け物という構成。さっそく、うどんをひとくち食べて「保険」をかけたのが正解だったと納得。うどんつゆは確かに讃岐うどん風だがうどんにはほとんどコシがない。調理場を見ると、ちょうど粉のたくさんついた生うどんを大量に鍋に入れているところだった。一般的な立ち食いそば屋のうどんと違って、蒸しうどんではなく生うどんを使っているところは評価できるが、さっぱりコシのないうどんを讃岐うどんと呼んでも良いのだろうか。

天丼は揚げたてだったので、海老もイカも火傷しそうなくらい熱かった。ご飯もなかなか良く炊けている。

でも、コシのないうどんを讃岐うどんとして売っていることを香川県民は怒らないだろうか


川中島うどん店
東京都台東区上野1-6-1

地図googlemap

関連記事

ベトナム風カレー@BROWNIE

昼飯のために1週間に1度は訪れても良いと思える店を5つ見つけようとしているのだけど、なかなかそうした店は少ない。DELI BROWNIEはその候補の1つ。行列ができるような店ではないが、いつ覗いても客が入っている。昼時だけで何回転するのだろうか。

080711DELI BROWNIE


前からちょっとだけ気になっていた「ベトナム風カレー卵付き(650円)」を注文。いつものように店主が1人で手際よく作ってくれる。といっても、調理済みのカレーとゆで卵を小鍋で温め直すだけだ。

ベトナム風カレー


「ベトナム風」の正体はココナッツミルクのカレーだった。ココナッツミルクとともに魚醤の味と風味がかなり全面に出ている。ベトナム風ならば魚醤はヌックマムのはずだが、タイのナムプラーを使っているかも。辛みとザウムイ(香菜、パクチー)の香りがほしいところだが、大きなニンジンはよく煮えているし、豚の細切れがたっぷり入って美味しい。ただ、店主の手際が良すぎて、ゆで卵の真ん中の部分はまだ冷たかった。

そういえば、ココナッツミルクが入った料理を数日間食べ続けると汗の匂いが変わることがある。石鹸の匂いになるのだ。だから、汗で濡れたシャツが乾くと、すすぎをよくしなかった洗い立てのシャツのような匂いになる。もちろん、ココナッツミルク自体は石鹸の匂いはしない。石鹸特有の匂いは、石鹸の原料であるアブラヤシに起因するはずだが、なぜか同じヤシ科でも見た目は全く異なるココナッツから作るココナッツミルクが身体に入ると、汗が石鹸の匂いになるのだ。石鹸くさい奴は清潔好きなのではなく、汗くさい奴なんだというややこしいことになる。


DELI BROWNIE(デリ・ブラウニー)
東京都千代田区外神田3-7-9 サンビュー外神田1F

地図NAVITIME

関連記事

『フィンランド 豊かさのメソッド』堀内都喜子(集英社新書)

フィンランド

『フィンランド 豊かさのメソッド』堀内都喜子(集英社新書)

著者がフィンランドで9番目の町であるユヴァスキュラの大学で、異文化コミュニケーションを学び、さらにフィンランドで働いた経験を元に書かれている。

フィンランドも1990年代に日本と同様のバブル経済を経験したにもかかわらず、数年で経済状況が改善されたという。政策の中心は大胆な改革とIT化だったらしいが、20%を超えた失業率を6%代まで減少させることに成功した。1980年代から、産業の柱が林業と農業中心から、世界シェア40%を誇る携帯電話などのハイテク産業へと大きくシフトしたことも、経済復興の一因である。

フィンランドは、世界経済フォーラム(WEF)が毎年発表する国際経済競争力の順位では、2001年から2004年まで4年連続首位となった。さらにOECDが発表しているPISA(学習到達度調査)は日本や韓国、香港などの教育熱の高い国や欧米先進国を抑えて学力世界一を誇っている。

そのためフィンランドの教育制度は、世界中から注目されている。本書では、フィンランドが人材育成に注力しており、国民が「学ぶこと」に優しい国である仕組みの数々が紹介されている。例えば、大学の授業料は無料でさらに学生が自活できるだけの奨学金が返済不要で支給されたり、どんな年齢の人でも技術や知識を身につけるために学ぶ機会が与えられている。

フィンランドが豊かになった原因には、人口がわずか500万人で、人口とGDPが北海道とほぼ同じ規模である点があるだろう。大胆な政策の効果が表れやすい規模なのだ。2005年のフィンランドのGDPは22兆1000億円。これは日本の516兆2000億円には遠く及ばず、人口がほぼ同じの北海道の19兆7000億円よりもわずかに多い程度なのである。
ということは、フィンランドは財政破綻に近い状態にある北海道を復活させるためのモデルになる、といえるだろうか。

しかし、残念ながら本書からわかる「豊かさのメソッド」は、大きな痛みの伴う行政改革を実施したことと、人材育成のための優れた教育システムがあること程度である。社会保障制度が優れている点もいくつか挙げられているが、あまり貯金をしないフィンランド人たちが「豊かな老後」を送っている基盤の年金制度については全く触れられていない。著者がもう少し政治や経済に興味があったらと悔やまれる。だが、フィンランド人気質など、そこに生活した者だからこそ記述できるエピソードは満載だ。

関連記事

『北大路魯山人という生き方』長浜功(新書y)

北大路魯山人という生き方

『北大路魯山人という生き方』長浜功(新書y)

福田房次郎のちの北大路房次郎、雅号が北大路魯山人の評伝である。著者は、伝記小説家の白崎秀雄が書いた『北大路魯山人』が捏造と創作によって魯山人の姿を大きく歪めているにもかかわらず、「評伝の決定版」として魯山人を語る際に依拠されていることに怒りを感じている。すでに1988年に『真説北大路魯山人』(洋泉社)を著しているが、白崎の魯山人像を覆すに至らなかったので本書を書いたという。

上賀茂神社の宮司の末席であった北大路家の次男として生まれた魯山人は、生後間もなく父の死によって養子に出される。それも1度や2度ではなく何度も養家を巡った。6歳のときに木版師の福田家でようやく安住の場を得るが、尋常小学校を4年で卒業した後は、薬問屋に丁稚奉公に出る。竹内栖鳳の日本画を見て感激し画家を志すも叶わず、書道の道具すら買えない中で、お使いの途中で見た珍しい看板の文字を地面や竈の灰に枝や火箸で字を書いて覚えた。これがのちに書家としての「修行」になったようだ。

魯山人によれば6、7回だというが、何度も養家が替わったのはなぜだったのだろうか。物心つく前から感受性が高かったり、のちの狭隘な性格が現われていたのだろうか。ようやく落ち着いた福田家は貧しい職人ながら両親ともに温厚な性格だったという。

魯山人は書家のほか、日本画家、篆刻家、陶芸家、料理家として名を馳せるが、書にしても日本画にしても業界からは「素人」という扱いだった。独学独歩で誰の流派にも属さず、自らも群れを作らなかったからだ。篆刻は養家の稼業を手伝った時にノミの使い方を学んだのかもしれないが、わずか6歳から10歳までの4年間である。

では、陶芸や料理はいつ学んだのか。本書によれば、30歳を前にして妻子と愛人とのゴタゴタからの逃避行で1年ほど滞在した朝鮮や中国、さらに滋賀県長浜市の河路豊吉や金沢の細野燕台の食客として「修行時代」に学んだようである。目と舌の感覚が著しく鋭く、考えたことを確実に再現できる手先の器用さ、つまりは腕と指先の筋肉を自在にコントロールできる天賦の才があったのだろう。

魯山人に関してはまだまともな研究がなされていないらしい。だから白崎の小説が「評伝」としていまだに依拠されるのだが、本書にも「小説」の部分は少なくない。魯山人や関係者の発言として一人称で語る部分は間違いなく「創作」である。白崎を激しく批判する著者が同じ愚に陥っているのである。

関連記事

さばのみそ煮定食@さか井

080630さか井

店頭の幟を初めてちゃんと見たのだが、以前>「まぶし丼」を食べた丼物の定食屋「丼物のさか井」では、山形庄内米の「はえぬき」を使っているようだ。山形産の「はえぬき」は、日本穀物検定協会が認定する食味ランキングで、新潟魚沼産コシヒカリと同じく12年連続で特Aにランキングされている。しかし、山形県以外ではあまり栽培されていないので生産量・知名度が低くく、比較的安価で販売されているらしい。この店のご飯は美味しいといつも感じていたが、やっぱり旨い米を使っていたのだと知って納得した。

丼物以外も食べてみようと「さばのみそ煮定食(650円)」を注文。

080630さばのみそ煮定食650円@さか井

白味噌を使った鯖の味噌煮は初めてだが、とても繊細な味に仕上がっていた。塩味は濃すぎず薄すぎず、臭い消しのショウガも強すぎず弱すぎずぴったりの量だった。ちょっと小ぶりの鯖が2切れでも、私には充分な量。「はえぬき」のご飯はやはり美味しい。


丼物のさか井
東京都千代田区外神田3-8-13 田口ビル1F

地図googlemap
関連記事

 | HOME |  古い記事に行く »









ブログランキングに参加中です

リンク

お気に入りに追加
このブログをリンクに追加する

最近の記事

にほんブログ村ランキング

ブログ内検索

Loading

カテゴリー


全記事一覧(500件ごと)

カレンダー+月別アーカイブ

ケータイ版URL

QRコード

RSSフィード

プロフィール

pasage

Author:pasage
昼食時は「難民」と化して「新書」を片手に、都内各地を彷徨っています。

FC2Ad

Template by たけやん

QLOOKアクセス解析

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。