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昼食難民の新書生活

(新宿・秋葉原・芝浦など各地でのランチと読書)

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『値段から世界が見える!―日本よりこんなに安い国、高い国』柳沢有紀夫(海外書き人クラブ)編(朝日新書 376)

値段から世界が見える!



『値段から世界が見える!―日本よりこんなに安い国、高い国柳沢有紀夫(海外書き人クラブ)編(朝日新書 376)


本書は、海外で暮らす20人のライターたちによる世界20カ国の台所事情報告。各記事は10ページ程度と短いが、平均給与や医療費、保険料、税金など、それぞれの国の経済状況やさまざまな制度が紹介されている。

【目次】

第1章 「弱肉強食」か「万人の幸せ」か
  オーストラリア●資源豊富なゆとり大国は「のんびり屋さん」?
  スウェーデン●生活水準トップレベルを支える高い税金
  イギリス●「揺りかごから墓場まで」は、今は昔の話?
  ドイツ●最低限の暮らしを手厚く保障。食料、音楽、旅行まで
第2章 世界不況を生き抜くためには「ポジティブ思考」?
  イタリア●国庫も家計も火の車。でも、どこかマイペース
  スペイン●明日できることは今日やるな?食と人を愛する国
  ベルギー●隣国利用と事なかれ主義。それが小国の生きる道?
  オランダ●「節約」を極めて文化にした「節約力」自慢の人たち
第3章 「見栄」と「見栄え」にこだわる理由
  韓国●最高の投資は「教育」と「整形」?割り切り国家の光と影
  ポーランド●きれいなバラにはカネが要る。美人産出国の装い
  ケニア●髪から靴までオシャレに大金。でも日常品は……
  アフガニスタン●見栄か実利か。戦後の混乱を生きるイスラム教国
第4章 「貧富の差」と「二重価格」
  アラブ首長国連邦●多国籍の労働者、それぞれの暮らし方
  インド●「二重課金」や「自主的二重価格」。神秘な国の不思議な価格
  中国●貧富の差がますます広がる世界第2位の経済大国
  ペルー●格差社会を生き抜く逞しき「インフォーマル」たち
第5章 「医療費負担」と「社会保障」は世界の大問題
  カナダ●医療費とDV被害者サポート無料!シニアライフも極楽
  ウズベキスタン●旬がある、人がいる。古きよき日本的な幸せ
  スイス●高い医療費。対抗策は、楽しみながらの体力づくり
  アメリカ合衆国●国民皆保険が待たれる超大国の原点は家族


国際比較のために、ビッグマックMセット・牛乳(1リットル)・電車(バス)の初乗り料金・書籍『ハリー・ポッターと死の秘宝』・世帯あたりの通信費・映画館の一般席の大人通常料金・新聞・トイレットペーパー(1ロール)の8品目の各国における値段が紹介されている。

各国の経済力を測る仮想通貨レートとして、イギリスの『エコノミスト』が1988年から「ビッグマック指数」を毎年発表しているが、本書ではファストフード1品目だけでないので、各国の経済状況をより丁寧に説明していることになる。とはいえ、この8品目だけで「世界が見える!」というのは大げさだろう。アフガニスタンやウズベキスタンのように「マクドナルド」が存在しない国もある。

「タマネギ1キロ」「ガソリン1リットル」といった物の値段や「大卒初任給」「最低賃金」といった数字のほうが、各国の経済状況を明らかにしてくれたのではないか。

当たり前のことだが、日本の「映画館の一般席の大人通常料金」が1800円と異常に高いことを除けば、この8品目の価格に何倍もの差があるわけではない。むしろ、価格に大きな差がないことのほうが驚きだった。

章立てにあまり深い意味は無いように、それぞれの記事は各ライターが興味を持ったテーマで書かれているため、横断的な比較にはなっていない。そして、なぜこの20カ国が選択されたのかは不明だ。フランスやロシアが欠けているし、ウズベキスタンのように日本とは関わりの少ない国が入っている。

また、食料品が安い根拠として、日本の農林水産省が発表している各国における食料自給率を引用している記事が多いが、食料品の価格には市場原理だけでなく税金や補助金などの国の政策が大きく作用しているので何の意味もない記述である。そもそもほとんどの国では「食料自給率」しかも「カロリーベースの食料自給率」という意味のない数字は発表していないからだ。

気軽に読める各国の台所事情エッセイといったところだろう。


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大ロースかつ定食@把恋(ばれん)

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巨大なかつで評判の大田区矢口にある「把恋(ばれん)」へ。

東急多摩川線武蔵新田駅を出て右に20メートルほど歩いて環八通りを渡り、左に30メートル歩くと右側に店はある。武蔵新田は、「むさししんでん」ではなく、「むさしにった」と読む。駅の南側に、新田氏にゆかりのある新田神社があるためだ。

把恋

カウンター8席、4人がけテーブル3卓の店内に、先客は7人だった。常連らしきオヤジ2人がタバコを咥えて、ビールやチューハイを飲んでいた。

メニュー@把恋

カウンター席に座って、「大ロースかつ定食(1200円)」を注文すると、女将らしき女性が小さなすり鉢入りのゴマを持ってきた。

とんかつの芳ばしい香りがゴマに負けてしまうので、ゴマとんかつソースは好きじゃないけどスリスリして待っていると、店主はフレイヤーから次々にかつを揚げ始めた。あらら。まだ、先客4人には料理が供されていないのだった。

5分ほどして、ようやく私の分の肉に衣をつけはじめた。分厚いロース肉に期待が高まる。

10分ほどで料理が供された。

大ロースかつ定食1200円@把恋

たっぷりのキャベツの千切りに立てかけられたロースかつは、評判通りで巨大だ。長さ18センチ幅15センチ厚さ4センチほどはある。

大ロースかつ定食部分@把恋

むふふ。芯がまだピンク色で厚さ4センチ近くはあるロース肉からは肉汁があふれている。赤身と脂身が4対1ほどでバランスが良く、噛むと口いっぱいに肉汁と脂身の甘みが広がりとても美味しい。

残念ながら途中から余熱で赤身が白くなってしまった。それとともに肉の獣臭さが気になってきたので、ゴマとんかつソースや醤油で食べた。

ご飯はさっぱりとした味で、野菜たっぷりの豚汁も美味しかった。

恋の把(わ:たば)という奇妙な店名について尋ねてみたかったけど、店主も女将も咥えタバコで常連たちとの会話に盛り上がっていて、声をかけるきっかけがなかった。


武蔵新田駅を出て左に300メートルほど歩くと、新田神社がある。南北朝時代の武将・新田義興(新田義貞の次男)を祀る神社だ。多摩川の矢口渡で義興の謀殺に関わった人が狂死したので、善興の霊を大明神として祀ったという。

境内に「LOVE神社」という不思議な石碑がある。

LOVE神社@新田神社

アートディレクターの浅葉克己にデザインを依頼したという。縁結びの神社として若者ウケを狙ったのだろうけど、彫刻家じゃなくグラフィックデザイナーに作らせるとこんな平面的でつまらないものになる、という見本だ。馬鹿馬鹿しい。

石の卓球台@新田神社

社の横に石造の卓球台があった。こちらも卓球好きの浅葉克己がプロデュースしたもので、ラケットやピンポン玉は貸し出してくれるらしい。これは「LOVE神社」よりずっとマシだ。実用的だもの。


◆希望支払金額:1500円(分厚くてジューシーなかつ)
◆費用対効果度:125%(1500円/1200円)

把恋(ばれん)
東京都大田区矢口1-7-13


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『高杉晋作の「革命日記」』一坂太郎(朝日新書 256)

高杉晋作の「革命日記」


『高杉晋作の「革命日記」』一坂太郎(朝日新書 256)


高杉晋作といえば、長州藩に農民や町人を動員した奇兵隊を創設した尊皇攘夷の志士という程度の知識しかなかった。坂本龍馬をはじめ多くの志士が明治維新を前に死ぬか、明治政府で要職を得たなかで、高杉晋作の名前がないのは大政奉還の直前に結核で病死したからだ。

尊皇攘夷の志士たちの多くは下級武士や町人出身だったが、高杉晋作は長州藩の藩主側近である高杉小忠太の長男として生まれている。家禄は200石だった。萩城のすぐ近くに住んでいた。

1石は10斗で約180リットル。1人が1年間に食べる米の量に相当する。江戸時代には、武家では米で支給された給料を米屋に売って現金を得ていた。晋作の生まれた幕末には1石は約4万円程度だったらしいので、小忠太の年収は800万円ということになってしまうが、藩から支給される家禄以外に田畑からの収入もあったようだ。

本書は、高杉晋作が日本風漢文で残した6つの日記を現代語訳したものである。

【目次】

序章 高杉晋作小伝
     ―幕末の青春、二十七年と八カ月
第1章 東帆録
     ―萩から江戸までの航海実習日記
第2章 試撃行日譜
     ―北関東、信州などを歩いた旅日記
第3章 セツ(執の下に日)御(ぎょ)日誌
     ―初出仕したエリートの萩での勤務日記
第4章 初番手行日誌
     ―若殿様の側近として江戸での勤務日記
第5章 遊清五録
     ―上海で欧米列強の脅威を痛感した旅日記
第6章 投獄文記
     ―失意の中で内なる自分と向き合う獄中日記


『東帆録』は藩校明倫館で学んでいた晋作が、藩からの命で江戸の軍艦操練所で航海術を学ぶために萩から江戸までを帆船で旅した時の航海日誌。目次には「航海実習日記」とあるが、潮や風の影響で船が進まないことを記している以外は実習らしき記述はなくて、単なる日記である。藩命だったにもかかわらず、晋作は自らの性格が「疎にして狂」だから航海術には向かないとして、軍艦操練所への入学を辞めてしまう。

そこで、萩へ戻るに際して藩の許可を得て、北関東から長野、北陸を経て帰国した時に書いたのが『試撃行日譜』。佐久間象山といった知識人に会うのが目的だったが、柳生新陰流の免許皆伝だった晋作の武者修行の旅でもあった。そこで「試撃行」と題したが、当時は道場破りの浪人が多かったらしく、北関東では立ち会いをことごとく断られている。

『遊清五録』では、幕府貿易視察団に加わって滞在した上海の街がイギリス軍によって守られていることに恐怖を再認識し、尊皇攘夷を実現しなければならないと書いている。日本も清と同じように列強の支配下に陥る危険を実感したのだ。これが、庶民も動員した奇兵隊の構想に結びつく。武士だけでは列強に対抗できないからだ。

奇兵隊を組織した後に、京を攻めようとしていた来島又兵衛の説得に失敗して脱藩すると、晋作は野山獄に投じられた。3か月間の獄中に書かれたのが『投獄文記』である。

奇兵隊の創設以外にも、独断での軍艦購入や四国への逃亡、海軍総督として幕府軍との戦闘指揮などさまざまな活動をした晋作だが、残念ながらそうした時期には日記を書かなかったようだ。

高杉晋作は、結核のため29歳で亡くなっているが、現代の数え方ではわずか27歳8か月だった。死の6か月後の1867年10月に大政が奉還される。

尊皇攘夷を進めながらも、長州藩毛利家の家臣として忠実に生きた高杉晋作の矛盾に満ちた人生は、封建体制を残しながら強引に近代化を進めた明治維新そのものだった、と著者は書いている。

明治維新後に不要となった奇兵隊は解散され、半数の2500名だけが常備軍となった。選別は身分が重視された。民衆は論功行賞もなく排除されたのだ。


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上ロースかつ定食@とん竹

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冷たい雨の降る中を新宿駅南口の近くにある「とん竹」へ。

JR新宿駅南口を出て甲州街道を渡って右に進んで坂を降り、「吉野家」や質屋のある交差点を左折すると50メートルほど歩いた左側に店はある。新宿駅からほんの3~4分だ。

とん竹

ジャズの流れる店内はとても狭い。T字型の厨房も狭く、幅60センチほどしかない。奥では60代の女性が食器を洗ったり、豆腐を切ったりしていた。

カウンター4席、4人がけテーブル4卓の店内に先客は男性ばかり4人ほどだった。カウンター席に座ると、目の前の厨房で60代の店主が調理中だった。

メニュー@とん竹

温かい茶を運んできた70代女性に「上ロースかつ定食(1500円)」を注文すると、店主は冷蔵庫から肉を取り出して丁寧に筋切りをして、剣山状のミートソフターでジャカジャカと何度も肉に穴を開けていた。

15分ほどで料理と、「よろしければ、岩塩で召し上がりください」と小皿が供された。

上ロースかつ定食1500円@とん竹

ずどどーん! かつは私の手の平よりも大きく長さ20センチ以上幅15センチほどはある。でも、厚さは2センチ弱だった。店内の手書きポスターに「230g以上」とあったけど、確かにでかい。

上ロースかつ定食部分@とん竹

焦げ茶色の衣は微かに揚げ過ぎで香ばしさと苦味があるけど、薄いピンク色に揚がったかつは肉汁たっぷりで美味しい。脂身も適度に混じっていて甘味もある。

丁寧に仕込んだだけに、噛みごたえはあるけど柔らかく揚がっていてとても美味しい。しかも、230gだからかなり食べ応えがある。

大粒のご飯は甘みの少ないさっぱりした味で、このかつに合っていると思う。ダイコンときゅうりの浅漬けは、きざみ生姜がアクセントになっていて美味しい。豆腐の味噌汁の具は出汁が効いていて美味しかった。


◆希望支払金額:1500円(ボリュームたっぷりでリーズナブル)
◆費用対効果度:100%(1500円/1500円)

とん竹
東京都渋谷区代々木2-7-6 GSハイム佐藤ビル1F


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『日本農業への正しい絶望法』神門善久(新潮新書 488)

日本農業への正しい絶望法



『日本農業への正しい絶望法』神門善久(新潮新書 488)


日本の農業は絶望的な状況にある。

本書は、農業政策・農業者・農地・消費者の惨状に「正しく」絶望し、農業再生を図るための提言を行っている。

【目次】

まえがき
第1章 日本農業の虚構
第2章 農業論議における三つの罠
第3章 技能こそが生き残る道
第4章 技能はなぜ崩壊したのか
第5章 むかし満州いま農業
第6章 農政改革の空騒ぎ
第7章 技能は蘇るか
終章 日本農業への遺言


日本の農業生産による付加価値額は3兆円だが、農業保護額は4兆6000億円に上るという。つまり、日本の農業生産をゼロすれば、1兆6000億円の節税ができるという惨憺たる状況だ。しかも、この税金は人口の3%にすぎない農業者に支払われているのだ。

しかも、農業者の多くは農業以外の収入があり、非農業者の平均所得よりも多く、さらに大きな屋敷と広大な宅地を持っている。都市生活者の多くが賃貸住宅に暮らしているのだから、農業者へは過剰な保護政策が施されていることになる。

さらに、保護政策の基本となる農地基本台帳の記載が、きわめて杜撰な状態になっているという。民主党参議院会長の輿石東の自宅の6割が農地となっていて、2010年に農地の低い固定資産税しか支払っていなかったことが明らかになったように、法律違反の温床になっているという。

「安全保障としての食料自給率アップ」という農水省が言い出したデマを、いまだに発言する政治家や識者もいる。しかし、食料自給率しかもカロリーベースの食料自給率を問題にしている国など世界中のどこにもないらしい。農水省と族議員は日本の食料自給率がカロリーベースで39%になった大騒ぎしているが、小さな島国のシンガポールの食料自給率は10%に満たないという。そもそも日本は石油の99%を輸入しており、石油がストップすれば農業生産も輸送もストップするから、農業生産を安全保障と結びつけること自体が間違いなのだ。

また、有機農業や規制緩和による企業の参入など「農業ブーム」が喧伝されているが、著者はマスコミや「識者」が作り出した幻想にすぎないという。

例えば、有機野菜の多くは窒素過多の不健康なものでしかないという。確かに、近所のスーパーで購入した有機栽培のキュウリを常温保存したところ数日で腐ってしまい、とても驚いたことがある。健康なキュウリは常温保存すれば干からびるはずだからだ。有機野菜や「健康野菜」などと銘打った減農薬野菜であっても、健康な野菜であるとは限らないのだ。

「日本の農産物は安全安心で高品質」とか「日本の農産物が中国で大人気」とマスコミは盛んに喧伝しているが、ホウレンソウのビタミンC含有量は過去20年間で半減しているという。名ばかりの有機栽培や農薬まみれの結果だ。

農業の基本は土作りであるといわれるが、著者は土作りの技能を持たない農業者が増えているという。土づくりに堆肥は欠かせないが、その堆肥すら作れない農業者が多いのだ。一方、名人と呼ばれるような農業者は、科学的知識と経験によって耕作技能を身につけている。農業は、天候や害虫など予測不能の要素が多く、マニュアル化した「技術」では対応できない。気温や湿度、風といった天候や病害虫を敏感に察知し、そのつど適切な対応をしていかなければならないのでマニュアル化できないのだ。

終章は「遺言」となっている。著者は、1962年生まれなのでまだ50歳だから遺書を書くには早い。本書は著者がいわば「命がけ」で書いたものなのだ。

著者の「遺言」は、以下の4点。

①日本農業の本来の強みは技能集約型農業にある。
②耕作技能の発信基地化することにより、農業振興・国民の健康増進・国土の環境保全・国際的貢献が期待できる。
③農地の乱れと、消費者の舌の劣化、放射能汚染問題が原因で農業者が耕作技能の習熟に専念できずに消失の危機にある。
④マスコミや「識者」は工作技術の消失という問題の本質を直視せず、現状逃避的に日本の農業を美化するばかりで耕作技能の低下を助長している。

「まえがき」で著者はこう書いている。

この本を書くことで、これまで、私に味方してくれていた人たちが少なからず去っていくかもしれない。批判ではなくシカトが私の前途に待ち受けているかもしれない。(略)私の選択の問題ではなく、いわばこれが私の人生なのだ。(p.7)

惨憺たる日本の農業に対して、「正しく」発言すれば黙殺されるかもしれないが、やむにやまれず本書を書いたということなのだ。


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特製ロースかつ定食(サラダ付き)@とんかつ 勝泉

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JR品川駅の近くにある「とんかつ 勝泉」へ。

JR品川駅港南口を出て、そのまま真っすぐ歩いて路地に入り、50メートルほど先の右側に店はある。

とんかつ 勝泉

厨房では、60代の店主と30代の男性が調理を担当し、60代と30代の女性が配膳や会計を行っていた。

メニュー@とんかつ 勝泉

「特選ロースかつ定食(サラダ付き)1900円」を注文すると、店主はちょっと嫌そうな顔をして慇懃無礼に「時間がかかりますがよろしいですか」という。ランチ時は、調理に手間のかかる「特選ロースかつ定食」の注文は迷惑のようだ。

「大丈夫です」と答えると、冷蔵庫から肉を取り出して調理を始めた。

10分ほどで料理が供された。

特選ロース定食1900円@とんかつ 勝泉


「サラダ付き」とわざわざメニューに書いてあったけど、別皿ではなくて千切りキャベツに、レタス・トマト・キュウリ・ベビーコーンが追加してあるだけだった。

特選ロースかつ定食部分@とんかつ 勝泉

厚さ1センチほどのロース肉は、揚げ過ぎで歪み白くなっていた。衣がバラバラに剥がれているのが悲しい。

「特選」なのだから、良い肉を使っているのだろうけど、ここまで揚げ過ぎては肉汁がなくてあまり美味しくない。

ご飯と豚汁は美味しかった。

実は、品川駅港南口からすぐのところには広大な東京都中央卸売市場食肉市場があって、トラックで牛や豚がどんどん運び込まれている。だから豚肉市場のお膝元なのだけど、この「特選ロースかつ定食」は残念だった。


◆希望支払金額:1500円(値段の割に薄くて揚げ過ぎのかつ)
◆費用対効果度:78.9%(1500円/1900円)

とんかつ 勝泉
東京都港区港南2-6-10 三矢ビル1階


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『日本人のための日本語文法入門』原沢伊都夫(講談社現代新書 2173)

日本人のための日本語文法入門



『日本人のための日本語文法入門』原沢伊都夫(講談社現代新書 2173)


中学校の国語の授業で学んだ文法は、橋本進吉の文法論が元になっている。「いったい何の役に立つのか」と思いながら活用を暗記させられたことを記憶している人も多いはずだ。いわゆる「学校文法」は、日本人はもちろん日本語を学ぶ外国人にも役立たない。そこで言語学の理論に基づいた「日本語文法」が生み出された。

本書は、日本語を母語にしない人への日本語教育の経験を持つ言語学者による「日本語文法」の入門書。長らく日本語と付き合ってきたはずなのに、ページを開くたびに驚くべき事実の数々が明らかにされ、日本語について浅薄な知識しかなかったことに慄然とさせられる。

【目次】

第1章 学校で教えられない「日本語文法」
第2章 「主題と解説」という構造
第3章 「自動詞」と「他動詞」の文化論
第4章 日本人の心を表す「ボイス」
第5章 動詞の表現を豊かにする「アスペクト」
第6章 過去・現在・未来の意識「テンス」
第7章 文を完結する「ムード」の役割
第8章 より高度な文へ、「複文」


第2章では、「主語と述語」という欧米語文法からの借用ではなく、「主題と解説」という日本語文の基礎構造が解説される。

第3章では、その構造を支える文法のカテゴリーで「自動詞」と「他動詞」。広辞苑には自動詞は「(intransitive verb) 完結した意味を表すのに目的語を必要としない動詞。「花が咲く」の「咲く」の類。」と書かれ、他動詞は「ある客体に作用を及ぼす意味をもつ動詞。日本語では、その客体の概念を目的語として多く助詞「を」を添えて表す。「本を読む」の「読む」の類」と書かれている。自動詞は自然現象を表すときに使われ、他動詞は人間の行動が起点となって、物事を引き起こすことを表す。本書では、自動詞はある現象の変化の部分を表し、他動詞はその変化を引き起こす動作の部分を表している、としている。また、「驚いた」「捕まった」「見える」など英語では他動詞で表現する文を日本語では自動詞で表現するという。

日本語では、人間の活動も大きな自然界の流れの一つとしてとらえられ、自動詞で表されるわけです。(p.32)


かつて「自然渋滞」という言葉があった。高速道路などで、事故などの特定の原因がわからない渋滞が発生した場合に使われたのだが、この言葉が生まれた背景には人為的な原因ではなく「自然に渋滞した」という発想が働いていたのだろう。

第4章の「ボイス(態:動詞の意味する動作の、受身・使役などの差異を示す文法形式)」にも、日本語に特有の発想が表れているという。「雨が降った」という自然現象によって受けた影響を、日本語では「雨に降られた」と言うことができる。自動詞の出来事を受身文にすることが可能なのだ。欧米語ではまったく考えられないこの発想は、自分や相手がどうするという「人間中心の発想」ではなく、身の周りに起きたことを人間を含めた大きな自然の流れのなかでとらえる世界観だからだ。

把瑠都関は、優勝インタビューで会場の母親に向かって「私を生んで、ありがとう」と言った。日本人ならば「生んでくれて、ありがとう」と言ったはずだ。外国人が日本語特有の思いやり表現である「あげる・くれる・もらう」を補助動詞的に使用できるようになるには時間がかかるという。

第5章の「アスペクト(相:動詞の意味する動作の様態・性質などの差異を示す文法形式)」では、動作の直前・開始・進行/継続・終了・完了・結果について詳しく解説している。

第6章の「テンス(時制)」では、日本語の時制感覚について解説している。留学生が間違えやすい相対テンスが面白い。

日本に来る時、友達がパーティを開いてくれた。
When I came to Japan, my friends held a farewell party for me.

英語では「時制の一致」で「came」「held」となるが、日本語では「来る」「開いてくれた」と時制が一致しない。「来た」と時制を一致させると、母国での送別パーティではなく日本に着いてから歓迎パーティが開かれたことになってしまう。日本語は、パーティが開かれた時点を基準点とする相対テンスだからだ。

さらに、文末決定要素である「ムード」、「複文」の種類と構造についても詳しく解説し、本書はまさしく「これだけは知っておきたい」内容となっている。役に立たない「学校文法」などさっさと止めて、「日本語文法」を教えるべきなのだ。


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ロースかつ定食(大)@とんかつ あおば

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吉祥寺にある「とんかつ あおば」へ。

JR吉祥寺駅中央改札を出て北口から地上に出て右へ、線路沿いに西荻窪方面に300メートルほど歩いた左側に店はある。

あおば

外観はとんかつ店っぽくない。カフェの居抜きに出店したのだろうか。

この店は午前11時半から21時までの通し営業なので14時過ぎに訪れると、カウンター6席、4人がけテーブル2卓の店内には、先客は家族連れ2組みとカップル1組の8人いた。

メニュー@あおば

メニューはとてもシンプル。

温かい烏龍茶を運んできた女将らしい70代女性に「ロースかつ定食(大)1600円」を注文すると、厨房の70代店主は静かに頷いた。温泉卵と切り干し大根から選べる小鉢は、切り干し大根をお願した。

店主は、ほとんど物音を立てずに静かに調理を続ける。厚さ2センチほどの肉を取り出して、小麦粉→溶き卵→小麦粉→溶き卵→パン粉の順に衣をつけてフライヤーに投入した。

その後は、大きなダイコンの皮を剥いてイチョウ切りにし、豚汁を煮ていた大鍋に投入。続いて、冷蔵庫から長さ70センチ以上はあるロース肉ブロックを取り出して掃除を始めた。

女将は直径50センチほどはある大鍋から切り干し大根煮を大きな密閉容器に移していた。ランチが一段落して仕込みの時間帯らしい。

15分ほどで料理が供されたけど、豚汁がお椀すりきり一杯で溢れそうだった。女将はこぼれないように、ソロリソロリとお盆を運ぶ。この店ではいつもそうらしい。

ロースかつ定食(大)1600円@あおば

かつは長さ18センチ幅10センチ厚さ2.5センチほどで大きい。最初からお塩を盛った小皿がついてきた。

ロースかつ定食(大)部分@あおば

衣は剥がれているけど、加熱時間は程よく肉汁も残っている。噛み締めると、かすかに獣臭がして銘柄肉ではない普通の肉らしいけど旨みは強い。

粘り気のあるコシヒカリ系のご飯は美味しい。漬物は、既製品の野沢菜と沢庵。

ひき肉のような細かい脂身が浮いた豚汁は、白味噌仕立てでダイコン、ごく薄切りのゴボウ、ニンジンがたっぷり入っていて美味しい。ネギのみじん切りをたっぷり入れたらもっと美味しいだろう。


◆希望支払金額:1600円(肉汁があって旨みの強いかつ)
◆費用対効果度:100%(1600円/1600円)

とんかつ あおば
東京都武蔵野市吉祥寺本町1-35-17


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