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昼食難民の新書生活

(新宿・秋葉原・芝浦など各地でのランチと読書)

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『「知」のシャープナー―人生が変わる知的生産日記』御厩祐司(光文社新書 625)

「知」のシャープナー



『「知」のシャープナー―人生が変わる知的生産日記御厩祐司(光文社新書 625)


著者は、文部科学省の官僚。愛媛県に赴任中に俳句や漢詩を唱えながらストレッチをする「俳句体操」を考案したアイデアマンである。

本書は、「知」を鋭く保ち磨くための技法を伝えるという意欲に満ちたもので、梅棹忠夫の名著『知的生産の技術』を意識しているようだ。

【目次】

第1章 理論編~「知のシャープナー」の土台づくり
     1 無限連用日記とは?
        ―一生買い替えなくてもいい日記
     2 日記に込める知の7要素
     3 名づけて「MY法」
        ―マトリックスは創造の母体
     4 私の日記遍歴
第2章 実践編~「知のビッグピクチャー」を描く
     1 なぜマトリックスの日記をつけるのか?
     2 マトリックスの日記はこうつける
        ―知的な日記の5原則
     3 マトリックスの実例解説
第3章 応用編~「冴えるカタログ」を編集
     1 「サエカタ」とは?
     2 サエカタの柱1
        ―環境を整える
     3 サエカタの柱2
        ―アウトプットを磨く
     4 サエカタの柱3
        ー健康を高める
第4章 発展編~「ソーシャル・シャープナー」で社会に貢献
     1 知のリレー
        ―親から子、前任から後任へ
     2 知のコラボ
        ―チームシャープナー
     3 知のアセス
        ―超エントリーシート
     4 知のコンセプト―めざせ! 社会兼業家


著者は「知」には5つの意味があるとしている。

 ①ものごとをしる。(知識)
 ②ものごとを見抜く力がある。(知恵)
 ③人にしらせる。(告知)
 ④相手を理解し、つきあう。(知遇)
 ⑤取りしきる。つかさどる。(知事)

つまり、

ものごとを広く知り、その本質を鋭く見抜き、わかりやすく人に伝え、多様な人々とつながりながら、円滑にマネジメントしていく。(p.8)

ということだ。

そして、「シャープナー」は、文字通り「鋭くする道具」「磨く道具」のことで鉛筆削りや砥石のことだ。

まず、著者が「MY法」と名付けた表計算ソフトによる「無限連用日記」を紹介している。「MY法」では、1マスを1日とする。つまり、表計算ソフトの「行」(タテ軸)を日付、「列」(ヨコ軸)を年にする。こうすることで、同じ日の数年分を1度に読めるようにする。紙の日記帳と違って、何年分でも書き続けることができるから「無限連用日記」なのである。

記入するのは、インプット(知的刺激)・アウトプット(知的生産物)・クエスチョン(疑問、論点)・アンサー(回答、仮説)・ターゲット(目標、夢)、アラート(自戒)、リマインダー(再確認)の7要素であるとしている。

日記といっても、天候や食事といった日常茶飯なことは書かずに、あくまで「知」を磨くための行動や考えを書くわけだ。

知的な刺激を受ければ、1つのセルにいくつものトピックスを入力することになり、つまり、真に脳を使った日々がその活動内容とともに一覧のマトリクスに描かれることになる。その一方で、知的な活動をしなければ空白のセルが続くことになるから、自分が「知」を磨いているかどうかをチェックできることになる。さらに、目標や疑問を何度も目にすることで、課題が明確になるのだ。

表計算ソフトでは1つのセルに1024字まで表示できるが、著者は簡潔に数項目を記入することを薦めている。そして、日記にはタイトルやキーワードのみを記して、技法を記入したwordやpowerpointのファイルとハイパーリンクで連結するという。

データファイルを収納するのは、「サエカタ」と名付けたフォルダの階層管理法による。第1階層が「サエカタ」、第2階層が「環境」、「アウトプット」、「健康」、「環境」の下にある第3階層は「人」、「物」、「情報」、「場」など10のフォルダに体系化している。

表計算ソフトを日記に使用するアイデアは、著者のオリジナルではない。その名も「エクセル日記」と題したフリーソフトがずいぶん前からあるし、エクセルで日記を書くことを薦めた『「朝」日記の奇跡』という書籍も2005年に出版されている。

実は、「無限連用日記」と「サエカタ」を連携する方法には大きな問題がある。表計算ソフトではハイパーリンクを簡単に張ることができるのは、1セル1ファイルという1対1対応になっている点だ。つまり、ある日に活発な知的生産を行って「無限連用日記」に複数の項目を記入しても、複数のデータファイルとはリンクを張れないのだ。この点をいかに解消しているのか本書では全く触れていない。wordかexcelでリンク集のファイルを作成することになるのだろうか。

本書には、研究者や企業経営者、作家などによる数々の名言・金言のたぐいが散りばめられている。元々、著者はこうした言葉を書き留める習慣があったようだが、あまりに数が多くて、望んだわけでもないのに「名言集」を読まされているようで不愉快になった。まるで「人という字は人と人が支えあい……」や「結婚の3つの袋」のような説教じみた通俗解釈や地口・ダジャレのたぐいのオンパレードだったからだ。



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厚切りろーす定食@かつの玄琢

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赤坂にある「かつの玄琢 (げんたく)」へ。強烈なかつがあるらしい。

この店は土日祝が休みなので、昼過ぎに赤坂にいた木曜日に訪れることにした。

東京メトロ千代田線赤坂駅の6番出口のエスカレーターで地上に出たら左へ、乃木坂方面に200メートルほど歩く。3つ目の路地を左に入ると30メートル先の右側に店はある。

かつの玄琢

14時過ぎに立て付けが恐ろしく悪くて重い引き戸を開けると、カウンター8席、奥の小上がりに4人がけテーブルのある店内に、先客は9人だった。

ランチメニュー@かつの玄琢

ランチは950円からとちょっと高めで、夜はさらに平均500円ほどアップするらしい。

70代の丸刈りの親父に「厚切りろーす定食(1600円)」を注文すると、ちゃきちゃきで滑舌の鮮やかな女将がお茶とお新香を運んできてくれた。

親父が先客の料理を作るのを見ていると、生姜焼きとかつの盛り合わせやメンチカツの人気が高そうだ。親父はかつを切り分けると、火加減が不十分だった1切れを箸でつまんで鍋の油で再加熱していた。油で熱した包丁を押し当てるのは見たことがあるけど、油通しは初めて見た。結構、乱暴だなあ。

しばらくして、冷蔵庫からロース肉のブロックを取り出し、秤で重さを確認しながら厚さ4センチほどを切り出した。むふふ、期待が高まるなあ。厚切りろーすは、300gだもの。

先客の料理が次々に完成する中で、私の厚切りろーすは15分ほど油の中にあった。最後は、鍋の縁に厚切りろーすが立て掛けられた。その後3分ほど油切りされた。

余熱でも半生だったらしく、先客のかつのように3切れは油通しで完成させた、20分ほどで岩塩とともに料理が供された。

厚切りろーす定食1600円@かつの玄琢

ドガーン! 長さ17センチ幅10センチ厚さ4センチの見事な威容。食べやすいように1センチ幅に切り分けられている。

厚切りろーす定食部分@かつの玄琢

美しいピンク色のかつから肉汁が滴っている。中央は赤身8:脂身2で右端に向かって脂身の比率が増え、最後の1切れは8割が脂身。逆に中央から左側は、ほとんどが赤身だった。

揚げ具合は絶妙だ。かすかに豚肉特有の匂いがして、噛み締めると歯応えがありながら柔らかく肉汁たっぷりだった。でも、やや旨味に欠ける。この大きさでこの値段だものしょうがないか。

薄い衣には、とんかつだけでなく串かつやメンチカツを揚げたエキスが溶け出していて、芳ばしい香りと旨味があった。

300gとボリュームたっぷりだけど、肉の分量に比べ衣が少ないのでさっぱりしている。

味噌汁の具はエノキダケと豆腐。ご飯はインディカ米のように粘り気が殆どなくてサラサラだった。チャーハンに向いている品種だろう。


◆希望支払金額:1600円(歯応えはあるけど柔らかくて肉汁たっぷり)
◆費用対効果度:100%(1600円/1600円)

かつの玄琢(げんたく)
東京都港区赤坂6-13-19


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『言語の社会心理学―伝えたいことは伝わるのか』岡本真一郎(中公新書 2202)

言語の社会心理学



『言語の社会心理学―伝えたいことは伝わるのか岡本真一郎(中公新書 2202)


小学生の時に入院中の友人を見舞いに行って失敗したことがある。

数週間に及ぶ入院で退屈していたらしく、ベッドの周りにはたくさんのマンガ週刊誌が積み上げられていた。入院が長引いていることをねぎらうつもりで「こんなにたくさんのマンガを読んだんだね」と言ったところ、友人の母親は私がマンガ週刊誌を貸して欲しいと言ったのだと勘違いし、「○○ちゃん、貸してあげなさい」と大慌てで数冊のマンガ週刊誌を紙袋に入れて渡してくれた。

想いを言葉で伝えることの難しさを最初に理解した瞬間だった。

顔が真っ赤になるを感じたが、「恥ずかしいから赤面したのだろう」と友人やその母親に思われていることが恥ずかしくて、さらに赤面するのを感じた。

本書は、社会心理学者による言語コミュニケーション研究の入門書。多くの心理学研究の成果を元に、言語コミュニケーションの種類と機能を解説している。

【目次】

第1章 「文字どおり」には伝わらない
第2章 しゃべっていないのになぜ伝わるのか
第3章 相手に気を配る
第4章 自分に気を配る
第5章 対人関係の裏側―攻撃、皮肉
第6章 伝えたいことは伝わるのか
終章 伝えたいことを伝えるには?


まず第1章では、コミュニケーションの道具的機能を説明し、コミュニケーションの種類と特徴を述べている。

続いて第2章では、コミュニケーションが推論によって成立することを解説している。例えば、以下の様な会話は普通だろうか。

 しおり:あなたはブタね。
 めぐみ:そうよ、私はブタ。ブタは最高よ。

一読すると「しおり」が罵ったのを「めぐみ」が受け流している会話のようだ。しかし、2人がお好み焼き店にいて、「しおり」は「めぐみ」がブタお好み焼きを注文することを確認している会話だったら全く不自然ではない。通常の会話ではこんな風に、ブタお好み焼きを単にブタと省略することはよくある。(p.39)

罵りではなく通常の会話が成り立つのは、2人の間に「共通の基盤」があって、聞き手が話し手の発言を推測しているからだ。会話が進行しながら、共通の基盤が次第にできあがっていくこともある。例えば、会話の最初で意味していた「あれ」と、数分後の「あれ」は全く異なることもある。

「共通の基盤」には、以下の3点の根拠あるという。
1.会話が行われている物理的な状況(お好み焼き店にいる)
2.先行する発話から目的語を推測できること(料理を注文しようとしている)
3.同じ社会に暮らしている以上、相手も知っているだろうと予測できること(ブタお好み焼きを「ブタ」と省略することに不自然さはない)

話し手は、相手が自分の発話をどの程度理解しているかを推測しながら発言するが、それ以上に聞き手はいろいろな手がかりから、積極的に推測することで会話は成り立っている。

もちろん言語による伝達が文法によって支えられているというのは間違いない。しかし、実際にコミュニケーションする場合には、言語は推論の材料に過ぎないというのである。これは非言語的コミュニケーションで何かを伝える場合に推論が用いられるのと同様である。ただ、言語のほうが非言語よりも、伝えることの明示性が高い場合が多い、というだけである。(p.57)

第3章では、コミュニケーションにおける対人配慮について解説している。相手の「顔(メンツ)」を阻害する度合いに応じた「敬語」表現のポライトネス理論、外国語に比べ日本語には豊富な表現がある対称詞、感謝する際に「すいません」といった謝罪表現を使う事例などを詳しく説明していて面白い。

確かに、日本語では感謝を表す際に「すいません」という謝罪の言葉が使われることがある。著者の調査によれば、イギリス人も謝罪表現を使う場合もあるようだ。著者は、3つのケースで日英の謝罪表現の使用率を調べている。

ケース1:話し手と聞き手の双方に責任がない場面(講演をしてくれた)
ケース2:話し手に責任がある場面(部屋の電気を消す間、待っていてくれた)
ケース3:聞き手に責任がある場面(貸したお金を返してくれた)

双方に責任がない場面ではイギリス人は謝罪表現を使わないが、日本人は聞き手が年長の場合には20%が謝罪表現を使う。話し手に責任がある場面では、聞き手が年長者ならば日本人の80%近くが謝罪表現を使うが、イギリス人の30%も謝罪表現を使う。一方、聞き手に責任がある場面では、イギリス人は謝罪表現を使わないが、日本人は謝罪表現を使い場合がある。これは、聞き手が「話し手に悪いことをした」と思わせること自体が相手に迷惑をかけたという気持ちを起こさせるから、謝罪表現が用いられるのではないか、と著者は言う。聞き手の気持ちを斟酌した結果だというのだが、果たしてそうだろうか。相手の気持ちではなく、「返してくれた」という行為によって瞬間的に上下関係が発生してしまうためではないか。

第4章では、相手との望ましい関係を念頭に置いた自分への気配り表現を解説している。自分の真の姿を相手に示す「自己開示」と、自分と相手との関係が有利になうように自分のことを相手に示す「自己呈示」、自分の能力や技能等を低く見せる「自己卑下的呈示」について考察している。

第5章では、「言語的攻撃」と「皮肉」が対人関係の中で果たす機能や役割、効果について詳述している。

第6章は、同音異義語やあいまいな表現などによる「誤解」と、自分の感じていることや考えが実際以上に相手にわかっていると推測してしまう「透明性錯覚」、相手も自分と同じ知識があると思い込む「知識の呪縛」について解説している。

終章では、「コミュニケーションがうまくいく」ための心がけを具体的に提示している。もちろん、相手の感情に気を配り、事実を正確にできるだけ効率的に伝えるのが最初のポイントだ。

友人の母親に誤解された小学生の私は、「マンガを貸して欲しかったのではない」と説明することはできずに、おそらく生まれて初めて鼻白んだ表情のまま、マンガ週刊誌が入った紙袋を手に病室をあとにすることしかできなかった。



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厚切り上ロースかつ定食@とんとん びょうし

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中野駅に近い「とんとん びょうし」へ。

JR中野駅の南口を出て左に向かい、JRの線路沿いに新宿方面に250メートルほど歩くと左側に店はある。

とんとんびょうし

この店は、とんかつ・とんてき・串焼きの店で、夕方以降は居酒屋になる。

4人がけテーブル6卓、カウンター8席と意外に広い店内は、居酒屋っぽい雰囲気だけど三元豚を使用している。

メニュー1@とんとんびょうし

メニュー3@とんとんびょうし

茶髪の女性スタッフに「厚切り上ロースかつ定食(200g)(1344円)」を注文すると、お茶とお新香、岩塩ミルを持ってきてくれた。

ポークソテーメニュー@とんとんびょうし

「厚切り上ロースかつ」は200gだけど、「超厚切りとんてき」は300gもある。

10分ほどで、料理が供された。

厚切りh上ロースかつ定食1344円@とんとんびょうし

かつは、長さ18センチ幅12センチ厚さ3センチほど。最初から、かつの中央が断面が見えるように置かれていた。

厚切りh上ロースかつ定食部分@とんとんびょうし

断面積の3分の1ほどは、鮮やかなピンク色に仕上がっていて、脂身の多いかつの右側の切れ目からは肉汁が滴っている。もちろん、ちゃんと火は通っている。

赤身はさっぱりとした味で、脂身と赤身の間から肉汁が溢れてきた。熟成が完成していて、あと1~2日で不味くなるところだった。つまり、肉汁には旨味が詰まっていた

衣は独特の香ばしさがある。単にラードで揚げたのではなさそうだ。なんだろう。

トマトのみじん切りが載って美しい千切りキャベツは、機械切りだろうけどとても細かいのにしっかりとした歯応えで美味しい。

味噌汁はワカメと油揚げ。


◆希望支払金額:1344円(肉汁たっぷりで美味しい)
◆費用対効果度:100%(1344円/1344円)

とんとん びょうし
東京都中野区中野2-11-4 ルネッサ紅葉山101号


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『バカに民主主義は無理なのか?』長山靖生(光文社新書 623)

バカに民主主義は無理なのか?


『バカに民主主義は無理なのか?』長山靖生(光文社新書 623)


バカとは、私のことであり、あなたのことだ。つまり、著者を含めた私達すべてのことだ。

英語のdemocracyの語源は、ギリシア語の「デモス(民衆)」と「クラティア(支配・権力)」に由来する。そして、古代ギリシアの時代からデモクラシーは衆愚政治に陥る危険性があると指摘されていたという。デモクラシー自体がバカだといわれていたことになる。

本書は、「私達には民主主義は無理なのか?」と問い、混迷を極める日本の政治状況を分析している。

【目次】

第1章 日本人は、いったい政治に何を望んでいるのか?
     ―日本の民主制が危機におちいっている理由
第2章 「自由」と「平等」に、根拠はあるのか?
     ―民主制の歴史と、展開
第3章 日本国憲法、何か問題でも?
第4章 戦後の日本政治は、何を積み残してきたのか?
第5章 バカに民主主義は無理なのか?
     ―輝かしくない日本の未来に向けて


第1章では、日本人が「お上」に依存する傾向があることを指摘している。明治維新を市民革命と呼ぶのは無理があるし、太平洋戦争後に国民が主権を得たのも、「お上」から与えられたにすぎない。日本人は主体的に民主主義を獲得したことはないのだ。

第2章では、古代ギリシアにおける民主制から説き起こして、フランス革命や名誉革命の根拠となったホッブスやロックの社会契約論、ベンサムやミルの功利主義、ノージャックのリバタリアニズムといった社会思想の流れを俯瞰している。

第3章では、日本国憲法が大日本帝国憲法の規定に則り、天皇が裁可し、帝国議会の決議によって成立したことを明らかにしている。「天皇がくれた日本国憲法に、なにか問題でも?」と、押し付け憲法というデマを広める改憲派に疑問を呈している。

そして、第4章では日本の戦後政治を概観してその課題をコンパクトにまとめている。

第5章では、福沢諭吉の「東洋になきものは、有形に於て数理学と、無形に於て独立心と、此二点である」(『文明論之概略』)という指摘を引いて、日本人に欠けている「科学的思考」と「独立心」を論じている。特に、科学的思考に関しては福島第一原子力発電所の惨事を例に専門家と政府の思考停止状態は情緒的対処によってなされたことを指摘している。

日本の一般市民の多くは「自分は善良で無力な小市民で、ただ任せて信じていただけなのに」と思い、何か大惨事に巻き込まれると「騙された」と感じる。私もそうだ。(p.261)

勝てる見込みのない太平洋戦争に突入したのも「軍部の暴走」に騙されたのであり、原発の安全神話を信じたふりをしたのも東京電力に騙されたからだ、と責任転嫁をしたくなる。しかし、中国侵略を「暴支膺懲」と謳う新聞報道にほとんどの日本国民は歓喜し、原発の危険性を訴える声を無視して電気を蕩尽し続けてきた。衆愚だったというほかはない。

「バカが選挙権を持っていいのか」という課題以上に深刻なのは、「バカが政治家をしていいのか」であろう。(p.274)

愚かでずるく卑怯なわれわれの代表が行っている政治は、ひどく愚かでずるく卑怯な可能性がある。だからこそ政治に関わるために示すべきは「服従や忠誠ではなく、支持や参加」であり、政治家を「信じる」のではなく理解するよに努め、確認し続けることが大切だと著者は言う。

なぜか本書では言及していないが、democracyに「民主主義」という訳語を当てたのはなぜだろうか。aristcracyは「貴族制」という訳語になっているから、democracyは「民主制」とすべきだったはずだ。

日本語の民主主義という言葉は、体制の「民主制」と政体の「民主政」、思想としての「民主主義」の3つがないまぜになっている。つまり、日本語の民主主義には「ism」が混じっているが、思想ではなく純粋な制度としての民主制を、われわれ自身が作りだしていかなければならないのだ。


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特ロースとんかつ定食@平太

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江東区大島にある「平太」へ。

都営地下鉄新宿線西大島駅のA1出口を出て右に向かい、「区民センター前」交差点を右折して明治通りを南に300メートルほど歩いた右側に店はある。

平太

13時過ぎに入店すると、4人がけテーブル3卓、カウンター8席の店内は、ほぼ満席状態だった。かろうじて開いていた入口すぐ横のカウンター席に座った。

メニュー@平太

この店はとんかつ専門店ではなく、とんかつとステーキ、牛カツを売りにしている洋食店。

厨房の店主に「特ロースとんかつ定食(1150円)」を注文すると、女将がほうじ茶を持ってきてくれた。

まだ料理を食べていない先客も多くて、店主はとんかつをなかなか揚げてくれずに、先客が注文したステーキやカキフライ、ハンバーグを作っている。

15分ほど経って、ようやく直径40センチほどの銅鍋にかつを投入した。

食べ終わったお客が去ると、次々に新しいお客がやってきて席が空かない。それでも、次々にお客が入り口を引き戸を開け、店主が「今日は一杯です」と断るので、そのたたびに冷風が吹き込んで寒かった。

10人ほどのお客が後から入ってきたけど、半分は特ロースとんかつ定食を注文していた。やっぱり人気メニューなのだ。

普通の「ロースとんかつ定食(940円)」が先客に供されるのを見ると、肉の厚さは2センチ以上はある。期待が高まるなあ。

入店から30分ほどでようやく料理が供された。

特ロースとんかつ定食1150円@平太

低温でじっくり揚げられたかつは、長さ18センチ幅10センチ厚さ4センチ以上はある。この分厚いかつが1150円だから、とてもコストパフォーマンスが高い。

特ロースとんかつ定食部分@平太

細かいパン粉の衣は、香ばしくてサクサクと美味しい。
肉汁は少ないけど、程よい熟成具合の肉は柔らかくて美味しい。

キャベツが、千切りではなくコールスロー用のみじん切りなのが珍しい。

炊きたてのご飯はもちもちとした食感で美味しく、豚汁の大根はよく煮込まれていた。

割干し大根の漬物と、オニオンスライスが付いていた。


◆希望支払金額:1500円(素晴らしいコストパフォーマンスの分厚いとんかつ)
◆費用対効果度:130%(1500円/1150円)

平太
東京都江東区大島1-38-8


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『入門 朱子学と陽明学』小倉紀蔵(ちくま新書 990)

入門 朱子学と陽明学


『入門 朱子学と陽明学』小倉紀蔵(ちくま新書 990)


儒教は、西欧を手本とする近代化の障害となる「旧弊な思想」として明治維新後に弾圧・打倒されたが、それは誤読であり曲解だと著者は言う。

本書は、儒教的な「宇宙認識」を哲学化した朱子学と、朱子学を継承しつつ「心」の問題を克服しようとした陽明学の言説的な解説にとどまらず、その世界観までを伝えようという意欲的な入門書である。

【目次】

第一章 儒教の「宇宙快感」と「宇宙認識」
第二章 まず儒教を理解する
第三章 朱子学の玄関口
第四章 朱子学の核心―「理」とは何か
第五章 陽明学の核心―「ひとつになること」
第六章 「空虚」をめぐる思索
第七章 鬼神と社会
第八章 気と生命


第1章と第2章では、儒教の基礎を解説している。著者は儒教を次のように定義している。

【定義A】
儒教とは、血の連続性および超越的な存在(天)との合一感を基本にして、生者と死者を包摂した愛と知と美の共同体を構築する宗教思想であり、かつ、その愛の道徳的エネルギーを外部に拡散する変革運動によって他者への統治を実現し、世界的な文明共同体を成就しようとする政治思想である。

【定義B】
儒教とは、血のつながりを基本にした宗教的な愛と道徳のエネルギーを、血縁以外にも拡大することによって文明的共同体の構築・維持を企図する思想である。

【定義C】
儒教とは血と愛と道徳の関係を美によって統御しようとする変革思想である。

【定義D】
儒教とは血と愛と道徳の思想である。

定義Bがもっともわかりやすい。定義Aはわかりにくいし、定義Cや定義Dでは儒教思想のごく一部しか語っていないからだ。儒教とは、血縁共同体を基本として、愛と道徳によって社会統治を目指す思想だという。道徳は日本人にも馴染みがある概念である。しかし、ここでいう愛とは何か。仁のことである。親子という基本単位の間にある愛を同心円的に周りまで広げてゆくのが人間であり、聖人・君主は天下まで広げることのできる特別な人間であるとする。

孔子は古代中国の周を理想社会とした。しかも、その「文化」を普遍的な「文明」であると意図的に錯視することによって、中華思想を生み出した。同じように、中東の1部族の宗教であるキリスト教は全人類の普遍的な宗教であると偽装し、アメリカ合衆国は「自由」と「民主主義」を全人類の権利であると偽装している。

第三章からは『中庸』や『朱子語類』などを引用しつつ、「理」と「気」といった基本概念を詳しく論じて、朱子学の世界観を解説している。

朱子学は「性即理」であるという。「性」は万物の本性であり、「理」は道徳的な原理のことである。朱子学は「性即理」であり「性=理」としたが、陽明学では「心即理」とした。朱子学では「心」を性と情にわけたが、陽明学はわけない。性と情、理と気、善と悪、内と外をわけないのが陽明学の特徴だという。

「根本はひとつだが、結局はわかれている」とするのが朱子学で、「表面上はわかれているように見えるが、根本はひとつである」とするのが陽明学なのだ。

儒教は、ごく一部のエリート層のための学問であり宗教であったが、朱子学が論じた認識論や哲学は、現代の中国人の言動と著しく乖離しているとしか思えないから、日本人の目には異様に映る。より教条的に朱子学を取り入れた李氏朝鮮では、両班が勤労を蔑み読書三昧と思索こそを信条として生きた。イザベラ・バードは『朝鮮紀行』で、そうした両班の日常を強い批判を込めて報告している。

朝鮮半島ほどではないが、私たち日本人の思考や行動様式には儒教思想が深く染み付いている。

仁義や礼を重んじるのはもちろんだが、日本では政治家にはことさら「徳」を求める。日本の政治家は、政策立案能力や外交手腕、官僚を動かす行政処理能力がいかに高くても、徳に反したスキャンダルな行動をすれば瞬く間に糾弾され、政治生命を断たれることもある。聖人が天命によって国を治めるのが政治だという儒教思想に支配されているからだ。


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特ロースカツ定食@とんかつ三太

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まだ冬のはずなのに、最高気温の予想が18度というポカポカ日和の中を新宿にある「とんかつ三太」へ。

JR新宿駅の東口を出て右へ、新宿3丁目方面に伸びる新宿中央通りを200メートルほど歩くと、右側に店はある。

とんかつ三太

13時過ぎに入店すると、半地下のカウンター8席に案内された。この店は、とんかつ店なのに135席もある巨大店舗だ。

ランチのロースカツ定食は1200円(平日は1050円)だけど、「特ロースカツ定食(2200円)」を注文した。食後に、コーヒー(ホット・アイス)かアイスクリームのどちらかを選ぶように言われたので、ホットコーヒーをお願いした。

カウンターの中では、深い寸胴鍋でかつを揚げている。その奥では、食パンを3〜4ミリ角のフライドポテト状に切っている。この店の衣はパン粉ではなく、フライドポテト状に切った食パンなのだ。

岩塩ミル@とんかつ三太

この店には、ウサギ型の岩塩ミルがある。黒い耳を握ってゴリゴリすると、首のところから岩塩がパラパラ落ちる。

15分ほどで料理が供された。

特ロースカツ定食2200円@とんかつ三太

かつは長さ18センチ幅15センチ厚さ1センチほど。まるでかき餅のような3〜4ミリ角のパンの細切りの衣がとても珍しい。

特ロースカツ定食部分@とんかつ三太

脂身がほどよく混じったかつは、旨味がとても強い。噛み締めると、肉汁が口いっぱいに広がって美味しい。築地の「かつ平」を思い出した。

衣は、サクサクに揚がっていて口の中を傷つけるようなことはなかったけど、やっぱり油っこい。赤だしのなめこ汁が脂を流してくれる。

ガラガラ声のおばさんホール係が注意深くお客を気遣っていて、何度もお茶を注いでくれたり、ご飯やキャベツのお代わり注文を取ってくれた。


◆希望支払金額:2200円(とても変わった衣だけど、柔らかくて旨味が強い)
◆費用対効果度:100%(2200円/2200円)

とんかつ三太
東京都新宿区新宿3-33-10



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昼食時は「難民」と化して「新書」を片手に、都内各地を彷徨っています。

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