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昼食難民の新書生活

(新宿・秋葉原・芝浦など各地でのランチと読書)

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『出雲と大和―古代国家の原像をたずねて』村井康彦(岩波新書 1405)

出雲と大和



『出雲と大和―古代国家の原像をたずねて村井康彦(岩波新書 1405)


本書は、岡山県の総社宮で説明板に祭神の名前が大名持命(オオナモチノミコト)と須世理姫命(スセリヒメノミコト)と書かれていることに気づいたところから始まる。

地域の神々を集めた総社なのに、祭神が二柱だけなのか。なぜ大和の神ではなく出雲系の神なのか、ということ長年に気づかなかったことに著者は驚く。スリリングなスタートである。

【目次】

序章 三輪山幻想
第1章 出雲王国論
第2章 邪馬台国の終焉
第3章 大和王権の確立
第4章 出雲国造―その栄光と挫折
終章 再び惣社へ


大和の中心にある三輪山になぜ出雲の神様が祭られているのか?

奈良の三輪山は、ご神体として巨石を祀っていることから、著者は古代の磐座信仰に注目する。出雲族が鉄を求めて山を歩くことが磐座信仰につながったというのだ。そして、大和に磐座信仰があったということは、出雲族がヤマト朝廷につながる神武族よりも先に大和に進出していたことを示しているのだ。

総社宮の祭神である大名持命は、記紀や風土記で大国主神や大己貴命、八千矛神、葦原色許男神などたくさんの異名を持つ出雲系の神である。

著者は、各地の磐座や遺跡を巡り、記紀や『出雲国風土記』、『魏志倭人伝』を読み解きながら大胆な推論を進めていく。

そこから導き出されたのは、磐座信仰を持つ出雲族が製鉄技術で他を圧倒し、大和に進出して邪馬台国を作ったが、南九州に発した神武族の東征に「国譲り」してヤマト王権が誕生した、というものだ。

邪馬台国がヤマト王権とは連続していないことは、記紀に卑弥呼や邪馬台国の記載がないことから明らかである。ヤマト王権が、大きな社を作るという条件で出雲族に「国譲り」をさせたが、屈服させた前政権を正史には記載しないことにしたのは、政権の正当性を天孫降臨神話で彩るにはふさわしくなかったからだ。

帯に書かれている「邪馬台国は出雲勢力が立てたクニである!」だけでなく、出雲族・邪馬台国・ヤマト王権の3者の歴史がつながることになる。

著者は、1930年生まれなので今年で83歳というご高齢である。なのに、各地の磐座を廻る行動力とこの瑞々しい文章は驚きだ。文体の若々しさは、もちろん研究者として今なお衰えない旺盛な好奇心や探究心から生まれているのだ。


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ロースカツ定食@とんかつ あぶた

安くてボリュームたっぷりのとんかつ食べさせると評判の「とんかつ あぶた」へ。

JR総武線新小岩駅の南口出て左へ向かい、大きな横断歩道橋を上って平和橋通りを南へ向かう。10分ほど歩くとコープみらい(2013年3月にコープとうきょう・ちばコープ・さいたまコープが統合)の緑色の看板が見えてきたら、その手前を左に入り道なりに10分ほど歩き、江戸川区中央図書館突き当たったら、旧千葉街道を右に50メートルほど進み、ガソリンスタンド脇を左折してさらに道なりに500メートルほど行くと交差点の向こう側に店はある。

新小岩駅からは徒歩で30分ほどかかる。遠いので真夏に歩いたら汗だくになってしまうだろう。

あぶた

カウンター7席、小上がりに4人がけテーブル3卓、奥に4人がけテーブル1卓、2人がけテーブル2卓の店は、ご夫婦で切り盛りしているようだ。

メニュー@あぶた

どの駅からも遠い住宅街だけに、定食は安く提供している。

この店は厨房が2重構造になっていて、カウンターの目の前で揚げ物して、奥の広い厨房にはレンジ台や洗い場があって、その奥は倉庫になっていた。

お茶を運んできた女将に「ロースカツ定食(1080円)」を注文すると、奥の厨房から店主が出てきて「いらっしゃいませ」と挨拶しながら冷蔵庫からロース肉を取り出して調理が始まった。小麦粉の次に溶き卵に小麦粉を加えたバッター液、パン粉の順でつけていく。

揚げ油は低温らしく、音はほとんどしない。フライヤーにアルミの蛇腹状煙突が取り付けてあって排気音もしない。静かな店内にテレビの音だけが響いていた。

15分ほどで親父から手渡しで料理が供された。

ロースカツ定食1080円@あぶた

長さ18センチ幅8センチ厚さ2センチ以上はある。

ロースカツ定食部分@あぶた

衣がちょっと厚いけど、ロース肉はぶ厚く歯ごたえがあって、肉汁タップリでとても美味しい。

脂身は半透明に溶けかけていて甘い。

ご飯は普通。味噌汁の具は豆腐とネギだった。

それにしても、これで1080円はコストパフォーマンスがとても高いと思う。


◆希望支払金額:1500円(驚くほどコストパフォーマンスが高い)
◆費用対効果度:139%(1500円/1080円)

とんかつ あぶた
東京都江戸川区大杉5-4-10


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『武器としての社会類型論―世界を5つのタイプで見る』加藤隆(講談社現代新書 2164)

武器としての社会類型論



『武器としての社会類型論―世界を5つのタイプで見る加藤隆(講談社現代新書 2164)


著者は神学の研究者。本書では、社会を5つの類型に分類する社会類型論を提案している。

【目次】

第1章 五つの社会類型からなる社会類型論
   「上個人下共同体」社会類型
   「上共同体下個人」社会類型
   「全体共同体」社会類型
   「資格共同体」社会類型
   「掟共同体」社会類型
第2章 古代ユダヤ教とキリスト教
   古代ユダヤ教の成立と展開
   キリスト教の成立と展開
第3章 「西洋世界」の危機と「キリスト教」の採用
第4章 「西洋」と「非西洋」


著者は、社会類型として、以下の5つに分類している。

①「上個人下共同体」社会類型:西洋の伝統社会
②「上共同体下個人」社会類型:中国の伝統社会
③「全体共同体」社会類型:日本の伝統社会
④「資格共同体」社会類型:インドの伝統社会
⑤「掟共同体」社会類型:律法主義のユダヤ社会(イスラム)

もちろん、近代化によって世界の社会構造は大きく変化してきた。だから、著者はそれぞれの社会類型は、それぞれ「伝統社会」を分類したものであるとしている。

西洋・中国・日本・インド・古代ユダヤ(イスラム)それぞれの伝統社会が、5つに分類されるとして、それぞれについて支配・自由・富・価値を説明しているのだが、必ずしもすべてに首肯できるわけではない。どの社会類型あるいは誰にでもあてはまるような血液型占いや星占いのような解説も少なくない。

例えば、資格社会についてインドのジャーティ(生まれ)によって解説しているが、インドのカースト制度には厳格な職能による区分があり、異なる職能集団のメンバー同士は一切の交流をもたない。基本的には、生まれた職能集団に死ぬまで所属することになっていて、職業選択の自由や婚姻の自由は存在しない。有能なメンバーがさっさと仕事を終えると、他のことはできないので瞑想でもするしかない、としている。独断的かつナイーブすぎて笑えるほどだ。この人は、インド人と接したことがあるのだろうか。

後半は、著者の専門である古代ユダヤ教とキリスト教の歴史を中心に解説しており、社会類型とは違う話になっている。

本書には、帯にある“「個人の自由」が何より大切なのは西洋型社会だけ!?”の詳しい分析があるわけではない。典拠を示さずに言いっぱなしになっているのだ。

社会構造を分析する上で類型化は必要なのかもしれないが、それが「武器」になるのかという疑問が最後まで残る。

タイトルと帯に騙されて読んでしまった。



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特ロース(お新香付)定食@とんかつ太郎

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中野区野方にある「とんかつ太郎」へ。この店には一時期よく通っていた。

線路の北側にあったはずの店が、電車からは見えないことに気づいたのは数年前のことだった。閉店してしまったのかと思っていたら、線路の南側の都立家政駅寄りに移転していた。野方駅の北口を新設するために、4年前に立ち退きにあったらしい。

西武新宿線野方駅の南口を出て、そのまま線路沿いに100メートルほど歩くと現在の店はある。

とんかつ太郎

店内には、4人がけテーブル2卓とカウンター4席、小上がりにも4人がけテーブルが2卓あった。

メニュー@とんかつ太郎

平日には、ロース定食が割引になってさらにミニコロッケ・エビフライ・ミニカレーのどれかが選べて1000円のお得なランチがある。

お茶を運んできた女将に「特ロース(お新香付)定食(1570円)」を注文すると、「特上です」と厨房の店主に伝えられた。

この店の創業者は「太郎さん」と呼ばれていたイナセな親父だった。都内にいくつかある「とんかつ太郎」はお弟子さんたちの店だと聞いたことがある。

現在の店主は、創業者の「太郎さん」が引退する直前のころに修業されていた。

そのころの面白エピソードを1つ。

あるとき「とんかつ太郎」に電話がかかってきて、相手は「大工さん、お願いします」と言った。「ウチはとんかつ家ですが……」という返事に、相手は再び「大工さんお願いします」と言う。「ですから、ウチはとんかつ家なんです」と大きな声で答えると、店の裏で片付けをしていた現在の店主が慌てて走ってきて「僕が大工なんです」と言って電話に出たという。

石垣島出身で「大工」という珍しい苗字なのだけど、当時の「とんかつ太郎」は職人さんを苗字ではなく下の名前で呼んでいたため、電話を受けた人が「大工」という苗字を知らなかったのだった。

昔話を思い出しながら新書を読んでいると、15分ほどで料理が供された。

特ロース定食1570円@とんかつ太郎

長さ18センチ幅12センチ厚さ1.5センチほどのカツからは、ラードの甘い香りが立ち上っている。昔はもっとぶ厚かったような気もするけど、きっと記憶の拡大作用だろう。

特ロース定食部分@とんかつ太郎

カツの中央はほとんどが赤身で、最近流行りのレアっぽい揚げ方じゃなくしっかり揚がっている。肉の繊維の歯応えが心地よい昔ながらのとんかつだ。薄い衣はサクサクと軽い。

カツの右端はほとんどが赤身で、左端は8割ほどが甘い脂身だった。

太めで噛みごたえのある山盛りの千切りキャベツは、手が空いている時間に店主がずっと切り続けていたもの。昔も職人さんたちが、大きな牛刀でザクザクとキャベツの塊を刻んでいたっけ。

塩漬けの白菜と刻み昆布と削り節を重ねて直方体に切ったお新香も、昔通りの薄塩味で美味しい。自家製ぬか漬けのお新香も薄塩でもちろんとても美味しい。

艶やかで美しいご飯はモチモチとした食感で美味しく、赤だしの味噌汁はシジミ入り。

食後に、首筋から胸にかけて美味しさがじわじわと染みてきた。

久しぶりに会った初恋の人が、昔と変わらず美しくてとても嬉しかった、という感じかな。


◆希望支払金額:1570円(甘くて香り豊かなカツ)
◆費用対効果度:100%(1570円/1570円)

とんかつ太郎
東京都中野区野方5-32-10 茂野ビル1F


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『食べる日本近現代文学史』平野芳信(光文社新書 629)

食べる日本近現代文学史



『食べる日本近現代文学史』平野芳信(光文社新書 629)


本書は、日本の小説の中における料理を切り口に、男女の役割の変化や小説家が直面している課題の困難さに迫っている。

【目次】

第1章 食べることと“文学”
第2章 食べることと“性”
第3章 食べることと“女”
第4章 食べることと“家族”
第5章 食べることと“文化”
第6章 食べることと“病気”
第7章 食べることと“現代”


著者が書いている通りに、衣食住の中でも食は生きるために必須であり、根源的な欲望であるのはいうまでもない。

しかし、日本では儒教的な教えの伝統によって、最も大切な食に関して言葉を発することが禁忌とされてきた。今でこそ会話を楽しみながらの夕食は一家団欒の理想と見做されるが、少し前までは食事中の会話は厳禁だったし、料理の感想を述べることも憚られた。

こんなわけだから、食通や美食家という呼び名にはいまでもいくぶん侮蔑の香りがまとわりついているように思える。食は男子が語るべき対象ではなかった。

その一方で、食べる描写に心を砕いて書かれた小説も少なくない。本書で著者が〈料理小説〉と呼ぶ小説の多くは必ずしも料理がメインテーマとなっているわけではない。本書では、文学・性・女・家族・文化・病気・現代という7つのテーマにおける〈料理小説〉が解説される。「食べる」シーンを中心に現代における小説の在り方と現代人の行動原理の変化に注目しているのだ。

前半は、小川糸、川上弘美、江國香織、向田邦子、森茉利、岡本かの子、群ようこといった女性作家たちの描いた食べるシーンを中心に展開される。

食べ物の話ばかりして、一向に文学談義をしない筆者は、恩師に「お前の舌は堕落している」と非難されたそうである。(p.152)

著者は、村上春樹以前には、小説の中で食べることをさまざまなレベルで巧みに描写した作家は存在したが、作るという視点は欠落していた、と言う。(p.171)

しかし、それはどうだろうか。開高健は実際にはほとんど調理はしなかったようだが、エッセイはもちろんいくつかの小説の中で料理を作るシーンを活き活きと描写している。

さらに、村上春樹が7年間にわたってバーで料理を作り続けることが「自分というものを確立する」ためだったと語っているのは、自身を相対化し読者を想定した作品を生み出す術を獲得させた、と分析している。客に評価される料理を作ることが村上の小説家修業だったというのだ。

果たしてそうだろうか。むしろ、意に添わない調理を続ける日々が、物語を生み出したいという欲望を心の奥底で沸々と発酵させ、爆発させるエネルギーになったのではないだろうか。

本書の最後で、村上春樹『ノルウェイの森』、よしもとばなな『キッチン』、開高健『珠玉』、江國香『きらきらひかる』、南木佳士『阿弥陀堂だより』、村上春樹『蜂蜜パイ』と1987年から2000年までの小説から、男女が制度的に縛り付けられてきた役割からの解放がこの時期に起こったと眺望して見せている。

しかし、本書には決定的な欠落がある。著者は壇一雄を忘れている。『壇流クッキング』という痛快な調理本や『美味放浪記』で、壇が単なる食通ではなく万能の調理人だったことはよく知られているが、『リツ子・その愛』や『リツ子・その死』、『火宅の人』では珠玉のような食べるシーンを描いている。壇一雄は、食べることを通して人間の業を深く見つめた作家だった。


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カツカレー+超特急(激辛)@ナイアガラ

【激辛カレー】


祐天寺にある鉄道ファンには有名なカレーとコーヒーの店「ナイアガラ」へ。

東急東横線祐天寺駅の東口を出て、駅前ロータリーの左に向かう。商店街を200メートルほど歩いて、線路に近づき右折すると、30メートル先の右手に店はある。

ここは50年前に創業した場所だそうだけど、2013年1月6日までは祐天寺の駅前ロータリーのちょっと先にあって、3月からこの場所に戻った。

鉄道ファンの聖地」として土日祝日は行列ができるらしいので、横浜に行った帰りの金曜日に訪れた(月木は休み)。

ナイアガラ

入り口が寝台特急「ブルートレイン」で使われていた折戸になっていてびっくりした。店内の壁は、蒸気機関車のナンバープレートやホーロー製の行き先案内板で埋め尽くされている。

券売機@ナイアガラ

入って右手にある券売機で「カツカレー(950円)」の食券(この店では乗車券と呼ぶ)を購入し、私鉄職員のような制服を着た若い女性ホール係に乗車券を渡しながら「超特急(激辛)で」と300円を払った。この店では、特急(辛口)・急行(中辛)・鈍行(甘口)は値段がそのままで、超特急(激辛)だけ割増料金になる。

カウンター4席、3卓ある4人がけテーブル席は昔の普通列車のL型座席だった。木製2つは昭和初期のものらしい。

木製座席で料理を待っていると、厨房から国鉄の制帽をかぶった駅長さん(この店では店主をこう呼ぶ)が現れた。狭そうな厨房では、駅長さんのほか女将さんと60代くらいの男性が働いている。

後から来店したお客が、駅長さんに「発車お願いします」と乗車券(食券)を渡すと、「発車しまーす!」と駅長さんは大きな声で厨房に注文を伝えに行った。うむ、この店ではオーダーを発車というのか。

10分ほどで女性ホール係がカウンターの端に行ったと思ったら、模型蒸気機関車が私の横に料理を運んできた。

機関車@ナイアガラ

でも、なぜかバックだった。カツカレーを運ぶSLを正面から見たかったな。

カツカレー+超特急@ナイアガラ

ご飯がアーモンド形に押し固められている。金型は「ライス型メロン」というらしい。なぜアーモンドではなくメロンなのか?

カレーは、トロトロになるまで煮込んだタマネギと豚肉が入っていて、甘口の50倍(実際に50倍の唐辛子が入っているらしい)だけにちょっと辛い。小麦粉を焦がしたルーの昔懐かしい味だ。とんかつはしっかり噛み応えがあって美味しいけど、ちょっと油っぽい

「D57 117」の赤いナンバープレートが気になっていたら、後からきた鉄道マニアに駅長さんが説明を始めた。

「この赤いのは、お召し列車のプレートです。こっちの銀河鉄道999のヘッドマークは、国鉄が最初に企画した行き先秘密の臨時列車のもので、ウチと鉄道博物館にしかありません」

店内に装飾されている鉄道グッズの数々は、膨大なコレクションの一部で定期的に入れ替えるという。そして駅長さんは説明を続けた。

「こうした品々は、個人が所有していてはいけないのです。皆さんのものなのです。だから、いまは法人の所有になっているんです」

ご高齢の駅長さんは、終着駅を前に仕舞い支度として、コレクションを散逸させないために法人化(一般社団法人「鉄道文化振興会」)し、事務所として使っていた創業の地に店を戻したということらしい。

「先日、加山雄三さんが『若大将のゆうゆう散歩』の取材で来たんですよ。3月18日に放送されるのでよろしかったら観てください」

鉄道マニアの加山とは、当然のことながら話が盛り上がったらしい。


◆希望支払金額:1250円(小麦粉を炒めたルーのカレーであまり辛くない)
◆費用対効果度:100%(1250円/1250円)

ナイアガラ
東京都目黒区祐天寺1-21-2


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『ドイツ人住職が教える 禅の教え 生きるヒント33』ネルケ無方(朝日新書 363)

禅の教え33



ドイツ人住職が教える 禅の教え 生きるヒント33』ネルケ無方(朝日新書 363)


著者は、兵庫県の山奥にある安泰寺のドイツ人住職。本書は、道元の『正法眼蔵』『典座教訓』『知事清規』などを中心に、「いかに生きるか」というテーマで33の教えを解説している。

【目次】

一章 出会うものすべてが自己
二章 あなた自身を手放す
三章 無常を感じる


迷える者の禅修行』では、ベルリンに生まれた内省的で坐禅に魅せられたドイツ人少年が、日本語を学び安楽寺の住職となるまでが描かれたが、本書では33の教えをその後の結婚生活や子どもの誕生といった著者の日常とともに描かれている。

この数カ月間、本書をトイレに置いて、ある時は毎日、しばらく時間を置いてまた毎日、と何度も何度も読み返した。各項はわずか数ページなのでとても読みやすい。しかし、なかなか読み終えることができないのは、本書が通読するような本ではないからだ。

著者は身の回りの世俗的で卑近な例を挙げながら、道元の教えを通して釈迦の思想に迫っていく。私にとって『正法眼蔵』は、挑むたびに跳ね返され真髄どころか片鱗にすら触れることができない大きな巌のような存在だ。著者はその巌の側面や細部に光を当て、奥底に潜む道元と釈迦の深遠な思想に触れさせてくれるのだ。

帯に書かれている「少欲知足」は、釈迦が沙羅双樹の下で涅槃に入るときに説いた本当の大人(だいにん)になるための8つの条件である「八大人覚」の最初の2つである。

「八大人覚」
少欲(欲が少ないこと)
知足(足るを知ること)
楽寂静(今ここに落ち着くこと・よそ見をしないこと)
不妄念(自分は何をしようとしているのか、ハッキリ念頭に置くこと)
修禅定(自分を坐禅に任せること)
修智恵(大人の自覚を実践に移すこと)
不戯論(空論を止め、現実に生きること)

 
「言葉その2 少欲知足という生き方」(p.16)では、少欲知足は「やせ我慢をしなさい」というマイナス思考ではなく、欲という束縛から解放されれば、「失うものは何もなかった」という気づきが待っている。「これでいい!」とすべてを手放してみたら、仏の手のひらの中にいる自分を再発見できる、と説いている。

日本人には馴染み深い「少欲・知足」にこそ、本当の大人の条件が集約されている、と著者は言う。しかし、あくなき欲望こそが近代文明のエンジンであったことも確かだ。非生産的な求道者だけでは社会は成り立たない。そこで「身の程」や「分」といった、長い歴史の中で我々の思考や行動原理の奥深くに刻まれた生き方が生まれたのだろう。

本書の最後、「言葉その33 無方、それでも空にちらばらない」は、仏典ではなく宮沢賢治の『農業芸術概論綱要』からの引用である。

  「宇宙の微塵となりて無方の空にちらばらう。」(p.203)

寺の倉庫を修理中の事故で重症を負った著者は、自分では死ぬ気はなかったが弟子たちが騒ぐので「それなりに大事かもしれない」と覚悟を決める。その覚悟が「宇宙の微塵となりて無方の空にちらばらう」だった。

「無方」という僧名はここから来たのだろうか。



■ネルケ無方の著書
『迷える者の禅修行―ドイツ人住職が見た日本仏教』
『ただ坐る―生きる自信が湧く 一日15分坐禅』
『日本人に「宗教」は要らない』


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上ロースかつ定食@とんかつ やまくら

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東新宿にある「とんかつ やまくら」へ。

都営地下鉄大江戸線東新宿駅のA2出入り口を出て左へ、抜弁天通りの坂を下って上り、450メートルほど先の登り切ったところがY字路の「抜弁天交差点」。店は、その手前にある左に下る急な坂の路地を入った右手にある。

大江戸線が開通するまで、最寄り駅は東京メトロ丸ノ内線新宿御苑前駅だったのだろう。徒歩で20分ほどはかかったはずだ。

とんかつ やまくら

店内は、カウンター4席に4人がけテーブル1卓、2人がけテーブル1卓、小上がりに4人がけテーブルが2卓ある。

13時半に訪れると、先客は6人でまだ誰も料理を食べていない。ちょうど2回転目に入ったところだったらしい。

メニュー@やまくら

この店は銘柄豚の肉をしようしているらしい。厨房の大型冷蔵庫に「はやしSPF」のシールが張ってあるけど、SPF豚なのだろうか。

厨房では、60代のでっぷりと太った親父が調理をしていた。お茶を運んできた30代の青年に「上ロースかつ定食(1700円)」を注文した。

青年が親父の指示を受けながら揚げ方も担当していた。親子だろうか。

深さ10センチほどの2つの鍋を使い、まず高温で表面を揚げ、低温の鍋でじっくり仕上げている。

店内に最古参の落語家・三遊亭金馬さんが干支を描いた色紙が、たくさん飾ってある。2013年の今年は84歳だって。

次々に先客の料理が完成し、20分ほどで料理が供された。

上ロースかつ定食1700円@やまくら

でかい! 厚さは1.5センチほどだけど、長さ20センチ幅13~14センチの巨大なかつだった。

上ロースかつ定食部分@やまくら

赤身が濃い海老茶色で、脂身が融けだしている。最初の1切れを口に入れた瞬間、柔らかさに驚いた。噛むのに歯がいらない。揚げる前に叩いてはいなかったけど、驚くばかりの柔らかさだった。

全体的に赤身と脂身が6対4ぐらいで、赤身と脂身の境目の筋が美味しい。ほどよい熟成だけど、肉自体の旨味は少ない。SPF豚のような上品さはなくて、むしろ野趣のある味だった。

薄い衣はサクサクに揚がっているけど、ちょっと油切れが悪い。

ご飯は普通、豆腐とナメコの赤だしの味噌汁が喉に残った油を流してくれる。

食後は、抜弁天交差点にある「厳嶋神社」通称「抜弁天」へ。

抜弁天

交差点の角にある小さな祠だった。

「抜弁天」という名称の由来は、源義家が祈願して苦難を切り抜けたため、あるいは参道を南北に通り抜けられるため、という。

通りぬけ@抜弁天

といっても「抜弁天」は、Y字路のVの先端にあるので、わざわざ通り抜けなくともすぐに回り込める。どういうことなのだろう。


◆希望支払金額:1700円(脂身の多い巨大なかつ)
◆費用対効果度:100%(1700円/1700円)

とんかつ やまくら
東京都新宿区新宿7-11-3


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『日本型リーダーはなぜ失敗するのか』半藤一利(文春新書 880)

日本型リーダーはなぜ失敗するのか



『日本型リーダーはなぜ失敗するのか』半藤一利(文春新書 880)


「おはよう、今日の首相はだれかな?」というジョークがイタリアにある。短命政権が続いているためだ。日本も小泉純一郎は5年半という首相在任を果たしたが、小泉以降は1年ごとに首相が替わっている。日本もイタリアと変わらない状況で、東日本大震災と福島第一原発事故以降はリーダー不在が叫ばれている。

本書は、“歴史探偵”を自認する著者が、日本に真のリーダーが存在しがたい原因を日本陸海軍の組織、人事、教育の面から解明している。

【目次】

第1章 「リーダーシップ」の成立したとき
   戦国武将のお手本 将には五材十過あり ほか
第2章 「参謀とは何か」を考える
   ①権限発揮せず責任もとらない
   ②権限発揮せず責任だけとる
   ③権限発揮して責任とらず ほか
第3章 日本の参謀のタイプ
   ①書記官型
   ②分身型
   ③独立型
   ④準指揮官型
   ⑤長期構想型
   ⑥政略担当型
   〈結語〉優れた参謀とは
第4章 太平洋戦争にみるリーダーシップ1
   リーダーの条件その一、最大の仕事は決断にあり
   リーダーの条件その二、明確な目標を示せ
   リーダーの条件その三、焦点に位置せよ
第5章 太平洋戦争にみるリーダーシップ2
   リーダーの条件その四、情報は確実に捉えよ
   リーダーの条件その五、規格化された理論にすがるな
   リーダーの条件その六、部下には最大級の任務の遂行を求めよ


著者は、「日本型リーダーシップ」の成立を西南戦争に求めている。西郷隆盛という強力なリーダーに率いられた日本最強の西郷軍は、有栖川親王というお飾りの指揮官に率いられた寄せ集めの新政府軍に敗れた。山県有朋が参謀として実質的に現場を指揮したからだ。

総大将は戦いに疎くても参謀さえしっかりしていれば大丈夫、戦に勝てる。(p.47)

「参謀が大事」という思想は、軍の独立性を保つための参謀本部の創設、参謀を育成するための陸軍大学校と海軍大学校、陸軍士官学校、海軍兵学校の創設へとつながるとしている。

しかし、リーダーと参謀という構造は、統治機構を権威と権力に二分する日本に古来からあるシステムではないか。武士台頭後の天皇制がそうだし、幕藩体制内も権威と権力は二分されてきた。

著者は「日本型リーダー」の原型が大山巌と東郷平八郎にあるという。理想のリーダー像を、帝国陸軍は大山に、帝国海軍は東郷に求めた。

大山は、日露戦争で苦戦中に、満州軍司令部の自室から出てくると「朝から大砲の音がしもうすが、どこぞで戦がごわすか」と児島源太郎総参謀長に尋ねたという。児島が「なにもございません。どうぞご安心ください」と答えると、「そでごわすか。ま、しっかりやってください」と自室に戻った。

東郷が指揮する帝国海軍は、日本海開戦時に対馬海峡でバルチック艦隊を待ち受けた。ウラジオストックを目指すバルチック艦隊の航路は3つの航路が予想されていた。1つ目は対馬海峡、2つ目は太平洋を通って津軽海峡、3つ目は同じく太平洋を通る宗谷海峡。なかなか現れないバルチック艦隊が太平洋へ抜けたのではないか、という議論が紛糾した時に、東郷平八郎は対馬海峡をさして「ここにくるでごわす」と言いい、それが大勝利へとつながった。

しかし、2つのストーリーはいずれも一般向けに書かれた“伝説”であり、両者に共通するのは、指揮官は危機に際して少しも慌てず泰然自若としていることだ。しかし実際には、大山と東郷は戦況を綿密に分析し、適切に対処したからこそ勝利を収めたのだ。

「日本型リーダー」を求める悪弊は、絶大な権力を握っていた陸軍の「派遣参謀」や適材適所の人事を阻んだ日本海軍の「軍令承行令」、単なる軍事オタクしか養成できなかった陸大・海大の教育へとつながる。

本書では、第2次世界大戦における帝国陸海軍の指揮官たちの驚くべきリーダーシップ欠如の行動が次々と語られ、暗澹たる気持ちになる。まともなリーダーなどいなかったのではないか、と言わざるを得ないほどだ。

敗戦の兆しが色濃くなっていた昭和19年11月、予備役になっていた東條英機は、近衛文麿にこう語ったという。

自分は二つのまちがいをやった。その一つは、南方占領地区の資源を急速に戦力化し得ると思ったこと。その二は、日本は負けるかもしれないと思い及ばなかったことだ。(p.215)

その東條は、たった3年前の昭和16年10月に、陸相として近衛首相に「米国には米国の弱点があるはずではないですか」と、日米には圧倒的な国力の差があるという情報を無視し、何の根拠もない主張で対米戦を強く迫った。それが、300万人を超える戦死者を出す国家の危機を招いたのだ。

ナチス政権から亡命中のブレヒトは、『ガリレオの生涯』で「英雄を必要とする国が不幸なのだ」と書いた。国家が強力なリーダーを必要とするのは、国家が存亡の危機を迎えている時だ。ヒトラーも東條英機も民衆の圧倒的な人気で英雄として最高権力を手にした。アメリカでは、今では歴代最低の大統領といわれるジョージ・ブッシュが、「悪の枢軸」という歯切れのいいフレーズで反イスラム感情を惹起していまなお続く泥沼の戦争へと踏み出している。

1年ごとに首相が代わるのは本当に恥ずかしいことなのだろうか。強力なリーダーなど必要としないほど日本社会が安定し、成熟していることの証左と言えないだろうか。

権威と権力を二分する日本的システムは今後も続くだろうが、少なくとも泰然自若とした態度だけが取り柄のリーダーと、結果責任を一切負わない参謀による「日本型リーダー」システムからは、真のリーダーは生まれないことだけは確かなのである。


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ジャンボチキンカツカレー@東京カレー屋名店会 アトレ秋葉原

秋葉原にある「東京カレー屋名店会 アトレ秋葉原」へ。

JR秋葉原駅電気街口にある駅ビルのアトレ1の1階に店はある。

この店は、かつて訪れたことのある御茶ノ水の「エチオピア」や神田小川町の「トプカ」、上野広小路の「デリー」、さらにブログには載せていないが行ったことのある神保町のスマトラカレー「共栄堂」、そしてかつて本郷にあった「本郷プティフ」と5店舗の有名カレー屋がコラボレーションしていて、1つの店で5店舗のカレーを味わうことができる。かつて、根岸線関内駅の近くにあったカレーのフードテーマパーク「横濱カレーミュージアム」のミニ版だ。

東京カレー屋名店会

12時過ぎに訪れると、案の定、カウンター15席の店は満席で行列していた。10分ほど待ってカウンター席に。

メニュー2店盛り@東京カレー屋名店会

5つの店それぞれのカレーを組み合わせたメニューがある。2点盛りではなく、2店盛りとなっている。カレー1種類の場合は、1店盛り。

メニュー5店盛りコンボカリー@東京カレー屋名店会

5店のカレーをセットにした「5店盛りコンボカリー(2300円)」という重量級もあるけど、200円プラスでご飯を追加して2人で食べることを勧めている。当たり前だ。

ランチメニュー@東京カレー屋名店会

人気の「ジャンボチキンカツカレー(790円)」を注文した。これは、「鈴木カリー」というコラボの5店舗とは違う店の料理らしい。以前、14時近くに入店したときに「売り切れ」で食べられなかったので、今回はどうしても食べたかったのだ。

大好きなカツカレーだけど、ずいぶん久しぶりだ。

注文を受けてからチキンカツを揚げているので、10分ほどで料理が供された。

ジャンボチキンカレー790円@東京カレー屋名店会

んん、チキンカツはジャンボじゃない。でも、手のひらサイズが2枚載っているし、ご飯が大盛りだから、合わせ技で「ジャンボ」か。

揚げたてのチキンカツは5~8ミリほどの厚さで、ジューシーで美味しい。衣がサクサクに揚がっていて食感が楽しい。

カレールーには、肉は入っていなくて確認できた固形物は玉葱と人参だけの普通の欧風カレーだった。ご飯の量に比べ、ルーが少ないので途中から、白いご飯だけにならないように割り振りを考えながら食べた。

塩気も旨味も薄い卵スープと、美味しいゆで卵のサラダが付いていた。

ダブルのチキンカツと大盛りのご飯で満腹


◆希望支払金額:790円(ジャンボじゃないけどチキンカツが2枚)
◆費用対効果度:100%(790円/790円)

東京カレー屋名店会 アトレ秋葉原
東京都千代田区外神田1-17-6 アトレ秋葉原1


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