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昼食難民の新書生活

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『ことばと思考』今井むつみ(岩波新書 1278)

ことばと思考


『ことばと思考』今井むつみ(岩波新書 1278)


われわれの「認識」や「思考」は言葉に支配されている。われわれは言葉で世界を切り分け、あらゆるモノやコトを理解する。

本書は、「認識」と「思考」についての認知心理学によるアプローチの入門書である。平易な解説とさまざまな実験の具体的な紹介でとてもわかりやすい内容となっている。

言葉による世界の切り分け方について初めに紹介されるのが「色」である。色は切れ目なく無限に存在するが、色を表す基礎語は各言語によって異なる。例えば、英語のorangeには日本語のいわゆる茶色も含まれるという。また、明暗の2つしか色に関する言葉を持たない言語もあるという。日本人は、信号機の色を「赤・青・黄」と色分けするが、欧米人は青ではなく「緑」と言う。本書には書かれていないが、古代日本語には「緑」を表現する言葉がなかったために、「青葉」や「青豆」などいまだに緑色を青と表現する言葉が多いためだ。

人が直立2足で移動する動作を表す基礎語として、日本語には「歩く」と「走る」の2つしかないが、英語などのインド・ヨーロッパ語にはいくつもの基礎語がある。ところが、ゆっくり歩く映像から走る映像までを各語話者に見せたところ、日本人が「歩く」から「走る」と表現を変える移動の仕方と同じ速度で各語話者が表現する基礎語を変えたという。つまり、動作を表す基礎語にも共通の切り方があるらしい。

第2章では、子供が言葉を理解し、世界を切り分けていく過程のさまざまな実験を紹介していて面白い。

「われわれは、生まれつき身につけた言語の規定する線にそって自然を分割する」とするサピア=ウォーフ仮説によれば、人の思考は言語と切り離すことができないものであり、英語とアメリカ先住民のホピ語には「埋めることのできない、翻訳不可能な溝がある」という。つまり、サピア=ウォーフ仮説によれば、世界に切り分け方が違う異なる言語間では正確なコミュニケーションは成立しない、というのだ。

確かに、「翻訳」によってでは充分に理解できない感覚や思考の流れはあるだろう。しかし、同一言語話者間ですら微妙なニュアンスは言葉を重ねて伝えることがあるのだから、そうした異言語話者には翻訳不能な情報があったとしても、言葉を重ねて説明すれば解決できるはずだ。

サピア=ウォーフ仮説は、異言語そしてその言語を話す人々の異文化の理解に対する無能さを表明しただけなのではないか。

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