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『巨大翼竜は飛べたのか―スケールと行動の動物学』佐藤克文(平凡社新書 568)

巨大翼竜は飛べたのか


『巨大翼竜は飛べたのか―スケールと行動の動物学佐藤克文(平凡社新書 568)

著者は2009年4月に「巨大翼竜は飛べなかった」とする論文を発表し、世界の耳目を集めた動物学者。古生物学者ではなく、鳥類の研究者が大胆な仮説を発表できたのは、データロガーという搭載型の計測機器を動物(主に鳥類)に取り付けて、飛翔や潜水などの行動を数値化して明らかにしたからである。

6章からなる本書では、その大部分が南極大陸から岩手県まで世界各地で実施されたデータロガーによる計測のルポルタージュとして描かれている。巨大翼竜の記事を期待した恐竜ファンが本書を読み始めたら「タイトルに騙された」と感じるかもしれない。しかし、試行錯誤を繰り返しながらペンギンやウミガメ、オオミズナギドリといった動物が移動する速度や加速度、飛翔する際の翼の周波数、水深・高度といったデータを記録し解析することで、それまで観察することが困難だった動物の行動が明らかにされる過程が詳細に紹介される本書は、ファーブルの『昆虫記』のようなワクワク感に満ちた記述となっている。

著者は前著でほとんどの水棲哺乳類が、時速2キロほどで泳いでいることを明らかにしたが、本書では体長が大きな動物ほどやや早く泳ぐことを大学院生からの指摘で気づいたことを明らかにしている。

著者は、データロガーでワタリアホウドリを含む5種のミズナギドリを調査しており、体長と翼を羽ばたく周波数などから飛翔能力を分析した結果、翼開長4.1メートル体重40キロが飛翔するための限界と推定し、「巨大翼竜は飛べない」という結論にいたっている。また、「地上から飛び上がれないので木に登ってから飛び立つ」とされてきたオオミズナギドリにデータロガーを取り付け、実際には助走もつけずに飛び立つことが多いことを明らかにしている。

と、ここで思い出したのが、かつて観たペルーの人々がコンドルを捕まえるドキュメンタリー番組だ。神事のためにコンドルを捕まえる(もちろんあとで逃がす)方法は、切り立った崖の麓にエサを仕掛けてコンドルが降り立つのを待ち、一斉に走り寄ってコンドルをパニックに陥らせて、崖側に追い込んで素手で捕まえるというものだった。コンドルは坂を駆け上りながらでは飛び立てないのだった。しかし、コンドルも坂を下りながらならば飛び立つことはできるし、上昇気流のある崖の上ならば助走なしに飛び立てる。

最大の翼竜とされるケツァルコアトルスは、翼開長10メートル体重70キロとされている。翼を動かす力は筋肉の断面積に比例するが、その断面積は体長の2乗に比例する。ところが体重は体長の3乗に比例するため、10メートルの翼開長を支えるための骨は太くならざるを得ないし、そのための筋肉量も増えなければならない。そうなると、体重70キロではなく、体重200キロ以上でなければならないと推定している。本書の帯の写真が、体重70キロの著者がケツァルコアトルスに載っている合成写真。これだけ身体の大きさが違うのに同じ体重というのは、どう考えてもありえない。ケツァルコアトルスは、重すぎて飛べなかったはずだ。

現在の鳥類に比べてケツァルコアトルスの骨が格段に硬く、翼竜の筋肉が格段に強いエネルギーを生み出すような筋肉だったとしても地上から飛び立つことはできず、高台から滑空することしかできなかっただろうとしている。高台から滑空して移動して獲物を得たとして、巣に帰るときにはどうするのか。再び、高台まで歩いて登って滑空するというのでは、厳しい生存競争を生き残れないだろう。

翼竜のいた時代の空気の密度が現在よりも高く、重力加速度が現在よりも少なかったとしたら、ケツァルコアトルスが飛べたかもしれないが、そうした環境の証拠は見つかっていないのである。

では、飛べない巨大翼竜は何のために強大な翼を持つことになったのか? 著者は古生物学者ではないからその疑問には答えていない。

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