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『日本語と時間―〈時の文法〉をたどる』藤井貞和(岩波新書 1284)

日本語と時間―〈時の文法〉をたどる


『日本語と時間―〈時の文法〉をたどる藤井貞和(岩波新書 1284)

古代の日本では、「き、けり、ぬ、つ、たり、り」という6種類の時に関する助動詞(著者は助動辞と呼ぶ)を使い分けていたという。これに「けむ」と「あり」を加えると、実に8種類もの時称を使い分けていたことになる。6種類の時称は、現代語ではたった1つの「た」によって表すだけになり、日本語の文末はひどく単調なものになって文学者たちを悩ませている。「けむ」は「たろう」、「あり」は「である」になっている。

著者は、古語の時称の助動詞を「ki」を頂点とし、3つの底点に「a-ri」・「si」・「am-u」を持つ「krsm四面体」によって説明している。時間域を表現するのが「ki」「a-ri」であり、形容域を表現する「si」、推量域を表現する「am-u)」である。これに、この四面体を内包する楕円形の軌道上に「つ」と「ぬ」を配置し、「つ」と「ar-i」の結合が「たり」と生んだとしている。

古代日本語から導かれた「krsm四面体」は、古代人に限ることなく、現代人にも、世界にも通用する、普遍言語のモデルである(p.44)、というのが著者の主張である。

第二章以降では、「けり」・「き」・「ぬ」・「つ」・「たり」・「た」のそれぞれについて『源氏物語』を中心に、その発生や使い方、山田文法・松下文法・橋本文法・時枝文法の四大文法をはじめとする文法理論を批判的に検討することで、それぞれの時称の実体に迫ろうとしている。

途中で係り結びの説明をはじめる中で、日本の七五調と同様の韻律をもつタミル語の詩歌「サンガム」を紹介し始めているのでびっくりした。

ところで「krsm四面体」だが、説明が十分になされていないこともあって、「普遍言語のモデル」という大げさな表現がふさわしいのかどうかわからない。玉村豊男の「料理の四面体(生の食材が底辺三角形にあり、頂点の火(熱)に向かって、水・油・空気の3つの要素がそれぞれの辺にある)」のようにあらゆる調理法が説明できる鮮やかな切り口はないようだ。

著者には「krsm四面体」のさらなる研究による体系化を望みたい。

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