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昼食難民の新書生活

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『本当は危ない『論語』』加藤徹(NHK出版新書 341)

311東日本大震災で被害に合われた方々に十分な生活物資が一刻も早く届くとともに、1日も早く復興されることを願っています。放射線被曝の危険を省みず、原発事故に立ち向かっている方々には心から敬意を表します。そして、震災と津波で命を失われた数多く方々のご冥福をお祈りします。


本当は危ない『論語』


『本当は危ない『論語』』加藤徹(NHK出版新書 341)

『論語』は儒教の経典ではなく、二流の副読本に過ぎなかったという。孔子が編纂したとされる『詩経』と『書経』は五経に含まれ、儒教の経典とされたの対して『論語』はあくまで二流の地位しか与えられなかった。孔子が自ら執筆したのではなく、孔子の死後に孫や弟子たちが書いたとされるからだ。

わが国には王仁によってもたらされたとされるが、『論語』が基本図書となるのは朱子学がもたらされた江戸時代以降である。

本書は、『論語』の誕生、孔子の謎、キーワードと擬声語、日本への受容の4章立てで書かれている。

『論語』が二流の書だったというのは第1章に書かれている。『論語』は、誰が書いたのかわかっていない。孔子の弟子か孫弟子あたりが書いたのではないかとされている。生前の言葉や思想を「子曰~」として書いているが、実際にそう話したのかどうか確かめようがないし、後世の偽作も含まれることがわかっている。新約聖書や仏典もキリストやブッダが書いたものではなく、後世の弟子たちがまとめたものである。

江戸幕府は、全国を統治する思想として儒教を利用することにした。しかし、その思想の危険性に気づいていたからこそ、宗教としての「儒教」は禁止しし、あくまで封建支配を肯定する「儒学」として特に朱子学を奨励した。著者によれば、儒教を取り入れ『論語』を重んじたのは、集約農業が行われていた朝鮮・ベトナム・日本である。狭い土地で多くの人が仲良く暮らすには、『論語』による民衆の教化が必要だったというのだ。

古代中国の「儒」は、冠婚葬祭、特に葬送儀礼を専門とした集団であり、孔子は堯・舜、文武周公の古えの君子の政治を理想の時代として、仁義の道を実践し、上下秩序の弁別を唱えて体系化した。五常(仁、義、礼、智、信)という徳性を拡充することにより五倫(父子、君臣、夫婦、長幼、朋友)関係を維持すること教えるものだった。

徳川幕府は、幕藩体制の維持にこの思想を利用しようとしたが、江戸幕府と朝廷が並立する権力の二重構造は本来の儒教思想とは矛盾するものだった。天皇の配下に過ぎない征夷大将軍である徳川家が天皇から権力を奪っている状態は望ましくないし、もし天皇が権力者としてふさわしくないのならば、易姓革命(皇帝の姓が変わる)を起こして徳川家が天皇になるべき、ということになってしまう。著者が『論語』を危険だとするのは、こうしたところにもある。

そして幕末になると、『論語』を学んだ志士たちによって尊皇という体制転覆のイデオロギーを支えるバックボーンとなる。

『論語』は、まだ紙のなかった時代に書かれたため、文字数を節約するためもあって、句読点や記号が使われずに文字だけが並ぶ文体になっている。まだ、後世の『韓非子』や『老子』といった書と違って、文章表現が稚拙なため句読点の打ち方で反対の意味になるような文章も少なくない。こういったところも、著者が『論語』は毒にも薬もなる、としている点だ。

『論語』に関して、擬声語からアプローチを試みているのも面白い。キーワードとなっているいくつかの言葉について、音声学的分析によってその思想に迫ろうというものだ。わが国では『論語』の訓読に際して、「賢」を「かしこき」と和訓で読むよりも「ケン」と中国語読みすることが多かったが、それは本来の発音が持つ語感を生かしたものだった。「賢(ケン)」は、賢いだけでなく鋭い固いというニュアンスを持っている。1文字1音節である古代中国語では、漢字の意味は音と深く結びついていたのだ。


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