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『『古事記』神話の謎を解く―かくされた裏面』西條勉(中公新書 2095)

『古事記』神話の謎を解く



『『古事記』神話の謎を解く―かくされた裏面西條勉(中公新書 2095)


本書は、『古事記』に記された、そして記されなかった古代の記憶を読み解く試み。古事記上巻の火遠理命(山幸彦)までを取り上げている。

『日本書紀』は中国語で書かれた国際的に通用する「歴史書」であり、完成早々には役人の必読書になったという。『源氏物語』などで神話が引かれるときにも、日本書紀からである。ところが、古事記は誰が読んだのか不明だという。

日本の成立は日本語の成立でもある。文字言語に置き換え可能に客体化された和語が日本語である。ナラティブな民間伝承を文字にした時点で多くのものが抜け落ちたが、古事記は縄文以来の「神話」を解体し、「日本」の成立神話として換骨奪胎したものなのである。

著者によれば、古事記や日本書紀に書かれた「神話」は、新しく誕生した「日本」にふさわしい神話として、民間伝承を解体し編成したものだという。そして、解編した際のゆがみやきしみは、古い神話の変形として取り出すことができるとしている。

古事記は、数万年前からの口承神話をバラバラにして、新しいストーリーのもとに作り替え、新しく意味付けしたものだという。著者は、編者の意図に迫るため、古事記の裏側のストーリーに注目している。

分析のために著者が用いるのが比較神話学でおなじみの「話型(ストーリー・タイプ)」。世界中の神話や民話は、基本構造が共通するものがあり、古事記にもギリシャ神話などと共通する話型があるからだ。例えば、「黄泉の国で「見るな」と言われたイザナミをイザナギが見てしまうストーリーは「禁室型」であり、「異郷訪問型」で主人公が成長を遂げて変身するストーリーは、天の岩戸や山幸彦の海神の宮訪問などいくつも見られる。

著者の分析によって明らかにされるのは、オオナムチとスクナヒコナの神代からイザナギ・イザナミの神代への転換であり、スサノオやオオクニヌシの無力化、という口承神話の書き換えである。それは、「万世一系」の神話化のために行われたとする。つまり、ヤマト王権が「日本」という国家を作る上で、それまで人々が信じてきた伝承を書き換えるためのものだったのだ。

それにしても疑問は多い。『古事記』は半年で奏上されたことになっているが、たった半年で著者が読み解いたように綿密で精緻な口承神話の解体が、太安万侶に可能だったのだろうか。

また、古事記では合体・改編された口承が、日本書紀では複数のストーリーを「一書」として史料を元に併記しているのはなぜか。稗田阿礼が『帝紀』『旧辞』といった古伝承を暗誦していたということ自体が虚構なのではないか。


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