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『発達障害を見過ごされる子ども、認めない親』星野仁彦(幻冬舎新書 ほ3-1)

発達障害を見過ごされる子ども、認めない親


『発達障害を見過ごされる子ども、認めない親』星野仁彦(幻冬舎新書 ほ3-1)

著者は、注意欠陥・多動性障害(ADHD)という発達障害がある(あったとは書いていない)精神科医。

本書は、ADHD・アスペルガー症候群・自閉症など発達障害について幅広く概説している。親が子供の発達障害を見過ごし、認めようとしないのはADHDやアスペルガー症候群では知的障害を伴わないことがあり、奇異な言動の目立つ子供であっても子どもの個性であると勘違いするからだという。

発達障害について遺伝的な要因を挙げているが、その機序については「前頭葉の報酬系(A-10神経系)の機能が弱く、ドーパミンという神経伝達物質も不足しています。」(p.33)と説明している。発達障害は脳の機能障害が原因なのである。

著者が本書で再三にわたって指摘しているのは、発達障害の「二次障害」についてである。発達障害の子供は、思春期を迎える頃に、学校でのいじめや不登校、自律神経失調症、うつ状態、チックや爪かみなどの習癖、睡眠障害などの二次障害を起こし、ときには性非行や非行に及ぶことがあるからだ(p.33)。また、幼い頃に適切な治療を行わないわず、二次障害を引き起こしてからでは治療が難しくなるからでもある、という。

本書では論拠を示さない記述が目立つ。例えば、発達障害は脳の発達にアンバランスがあるために発達の側面に偏りがある、とした上で、「しかし、普通の人と同じことができない部分がある反面、人並み外れて優れた能力を発揮することもあります。たとえば、モーツァルトやベートーヴェン、アインシュタイン、ピカソ、エジソンなどがそうです。」(p.19)と歴史に残る偉業を成し遂げた人々を発達障害であったかのように書いている。この著者は、医師とは思えない杜撰で乱暴な診断をする人らしいことがわかる。診察をしていない、診療記録もない歴史上の人物を伝聞だけで診断しているのだ。

また「アメリカで刑務所に入所している犯罪者を調査したところ、彼らの50~70%に.ADHDとアスペルガー症候群が認められたのです。」(p.142)とあるが、この本のどこにも典拠は示されていない。

ちなみに、巻末に「参考文献」として8冊の書籍が列挙してあるが、そのうち5冊は自著である。

ツッコミどころは多い本書だが、著者が発達障害の原因として再三触れている「ゲーム脳」について書いておく。「ゲーム脳」という言葉は、日本大学体育学科教授の森昭雄が、2002年7月に出版した著書『ゲーム脳の恐怖』で生み出した造語である。テレビゲームや携帯電話のメール入力、パソコン操作が人間の脳に悪影響を与えるとする仮説だ。森は、独自に開発した簡易脳波計でソフトウェア会社のプログラマを計測したところ、β波の出現率が著しく低い「認知症患者」と同様だったのが、発見のきっかけだったという。テレビゲームなどの操作中に同じくβ波の出現が低減することからゲーム脳と名付けられた。

「ゲーム脳」という言葉が登場した当初は脚光を浴びてテレビゲームへの批判が高まった。しかしその後、医学的な手続きを経ない実験であり追試不可能である、森によるα波とβ波の認識に重大な間違いがある、森の使用した簡易脳波計は筋力計なので脳波は計測できない、など「ゲーム脳」に対して脳科学者や精神科医からの批判が相次ぎ、トンデモ科学だったとするのが最近の常識だ。

すでに死語になりつつある「ゲーム脳」が、あたかも発達障害の原因であるかのように記述することで信頼性を著しく低めているのに、出版社はなぜ訂正を求めなかったのだろうか。編集担当者の怠慢だろう。


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