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『反米主義』近藤健(講談社現代新書 1956)

反米主義

『反米主義』近藤健(講談社現代新書 1956)

日本ではグローバル化に反対する海外の運動がなかなか報道されない。まれに報道されることはあっても、事件の背景まで報道されることはないようだ。

日本では、グローバル化は避けることのできない世界的な潮流のように報道され、企業にはグローバル化に対応することが求められた。しかし、世界の国々、特に途上国と呼ばれる国では、グローバル化に対する反応は異なっていた。

グローバル化とは世界市場を均一化、同質化してアメリカ国内市場に近づけようとするアメリカの戦略だったからである。「グローバル・スタンダードという名のアメリカン・スタンダードの強制」にほかならないということに不満を抱いて、反米運動を展開している国もある。

また、デファクト・スタンダードという言葉が喧伝されたこともあったが、これも結局はアメリカン・スタンダードであり、ISOなど公的な承認を得られない基準をアメリカの製品に合わせようとする戦略に過ぎなかった。圧倒的な多数派であり「事実上の標準」だから受け入れよ、という傲慢かつ脅迫的な戦略だが、これも日本では肯定的に受け入れられた。

反米主義という言葉はあるが、反日主義とは表現されない。反日感情や反日運動、排日運動である。アメリカが対象の場合はなぜイズムになるのか、著者はまず反米主義の定義を試みる。

反米主義のタイプとして、著者が挙ているのは以下の5つ。
(1)アメリカ一極支配への反発、抵抗。
(2)生理的なアメリカ嫌い:アメリカ的なマナー、習慣、食べ物、生活様式、シンボル、人間すべてが嫌いという感情、態度。
(3)文化的反米主義:大量消費文化というアメリカ大衆文化が世界的に拡散、浸透することへの反発。
(4)内なる反米主義:自由、民主主義、人権の理念に反するアメリカの行動に対するアメリカ内部からの異議申し立て。
(5)アメリカの明示的な原理原則の拒否:アメリカンシステムやアメリカニズムの拒否であり、それに代わるシステムを提示するイズム、イデオロギー。例えば、オサマ・ビン・ラディンのイスラム原理主義。

しかし、著者も認めているようにイデオロギーとしての反米、つまり「反米主義」はこの5つのうちの5番目だけである。そこで、反米主義が対象とするアメリカンシステムやアメリカニズムとは何かを解説している。

その1つは、機械化・画一化によって大量生産を可能にしたフォーディズムによって生まれた大量消費文化である。また、禁欲・節制・勤勉という自己抑制のピューリタン的倫理観によって生み出された資本主儀を、根底から瓦解させたクレジット・カードによる「Buy now, Pay later」によって「借金の恐怖」を失わせる仕組みである。「物質的な豊かさは道徳的に正しい」というアメリカ人の社会的コンセンサスは、アメリカニズムが節制よりも浪費を奨励する快楽主義に陥っていることを示している。

市場原理主義(新自由主義経済)の暴走が、政府による社会保障制度の解体を迫り、格差や不平等が拡大している。競争に勝つためと、労働市場の柔軟性という名のもとに、安価な労働力をはじめコスト低減を求める企業の生産拠点の海外移転やサービスの海外オフショア化を促進し、先進国の未熟練・非技術労働者は失業あるいは賃金引き下げ圧力にみまわれ、逆に熟練・高技術労働者は高賃金に恵まれて、所得格差が拡大している。勝ち組と負け組を鮮明にし、負け組を自己責任として切り捨てる。果てしない欲望、私欲の追求を志向する市場原理主義に対抗する反グローバリズムが、反米主義となっている。

第3章「屈折した心理」では、日本における「反米」を取り上げている。しかし、「排日移民法」や「原爆投下」には触れているものの、第2次大戦後の日本はアメリカの属国であるという認識からスタートしているようだが、安保闘争やベトナム戦争反対運動における反米運動には全く触れていないのはどういうことか。日本には反米主義と呼べるような思想は存在しないということだろうか。

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