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昼食難民の新書生活

(新宿・秋葉原・芝浦など各地でのランチと読書)

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『〈麻薬〉のすべて』船山信次(講談社現代新書 2097)

〈麻薬〉のすべて


『〈麻薬〉のすべて』船山信次(講談社現代新書 2097)

〈麻薬〉とは、本来は麻酔作用のある薬物のことである。しかし、本書では阿片・モルヒネ・ヘロイン、コカイン、向精神薬とともに、麻酔作用のないLSDや大麻・ハッシュシ、シンナー・トルエンなども紹介している。本書は、依存性薬物や乱用薬物について、それぞれの歴史や人類への受容の経緯までその「すべて」を解説している。

日本の法律上も麻酔作用のある薬物だけでなく依存性薬物や乱用薬物を取り締まるため、「麻薬及び向精神薬取締法」「大麻取締法」「あへん法」「覚せい剤取締法」という麻薬四法および「麻薬特例法」が制定されている。「麻薬」の概念が時代にそぐわなくなっているからである。

例えば、大麻の取り扱いを禁止しているのは「大麻取締法」だが、薬理作用をもたらすテトラヒドロカンナビノール(THC)は「麻薬及び向精神薬取締法」によってその使用が禁止されているなど混乱が起きているらしい。

わが国における2009年の覚せい剤事件逮捕者数は約2万人で、大麻事件逮捕者数は約3500人である。

本書では、大麻についてその危険性に多くのページを割いている。大麻は、タバコに比べて、身体的依存性や精神的依存性が少ないとされ、アメリカでは1970年代には黙認され(現在は厳禁)、オランダでは現在も政府公認のコーヒーショップが存在しているほどだが、多幸感や酩酊を引き起こすなど危険を伴うことを理由にしている。

覚せい剤犯やシンナー・トルエン犯への調査によって、それぞれ7割もの受刑者が大麻を経験していたという。つまり、大麻は覚せい剤やシンナーなどの乱用薬物に進むための「ゲートウェイ・ドラッグ」になる可能性が高いという。

だが、この説明はちょっと考えただけでも論理的に不備が多すぎるし、ゲートウェイ・ドラッグになっている証拠が挙げられていない。例えば、覚せい剤犯の7割以上は大麻やシンナーを使ったことがあると答えているかもしれないが、覚せい剤と大麻やシンナーのどちらを先に摂取したのかを明らかにしていないから、ゲートウェイかどうか判断できない。

大麻使用の禁止が世界的な潮流だとしても、薬学者としての薬理的な説明を期待したのに不十分な説明に終わっている。さらに、6年制になった薬学部の学生が小学生向けに大麻の危険性を啓蒙する仕組みを提案しているが、幼い頃からの啓蒙教育で大麻吸引を阻止できると真剣に考えているとしたら、ずいぶんお目出度い人だとしか言いようがない。


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