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昼食難民の新書生活

(新宿・秋葉原・芝浦など各地でのランチと読書)

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『帝国のシルクロード』山内昌之(朝日新書 125)

帝国のシルクロード


『帝国のシルクロード―新しい世界史のために山内昌之(朝日新書 125)

本書を読み始めて改めて認識したのは、シルクロードという言葉からはアジアからヨーロッパまでの道という「線」をイメージするが、実際にはいくつもの国(さまざまな民族の領域)という「面」の連なりであり、その地域、特に中国から西のタジキスタンやトルクメニスタンといった地域に関してはほとんど知識を持っていないということだった。その歴史はもちろん現在の政治状況について私は何も知らない。

博覧強記の文章をただただ驚きと好奇心で読み進めたが、知識のかけらにひっかかる部分もいくつかあった。その1つは、映画『アラビアのロレンス』で、トルコ軍に捕らえられたロレンスが「サーカシア人」と偽る場面。アラビア人とは全く異なる容姿のロレンスを、トルコ軍の司令官がどうして2万ポンドの賞金のかかったイギリス人だと見破ることができないのかと、ずっと不思議に思っていた。子供のころに何度目かのリバイバル上映の際に観たときにはもちろんわからなかったし、DVDを購入して見直してもこのシーンには得心できなかった。

本書によれば、北カフカスに住むチェルケス人(英語読みはサーカシア人)は、金髪碧眼のアングロ・サクソン人と風貌が似ているという。トルコ兵がロレンスの言い分を訝りながらも、結局は信じた理由がここを読んで解けた。映画では、トルコ兵に暴行を受けたことによって、ロレンスがアラビア兵たちによる略奪や残虐行為を許すようになったかのように描かれているので非常に重要なシーンなのである。

本書の第1部と第2部は『週刊朝日百科・シルクロード紀行』の連載コラムをもとにしているが、第三部はそれぞれ異なる媒体に寄稿したものであり、文章量も多くより深い考察と知見にあふれている。

「『統一ある世界史』へのチャレンジ」では、「アジアを多元的世界として理解するため、商業ルートを歴史の主軸として位置づけながら、ヨーロッパ中心主義の見方を排し各地域固有の歴史構造を総合することで新たな世界史を再構築する」ことの重要性を指摘している。

「子どもたちの『新しい世界史』」では、世界史の中の日本史という視点のない現在の歴史教育を批判し、日本史と世界史を結び付けながら地理的要素を加えた「新しい世界史」といった科目の新設を提言している。

思い起こせば高校の世界史の授業は、教師の自己満足的な漫談に終始し、教科書の半分も進まないうちに(中世までしか進まなかったのではないか)1年を終えた。著者の言う「大きな歴史」で、古代から現代まで概観するような歴史教育を受けられたらどんなに良かったことか。


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