TOP > スポンサー広告 > 『日本を滅ぼす〈世間の良識〉』森巣博(講談社現代新書 2126)TOP > 新書 > 『日本を滅ぼす〈世間の良識〉』森巣博(講談社現代新書 2126)

昼食難民の新書生活

(新宿・秋葉原・芝浦など各地でのランチと読書)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『日本を滅ぼす〈世間の良識〉』森巣博(講談社現代新書 2126)

日本を滅ぼす〈世間の常識〉


『日本を滅ぼす〈世間の良識〉』森巣博(講談社現代新書 2126)

本書は2004年から『COURRiER Japon』に連載された記事が元になっているが、東日本大震災以降の政府の無策ぶりとマスコミの“大本営発表”的な政府・東京電力発表の情報の垂れ流しぶりも批判している。

著者は本書のタイトルとして『おとーちゃんばかりがお饅頭を食べる思想』を提案したが、「新書向きタイトルではない」と却下されたらしい。本書のテーマは、政権にいる「おとーちゃんたち」や、その周辺にぶら下がっている「おとーちゃんたち」によって国民の富が収奪されていることを告発することが本書のテーマであり、“利潤の私有化・費用の社会化”が日本の隅々まであまねくシステム化されている構造だ。

コストの部分は国民に引き受けさせ(費用の社会化)、それによって実る果実を、一部の人たちのみがむさぼる(利潤の私有化)。(p.16)

実例として、税金で作り上げた国鉄の資産を赤字部分を切り離して国民に押し付けたまま、上澄み部分を一部の裕福な者たちに売り払った民営化を挙げている。また、利潤の私有化が失敗した例だが、郵政民営化を検討していた総合規制改革会議議長の宮内義彦が最高責任者を務めるオリックスに「かんぽの宿」の一括売却しようとした事例を挙げている。

宮内の企みは失敗したが、郵政民営化を旗印にした小泉純一郎はマスコミの圧倒的な支持で大勝し、やがて自民党を予言通りにぶっ壊した。

マスコミが権力のチェック機関としての機能を果たさなくなっている事由についても書いている。官房機密費の使い道だ。

野中広務は、2010年4月、TBSの番組で爆弾発言をした。自民党政権時代には政権維持に影響力のある評論家に盆暮れには数百万円単位の金を渡していて、田原総一朗だけは受け取らなかったという。また、平野貞夫は同じく自民党時代に衆議院副議長の番記者たちを料亭で接待し、その後銀座のクラブに連れていき「女」をあてがってホテルまで用意した。社則として断ったのは朝日新聞社だけだった、と発言したという。

企業の記者発表で金品を配るのが当たり前の中国ほどひどくはないだろうが、この国のマスコミの一部は国民から略奪された金に首までどっぷり使って浸っているということらしい。

後半は、福島第一原発事故に対する政府と東京電力の無責任で愚かな施策への批判が続く。半年以上を経て徐々に明らかになってきたが、原発の「安全神話」がもろくも崩壊した後に及んでも、政府や東電は「安全」という言葉を繰り返してきた。水素爆発で建屋が吹き飛んだ直後は都内でもパニックが起こったが、その後は政府が「ただちに健康に影響を与えるものではない」という安全宣言を繰り返すことで鎮静化した。しかし、都内でも大量の放射能が降り注いでいたことがその後の調査で明らかになっている。

避難すべき時にパニックを恐れて情報を統制したことで、数年数十年後に数百万人単位で被曝による健康被害を受けたことが明らかになったときに、政府や東京電力はいかなる補償をするというのか。

主にオーストラリアに住んでいる著者は、日本のマスコミによる大本営発表のニュースではなく、海外メディアが報じたニュースに接している。だからこそ、戦前と変わらない「由(よ)らしむべし、知らしむべからず」という体制がよく見えるのだろう。

政府はあてにできない。マスコミも信用できない。私たちにできるのは、「世間の良識」など無視して自分の身は自分で守るしかないということなのだろうか。


関連記事

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://pasage.blog43.fc2.com/tb.php/1318-cc9df02a

 | HOME | 









ブログランキングに参加中です

リンク

お気に入りに追加
このブログをリンクに追加する

最近の記事

にほんブログ村ランキング

ブログ内検索

Loading

カテゴリー


全記事一覧(500件ごと)

カレンダー+月別アーカイブ

ケータイ版URL

QRコード

RSSフィード

プロフィール

Author:pasage
昼食時は「難民」と化して「新書」を片手に、都内各地を彷徨っています。

FC2Ad

Template by たけやん

QLOOKアクセス解析

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。