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昼食難民の新書生活

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『物語論』木村俊介(講談社現代新書 2129)

物語論


『物語論』木村俊介(講談社現代新書 2129)


題名からストーリーテリングや物語の分類、類型の構造分析といったものを想像しがちだが、本書の内容はまるで違う。これでは牽強付会といわれてもしょうがないだろう。

本書は、数年前に雑誌やWebサイトに掲載した小説家や漫画家、音楽家など17人の創作者へのインタビューをまとめたものである。だから、インタビュー時の質問が物語論になっていたわけではない。寄せ集めの記事に無理やり「物語論」というタイトルをつけただけである。

ただし、最終章に収録されている伊坂幸太郎へのインタビューは、ストーリーの作り方や修辞技法といった小説作法のディテールにまで踏み込んでいて、物語論と呼べなくもない。伊坂の記事は本書の4分の1を占めているので、同様のインタビューがあと3人分あれば立派な物語論となったが、本書は再録集なので物語論とは関係のないインタビューが大半を占めることになる。

とはいえ、タイトルを忘れてしまえば興味深く読めるインタビューもある。特に、「最近20年間の時代の変化とそれに対応する仕事」というテーマでインタビューした、橋本治・島田雅彦・重松清・平野啓一郎へのインタビューは面白い。

なかでも、橋本と重松は単に表現者として読者向けに物語を提供しているのではなく、「大人」として社会といかに関わって発言していくべきかということを深く考えていることがわかる。時代を超えて読み継がれるであろう小説家の姿勢というだけでなく、「大人」のあるべき姿を教えられた気がした。

「20年間」というくくりがあったためではあるが、小説家たちに共通するのは昭和天皇の死去を時代の区切りとして重要視している点だ。

物語論とは関係がないのはもちろん、失敗としかいいようのないインタビューも掲載されている。

例えば、諏訪内晶子へのインタビューでは、指揮者のアシュケナージがシベリウスのヴァイオリン協奏曲のリハーサル時に「フィンランドはロシアのとなりの小さい国だけど、ほんとうに妥協をしないんだよね」と発言したところから、「しぶとく妥協のないリズムを取ればいいのだろう」と理解したという記述がある。ここで楽譜がオーケストレーションによってどのようなストーリーに編み上げられていくかという話になれば、物語論につながるが残念ながら振り下げて聞いていないので欲求不満が残る。

また、村上春樹へのインタビューが翻訳の話に終始していたのは、村上にはインタビューにまともに答える気がなかったとしか思えない。翻訳が文章修行だったというつまらない話になっている。明治の文豪じゃあるまいし。

失敗したインタビューは、インタビュアーが面白い話を聞き出せす能力にかけていたのか、インタビュー対象が答えようとしなかったのか、答えるべき言葉を持っていたなかったのかのどれかだろう。


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