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『格闘技の科学―力学と解剖学で技を分析!』吉福康郎(サイエンス・アイ新書 SIS-226)

格闘技の科学


『格闘技の科学―力学と解剖学で技を分析!吉福康郎(サイエンス・アイ新書 SIS-226)

わが国では1990年代後半から総合格闘技がブームとなり、2003年からは大晦日に「Dynamite!!」や「PRIDE男祭り」が放送されて、NHKの「紅白歌合戦」を脅かすほどの視聴率を誇っていた。しかしその後、2007年に興行会社の不祥事などで総合格闘技の地上波放送が打ち切られると、総合格闘技ブームも終焉して地上波で放送されることはなくなってしまった。

身体技法を言葉で説明するのは難しい。身体技法の多くは暗黙知のままにある。

だから、スポーツや武道では基本動作である「型」を繰り返して練習させられるが、力学や解剖学的な仕組みを知れば、すぐに教え通りに身体を動かすのは難しいとしても、上達は早いのではないか。というのも、自分の動作のどこに問題があるかがわからないままに、「型」を繰り返している人が多いからだ。

本書は、東京大学大学院で理論物理学を修め、中部大学でスポーツ・バイオメカニクスと生命情報学を教える著者が、格闘技に関するさまざまな謎を力学的で解剖学的に明快に答えている。本書は、暗黙知にある格闘技の身体技法を形式知化つまり見える化するために書かれている。

ゴルフや野球では「壁を作る」という表現がよく使われる。右打ちの場合には、「左足で壁を作る」とか「溜めを作れ」言われる。「壁」や「溜め」とは何か。本書によれば、右打ちバッターの場合、左足を踏み込んで身体とバットを回転させるための軸とすることである。

打撃、突き・パンチ、蹴り・キック、つかみ・投げ・極め、防御、稽古・練習、武器・実戦、気と8章立てで詳しい解説となっている。Q&A形式で全部90問のQuestionに答える形で、さまざまな格闘技の技とそれに対処する方法が解説されている。

本書は、どうやら格闘技の選手を読者の想定しているようだ。とはいえ、格闘技を観戦する際にも本書の知識は大いに役立つはずだ。と思って読み進むと、「第4章 つかみ・投げ・極め」で一挙に様相が変わる。攻撃してきた相手への防御法が述べられ、まるで暴漢に襲われた際の対処法みたいな記述になっている。

特に「Question 49 柔道の技に対処するにはどうしたらよい?」への回答が面白い。

柔道の投げ技は、硬いコンクリートの路上だとこの上なく危険です。(中略)柔道選手は一般にガッシリした体型で力も強く、打たれ強さもあり、あなどれない強敵です。

はあ、柔道の技への対処というのは、柔道選手と路上で対決することだったの。でも、もし万が一、誰かと路上で争うことになったとしても、その人が柔道選手かどうかはわからないと思うけどなあ。それに相手が柔道選手だとわかっていたら、絶対に対決は避けるべきだと思うなあ。

一番の対抗策は弱点を突く、つまり相手の不慣れな技を使ったり、その競技での反則行為をすることです。

だから、普通は相手がどんな競技の選手かなんてわからないって。

柔道は最初につかんできます。その間合いに入られる前に打撃技で攻撃します。

ああ、やっぱり相手は柔道選手に決まったのね。

大柄でタフな相手なら、ふつうの打撃技が当たってもひるまず、組みつかれてしまうかもしれません。そんな相手には、目・耳・金的・のどなど、鍛えにくい部分を攻撃します。

なるほど。でも、これって柔道選手相手じゃなくても有効かも。

服をつかまれたら関節技で手首を攻めます。手首への攻撃は柔道では反則なので慣れておらず、意外に有効かもしれません、ひじ打ちや頭突き、足の甲を強く踏むなどを混ぜ、投げに入ってくるまでの時間を稼ぐのもよいでしょう。

柔道選手に手首への関節技で対抗するというのは斬新なアイデアだけど、とてもじゃないけどそんな度胸はないよなあ。

投げ技や寝技を含む格闘技(相撲、レスリング、合気道、少林寺拳法、中国拳法など)を知っていれば、恐怖を持たずに落ち着いて対処できるでしょう。

そりゃあそうだけど、それでは異種格闘技戦ということじゃないの。

その後、解説は異種格闘技や暴漢に襲われた際などの「実践」についての記述が増えていく。

もちろん、本書を読んだからといって暴漢対策になるわけではない。とはいえ、格闘技を観る際に、身体技法の意味をより深く知ることができるようになって、観戦を楽しむことができるようになるだろう。

イラストが非常に的確に描けているので、本書のイラストレーターである「dackQ氏」のブログを見ると、佐山聡が創設した総合格闘技団体である「修斗」の道場に通っているらしい。


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コメント

同じ著者の本ですが

ブルーバックスに「奥義の科学」といったようなタイトルがありまして、立ち読みではなかなか面白かった記憶があります。少なくとも、「相手を柔道に特定する」といった間抜けな設定はなかったような。。。章立ても、もう少し「本」としてまともだったような。。。。

Re: 同じ著者の本ですが

ごんのすけさん、コメントありがとうございます。

この本も格闘技の技を物理学で説明していて、十分に面白かったですよ。ただ、最初は競技者向けに書かれているのかと思っていたら、なぜか喧嘩になった際の話になったり、暴漢に襲われた時の対処法になっておかしかっただけです。

ブルーバックスのほうも読んでみたいですね。

ジョンレノンの時代の喧嘩のやり方

相手が手出しをしてくる一歩前に
顔面の真ん中を思い切り拳で殴る。
「鼻血が出る=喧嘩の負け」
これが1950年代の、ロンドンの不良たちの
ルールだったみたいです。

「奴隷が死ぬまで殴りあう」という
ギリシャのボクシング起源より、
少しだけマシな感じがします。

Re: ジョンレノンの時代の喧嘩のやり方

ごんのすけさん、喧嘩は嫌ですね。

本書でももちろん、喧嘩は避けるようにと書いています。学生時代に渋谷で乱闘に巻き込まれて以来、喧嘩には出会っていないなあ。

ある程度武道をかじった人なら相手が柔道家かどうかは構えや体つきを見ればわかるようになっているはずです。

Re: タイトルなし

うひさん、コメントありがとうございます。

記述が、突然、暴漢への対処法に変わったので笑ったのです。

「武術の科学 ルールに縛られない戦闘術の秘密」という本も出ました。こちらなら暴漢への対処法でもOKですね。

Re: タイトルなし

NGボンバーさん、『武術の科学―ルールに縛られない戦闘術の秘密』を教えていただき、ありがとうございます。

スポーツではなく、命のやり取りをする戦闘術の本なんですね。この著者は、技の有効性や身体の動かし方を解剖学・力学の視点から解き明かしてくれるので読むのが楽しみです。

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