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昼食難民の新書生活

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『神も仏も大好きな日本人』島田裕巳(ちくま新書 936)

神も仏も大好きな日本人


『神も仏も大好きな日本人』島田裕巳(ちくま新書 936)


神仏習合については、学校ではあまり教えてくれない。

そればかりか、神道と仏教が混交した「純粋」じゃないものとして、一種の「穢れ」のようなタブーの扱いを受けている。「無かったこと」にしたい、という強い意思が働いているようだ。しかし、仏教はもちろん神道も、1000年の神仏習合によって日本人の心に適合したものに変化してきた。

神道側も仏教側も「無かったこと」にしたい神仏習合の解消は、たった140年前の明治維新の廃仏毀釈によってもたらされたのである。

本書は、仏像人気ナンバーワンの阿修羅像の設置場所の変遷をとっかかりにして、廃仏毀釈の嵐によって数多くの寺院が廃寺となったり、衰退した歴史を語る。

神も仏も大好きな日本人の「宗教」を、西欧列国に対抗するためには一神教的な宗教が必要だと考えた明治政府によって、1000年以上にわたって神道と仏教が融合した神仏習合が解体され、神道と仏教は全く別の宗教となったのだ。

アニミズムから出発した神道と違い、仏教は教義や理論を備えていたため、まずは国家鎮護のため、やがて個人を救済する思想として日本に受け入れられていった。国家権力から離れつつあった神道は、本地垂迹説というご都合主義で仏教に擦り寄り、神社内に神宮寺を持ち、土俗神であった八幡神を八幡菩薩へと変身させるまでになる。

一つの宗教だけを優位なものとする考え方は、究極的に原理主義に行き着く。神仏習合という日本に特有な信仰の価値は、原理主義への傾斜を妨げるということにもある。日本人は、そうした宗教のあり方を深く愛してきたのである。(p.97)

続いて著者は、中国で儒教や道教の影響受けた密教が仏教と神道を席巻していった様子を描く。日本人の宗教は、神道+仏教+密教(仏教+儒教+道教+儒教)という神仏習合へと変化していったのだ。

そして、現在では仏教の影響を完全に消し去ったかに見える伊勢神宮にさえも、神宮寺が置かれ、内宮と外宮は宮曼荼羅として両界曼荼羅に描かれたのである。

ところが明治政府は、熱心な仏教信者であった天皇家の信教の自由を奪って仏教を禁じ、天皇が京都にいた時代には、神嘗祭と新嘗祭しかなかった皇室祭祀の大祭に、原始祭、皇霊祭、神武天皇祭、紀元節祭などを新たに加え、皇室の伝統を捏造していったという。

敗戦によって明治政府がでっち上げた国家神道は廃されたが、宗教団体としての神道と仏教は分離したままとなった。しかし、日本人のほとんど(キリスト教徒は日本人の1%以下)は神も仏も愛し、誕生・成長・結婚と生まれてから成長する過程の儀礼は神道が担い、葬礼は仏教が担っているのだ。

明治神宮の参詣者は年間3000万人を数えるという。ほかにも浅草寺や成田山新勝寺、伊勢神宮など参詣者が1000万人を数える寺社は少なくない。ところが、イスラム教の聖地であるメッカの巡礼を果たすのは年間500万人にすぎないという。

日本人は神も仏も愛しているのだ。だから、宗教を問われるとどちらか1つとは言えないので「無宗教」と答えるのである。


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