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昼食難民の新書生活

(新宿・秋葉原・芝浦など各地でのランチと読書)

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『科学の栞―世界とつながる本棚』瀬名秀明(朝日新書 330)

科学の栞


『科学の栞―世界とつながる本棚瀬名秀明(朝日新書 330)

本書は、ベストセラー作家の瀬名秀明が執筆した科学に関する100本の書評をまとめた書評集。採り上げているのは専門書ではなく、一般向けのポピュラー・サイエンスやSF小説、ドキュメンタリーである。

新聞や雑誌に掲載された大人向けの書評もあるが、100本のうち60本は中学生向けのタブロイド新聞『朝日中学生ウイークリー』に2005年から2010年の5年にわたって連載され記事で、1本あたり2ページと短く、コンパクトにそれぞれの本の魅力が語られている。

子供たちの「科学離れ」が指摘されるようになって久しいが、著者は中学生たちに「科学好き」になってもらいたいという明確な意思をもって執筆したようだ。そのため、「想像力」と「好奇心」によって科学者が宇宙や自然、人間の仕組みを解き明かし、技術者たちが現在の便利な生活を実現してきたことを肯定的に描いている。

特に、たゆまぬ研究によって明らかにされた摂理の静謐な美しさや科学者たちの情熱について著者は強い興味をもっている。

タブロイド紙の連載で週に1回ずつ読む際には気にならなかったかもしれないが、書評と言いながら礼賛の嵐が続くとさすがに食傷させられる。謎を解き明かし、人のためになる物を作ろうと研究者・技術者たちが研鑽した「科学」や「技術」は、人々に必ずしも幸福だけをもたらしたものではないことは明らかであるからだ。

東日本大震災では、地震学者たちの多くは過去の津波を遥かに超える津波が押し寄せることを予測したり、その対処法を提示できなかったし、福島第一原発では技術者たちは電源喪失という失態で原発が制御不能になり、放射能を撒き散らしてしまった。彼らに大きくかけていたのは、自然は人間の予想を大きく超える災害をもたらし、原子力は最終的には制御不能であるとする謙虚さである。

本書の最後では、神戸に在住していた小松左京が膨大な資料にあたって執筆した『小松左京の大震災 ’95』について、著者は特別の想いを書いている。

というのも、著者は仙台在住で東日本大震災に遭っているからだ。海から離れているため、津波被害には遭わずに済んだが、小松に習って『小松左京の大震災 ’95』のサブタイトルである「この私たちの体験を風化させないために」記録を残そうと考えているようだ。著者は薬学博士なので畑違いかもしれないが、東日本大震災に遭遇した作家として、是非、ドキュメントを残してほしいと思う。


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