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『「ガード下」の誕生―鉄道と都市の近代史』小林一郎(祥伝社新書 273)

「ガード下」の誕生



『「ガード下」の誕生―鉄道と都市の近代史小林一郎(祥伝社新書 273)


ガード下の誕生には、東京駅がかかわっているという。

横浜-新橋間に官営の鉄道が敷設されたのは明治5年(1872)だが、次に熊谷-上野間の北ルートが民間の日本鉄道によって明治18年(1883)に敷設され、明治37年(1904)には東ルートの総武鉄道が佐倉から両国まで伸び、八王子から飯田町までの西ルートを敷設した甲武鉄道が御茶ノ水まで延伸した。つまり、明治37年には、新橋から上野と御茶ノ水から両国までが鉄道の空白地として残されていた。

その理由は、この地域がすでに住宅密集地だったため用地買収が難しかったのと、皇居の近くに鉄道を引くことが憚れたためらしい。

しかし、明治39年(1906)に公布された鉄道国有法によって民間鉄道は国有化され、皇居の正面に首都の玄関として東京駅が作られることになった。東京駅が開業した大正3年(1914)は第一次世界大戦の開戦の年であり、近代化を目指すうえで都心に鉄道の空白地帯をいつまでも残すわけにはいかなくなったということだろう。

東京駅までの住宅密集地に鉄道を引くため、蒸気機関車からの煙害と火の粉の飛散による火事を防ぐ目的で、新橋-上野間と御茶ノ水-両国間は高架鉄道が敷設されることになった。現在もレンガ造りの遺構が残る当時の高架橋は、その多くはお雇い外国人などの設計によるという。この高架鉄道が敷設されたことでガード下は誕生した。

誕生したガード下はいかに利用されたのか。残念ながら、まともな史料はないらしい。1万ページを超える日本国有鉄道の社史にも、詳しい記述はほとんどないという。鉄道会社にとって、ガード下は駐車場や倉庫としての活用くらいしか関心がなかったのだ。

それどころか、ガード下に関する研究もほとんどなされていないらしい。高架鉄道の設計・建設は「土木」の担当だが、土木学会はもちろん建築・都市計画も含めて専門に研究している人がいないのだ。

著者は、建築関係の書籍等を手がける編集者。著者と建築の元大学教授やデザイナーなどが集まって「ガード下学会」を発足させ、ガード下を「遊歩」した記録が本書である。いわば、街歩き本の「ガード下」版だ。

しかし、残念ながら史料が少ないこともあって、ガード下利用の歴史に関してはあまり詳しく書かれていない。だから、サブタイトルの「鉄道と都市の近代化」についてはあまり考察せずに、大半は各地のガード下遊歩のルポルタージュとなっている。戦前・高度経済成長期(1970年前後)・現代の3期に分けて、ガード下の実態を紹介している。

採り上げているガード下は、戦前は、御茶ノ水-万世橋、アメ横、秋葉原電気街、有楽町(インターナショナル・アーケード)、浅草橋駅、両国駅、日暮里駅、大阪・美章園駅、神戸・元町駅、阪神・御影駅。高度経済成長期は、綾瀬駅と吉祥寺駅。現代は、赤羽駅、小田急線・経堂駅、舞浜駅、京急線・日ノ出駅~黄金町駅。

本書には、わかりにくい記述がいくつかあって、そのどれもが著者の専門である建築的なディテールの説明の箇所だった。知識不足で理解できないのではなく、明らかに説明不足と思われる。わかりやすい写真や図面があれば、もっと楽しめたはずだが、記述とは完全にマッチしていない写真が多いのが残念だった。

最後に「附録」として、「ガード下遊歩」のための装備やスケッチの方法などのガイドが付いていて楽しい。




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