TOP > スポンサー広告 > 『独立国家のつくりかた』坂口恭平(講談社現代新書 2155)TOP > 新書 > 『独立国家のつくりかた』坂口恭平(講談社現代新書 2155)

昼食難民の新書生活

(新宿・秋葉原・芝浦など各地でのランチと読書)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『独立国家のつくりかた』坂口恭平(講談社現代新書 2155)

独立国家のつくりかた


『独立国家のつくりかた』坂口恭平(講談社現代新書 2155)


子供は、さまざまなモノやコトに疑問を持つ。子供が理不尽さや非合理的だと感じることの多くは、社会的ルールに関することだろう。しかし、人は大人になることで、子供のような素朴な疑問を感じることは少なくなる。社会的なルールを学ぶからだ。

ある社会のルールが間違っているように思えても、その社会に参加する以上はルールに従うのが大人の態度だということになっているから、社会は明らかなルール無視に対しては厳しい態度で臨む。

ホームレスの人々の多くは、なぜ河川敷にブルーシートハウスを建てて住むのか。

本書によれば、東京都の場合、私有地はもちろん区立公園は警察がうるさく、都や国が管理する土地は比較的に取り締まりが緩やかだかららしい。さらに、土地所有権を主張する者が複数いる場合には、警察もホームレスを取り締まることが難しいらしい。

著者は、路上生活者に対するフィールドワークで卒論を書き、その写真集を『0円ハウス』として出版した。路上生活者たちを都会の狩猟採集民と呼ぶ。

本書によれば、ある路上生活者は、河川敷を不法占拠して建てた自宅の前にビワの木を植え、ビワの実を盗んだら「窃盗罪」で訴えると書かれた看板を立てていたという。一般的な感覚では、盗人猛々しいとしか言いようのない身勝手な主張だが、法律的には窃盗罪が成立するらしい。憲法が保障する「生存権」は、河川敷の所有権を定める河川法よりも優先され、国有財産の河川敷を不法に占拠していてもビワは私有物ということになるらしい。

著者は、社会の一員として生産活動に参加せずに、国有地を不法占拠し、残飯をあさっている路上生活者の人々を尊敬している、というスタンスを示したいらしい。しかし、実際には社会から目を背けられるような人々を採り上げたオレ様がカッコイイということなのだろう。著者が税金を払わずに社会インフラにタダ乗りしている人々を礼賛するのは、真面目に働いて社会を支え、税金を収めている人々を冒涜することではないのか。

著者は、さまざまな意味で「レイヤー」という言葉を使っている。社会は「匿名化したレイヤー」にあるという。

すべての人の無意識が構築したもの、それが匿名化したシステムである。その中でつくられた法律や都市や学校や結婚制度など、それが僕たちの無意識だ。無意識というのは、つかみどころのない、見えないものではない。僕たちの生活。ほとんどの人にとって、それが無意識なのである。(p.165)

人間の社会が階層構造になっているということだが、階級(クラス)については沈黙している。私たちの生きている現代社会はさまざまなルールによって規定されているのは間違いないが、それは層状になっているわけではなく、網のように点と点が複雑に繋がって面であるかのように見えるだけではないのか。

後半は、著者の子供時代から現在までの自伝。「オレ様感」満載でうんざりするような自慢話が続く。

ところで、「独立国家」はどうなったのか。著者が、勝手に「新政府」の「初代内閣総理大臣」を名乗り(大王や皇帝ではない)、知り合いたちを「大臣」に指名しているだけである。国家として一切の体をなしていない。「言うだけ番長」どころか、幼稚園児のお遊戯のようなものだ。

最後に独立国家の政策として「O円特区」を提唱している。土地の所有権を持たずに使用権だけを有した土地に、廃材を利用して車輪のついた「モバイルホーム」を立て、有機栽培の畑で食費ゼロの生活をする、ということらしい。

著者が自ら躁鬱病であると書いているが、これは誇大妄想でしかないのではないか。そう考えると、荒唐無稽で幼稚な理想論もうなずける。海外では、著者の活動は「芸術」であり「パフォーマンス」と認識されているらしい。アートであるならば、誇大妄想や荒唐無稽なのは当然だ。




関連記事

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://pasage.blog43.fc2.com/tb.php/1540-16b24383

 | HOME | 









ブログランキングに参加中です

リンク

お気に入りに追加
このブログをリンクに追加する

最近の記事

にほんブログ村ランキング

ブログ内検索

Loading

カテゴリー


全記事一覧(500件ごと)

カレンダー+月別アーカイブ

ケータイ版URL

QRコード

RSSフィード

プロフィール

pasage

Author:pasage
昼食時は「難民」と化して「新書」を片手に、都内各地を彷徨っています。

FC2Ad

Template by たけやん

QLOOKアクセス解析

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。