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『飛鳥の木簡―古代史の新たな解明』市大樹(中公新書 2168)

飛鳥の木簡



『飛鳥の木簡―古代史の新たな解明市大樹(中公新書 2168)


著者は、2002年5月から2009年3月まで、奈良文化財研究所飛鳥藤原宮跡発掘調査部に在籍し、木簡の整理に携わった。現在は大阪大学に戻って准教授を務める古代史の研究者。

飛鳥・藤原京の木簡が大量に発見されたのは、1990年代後半のことらしい。意外にも最近のことなのだ。1990年代後半になって飛鳥・藤原京で大量の木簡が発見されるようになったのは、遺跡の発掘が盛んに行われるようになったためだ。

木簡とは、文字の書かれた木片のことであり、現代でも銭湯や居酒屋の靴箱の鍵として使われている。わが国における文字文化は、紙とともに導入された。紙の発明以前の古代中国のように竹簡は使われず、木簡はまとまった文書ではなく簡便な文を記録するために使われた。

本書は、「飛鳥の木簡」の出土ラッシュに遭遇した著者が、古代国家の成立過程を木簡の研究によって浮かび上がらせている。

帯に「木簡が歴史を変える」とあるのは、飛鳥地方で発見された3万点を超える木簡から、大化の改新、隨唐・朝鮮半島との関係、藤原京の造営過程、律令制の成立時期など「歴史を書き替える」ようなさまざまな史実が明らかにされているからだ。

【目次】

序章 一三〇〇年の時を超えて
第1章 日本最古の木簡
第2章 大化改新はあったのか
第3章 天武天皇と持統天皇の王宮
第4章 飛鳥の総合工房
第5章 飛鳥寺の多彩な活動―日本最古の寺院の姿
第6章 藤原京の誕生
第7章 日本古代国家の転換点―大宝律令制定の波紋
終章 「飛鳥の木簡」の意義


木簡は、荷札、請求書、通行許可書、処方箋などさまざまな目的で使用され、使用後はゴミとして廃棄されたものが、遺跡の地中から発掘されたものである。木簡は、モノや人とともに移動したものであるため、当時のモノや情報の流れが刻み込まれている。

記録文書としてはすでに紙が使用されていたため、短期使用が主だったため、使用後は廃棄されたり、籌木(クソベラ)に再使用されたりした。木簡の材質が何であったのかは書いてないが、木であるのだから燃やせば良いはずなのだが、なぜ木簡は燃やさずに廃棄されたのだろうか。

日本の古代国家の地方行政区分は、「クニ・コホリ・サト」という構造だった。『日本書紀』では「改新の詔」の含め、コホリをすべて「郡」と書かれている。ところが、木簡によって、大宝令施行の701年までは「郡」ではなく「評」と書かれていることが明らかになった。大化の改新による「改新の詔」は大宝令に依拠して書かれていたのだ。また、サトも石神遺跡から出土した木簡によって、元来は「里」ではなく「五十戸」と書かれていたことが明らかになっている。つまり、「クニ・コホリ・サト」制は、「国・郡・里」制に先行して「国・評・五十戸」制があったのである。

著者は木簡によって明らかになった史実を「やっぱり、そうだったのか」と感じたという。国家事業として行われた『日本書紀』や『続日本紀』には、政治的主張に基づく偏向が数多く含まれているが、「歴史を書き替える」ような発見も、実は既存史料を注意深く読めば記述されていることが多いからだという。

史料数が絶対的に乏しく、意図的な改変が含まれているかもしれない既存史料を相対化するために、新たな木簡の出土は古代史研究に多くの活力を与えるものとなっている、と著者は結んでいる。



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