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『独裁者の最強スピーチ術』川上徹也(星海社新書 15)

独裁者の最強スピーチ術


『独裁者の最強スピーチ術』川上徹也(星海社新書 15)

本書は、独裁者を代表するヒトラーと、独裁者肯定的な発言をして「ハシズム」なる言葉まで生まれた橋下徹大阪市長の2人の演説を分析することで、人心掌握のための演説術を解説している。

【目次】

はじめに 独裁者は演説を武器にする
第一章 ヒトラーは演説こそ最強の武器だと知っていた
第二章 ヒトラーの催眠術的レトリックとストーリーの黄金律
第三章 6000万人の心をつかむ最強スピーチ術
第四章 演説の力で大逆転 現代の「独裁者」橋下徹
第五章 今日から使える〈橋本流〉人心掌握のスピーチ術


独裁者ヒトラーは、演説によって民衆を熱狂させ、弱小政治団体を巨大な政党にまで育て上げ、選挙によってプロイセン帝国首相にまで上り詰めた。その後は、隠していた牙を剥き出しにして、大統領を兼務して国家元首となり、報道を弾圧しユダヤ人を虐殺する文字通りの独裁者となっていく。繰り返すがヒトラーが権力を手にしたのは、最初から暴力に頼ったのではなく、演説によって民衆の支持を得て、国民投票で90%の支持を得たからである。

橋下徹も、大阪府知事から大阪市長へと乗り換えようとした際には、マスコミ・既成政党からのバッシングや攻撃を演説で切り返して選挙に勝利した。

2人の演説は、著者が「ストーリーの黄金律」と名付けた展開になっているという。

①何かが欠落した、もしくは欠落させられた主人公が、
②なんとしてもやりとげようとする遠く険しい目標・ゴールをめざして
③数多くの障害・葛藤・敵対するものに立ち向かってゆく。

著者は、ヒトラーや橋下徹の演説から、複数の「ストーリーの黄金律」を巧みに交錯させることで聞き手の心を動かすテクニックを紹介している。

ヒトラーは演説で、

ストーリー①
どん底のドイツ(欠落した主人公)が、かつてのドイツ帝国のような大国になること(遠く険しい目標)にむかって、国民ひとりひとりにのしかかる課題(敵や障害)を乗り越えていく。

ストーリー②
たった7人からスタートしたナチス党のヒトラー(欠落した主人公)が、どん底のドイツを復活させること(遠く険しい目標)にむかって、ナチス以外のすべての政治勢力(敵や障害)を乗り越えていく。

という2つのストーリーを交錯させ、ストーリー①でドイツを主人公にした物語に感情移入させられた民衆は、ストーリー②のヒトラーにも感情移入するように仕向けられていた。

★独裁者になるためのスピーチ術10カ条★(p.105)
①何よりも本人が「熱」をもて
②自分の政策を心に残るワンフレーズで表現し、それを繰り返せ
③国を欠落した主人公にしたてあげ、それを救う白馬の騎士を演じろ
④具体的な政策は語らず大衆に夢を見させろ
⑤かならず敵をつくれ その敵をできるだけ巨大化せよ
⑥2つのストーリーを交差させ錯覚させよ
⑦聴衆のプライドをくすぐれ! 聴衆が心のなかで思っていることを話せ!
⑧眼の前にいる人間の利益になることを話せ
⑨強い権力者にはへつらい媚びよ 用がなくなったら捨てよ
⑩自分に風が吹いているあいだに、なるべく権限を奪え

大阪市長の橋下徹の演説は、この独裁者になるための10カ条のほとんどを踏襲しているという。

熱を持って「大阪都構想」というワンフレーズを繰り返し、大阪を徹底的にこき下ろしながら大いなるポテンシャルがあるとして、自分こそが大阪を救う白馬の騎士だと演じている。演説では具体的な政策は語らず、バッシングを受けている自分と大阪市のストーリーを交錯させ、衰退している大阪には大いなるポテンシャルがあると語り、大阪の財界人に対しては「道州制」をちらつかせ、石原慎太郎や小沢一郎には下手に出る姿勢を示している。

ヒトラーが使った2つのストーリーを交錯させる手法は、橋下徹も使っている。

ストーリー①
地盤沈下した大阪(欠落した主人公)が、「大阪首都構想」実現し東京と大阪の2つのエンジンで日本を引っ張る(遠く険しい目標)ことにむかって、大阪府と大阪市の二重行政(敵や障害)を乗り越えていく。

ストーリー②
大阪府知事を辞めてまで市長選に立候補した自分(欠落した主人公)が、「大阪首都構想」を実現し国の形を変える(遠く険しい目標)に向かって、平松市長や既成政党、マスコミ(敵や障害)に立ち向かい乗り越えていく。

さらに、著者は橋下徹のスピーチの特徴をまとめている。

★橋下徹流 人をとりこむスピーチ術10カ条★(p.225)
 ①一人称を「僕」にし、無駄な敬語は省く
 ②みなさーんと何度も呼びかけ連帯感をつくる
 ③3つ並べる
 ④サウンドバイトで心にかみつく
 ⑤似た構文をリフレインしていく
 ⑥偽悪的に振る舞う
 ⑦聴衆によって言葉づかいや内容を変える
 ⑧実施する政策が歴史的大事業だと思わせる
 ⑨聴衆を自分たち側に巻き込んでいく
 ⑩一度チャンスを与えてくださいお願いする

「サウンドバイト」というのは、歯切れのいいフレーズのこと。「大阪都構想」「世界の一等地、アジアの一等地」「大阪市役所をぶっ壊す」など刺激的で誰もが復唱できるような単純なフレーズを繰り返すことだ。

橋下徹は、明治時代には三百代言と蔑まれた弁護士であり、『図説・心理戦で絶対負けない交渉術』といった著作もあるスピーチ(演説)の天才である。ヒトラーの時代と違って独裁者になることは不可能だとしても、同じく天才的な演説術をもっていた小泉純一郎のように、民衆の支持を背景に独裁的な手法でこの国の仕組みを大きく変える可能性はあるだろう。


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