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『日本人のための日本語文法入門』原沢伊都夫(講談社現代新書 2173)

日本人のための日本語文法入門



『日本人のための日本語文法入門』原沢伊都夫(講談社現代新書 2173)


中学校の国語の授業で学んだ文法は、橋本進吉の文法論が元になっている。「いったい何の役に立つのか」と思いながら活用を暗記させられたことを記憶している人も多いはずだ。いわゆる「学校文法」は、日本人はもちろん日本語を学ぶ外国人にも役立たない。そこで言語学の理論に基づいた「日本語文法」が生み出された。

本書は、日本語を母語にしない人への日本語教育の経験を持つ言語学者による「日本語文法」の入門書。長らく日本語と付き合ってきたはずなのに、ページを開くたびに驚くべき事実の数々が明らかにされ、日本語について浅薄な知識しかなかったことに慄然とさせられる。

【目次】

第1章 学校で教えられない「日本語文法」
第2章 「主題と解説」という構造
第3章 「自動詞」と「他動詞」の文化論
第4章 日本人の心を表す「ボイス」
第5章 動詞の表現を豊かにする「アスペクト」
第6章 過去・現在・未来の意識「テンス」
第7章 文を完結する「ムード」の役割
第8章 より高度な文へ、「複文」


第2章では、「主語と述語」という欧米語文法からの借用ではなく、「主題と解説」という日本語文の基礎構造が解説される。

第3章では、その構造を支える文法のカテゴリーで「自動詞」と「他動詞」。広辞苑には自動詞は「(intransitive verb) 完結した意味を表すのに目的語を必要としない動詞。「花が咲く」の「咲く」の類。」と書かれ、他動詞は「ある客体に作用を及ぼす意味をもつ動詞。日本語では、その客体の概念を目的語として多く助詞「を」を添えて表す。「本を読む」の「読む」の類」と書かれている。自動詞は自然現象を表すときに使われ、他動詞は人間の行動が起点となって、物事を引き起こすことを表す。本書では、自動詞はある現象の変化の部分を表し、他動詞はその変化を引き起こす動作の部分を表している、としている。また、「驚いた」「捕まった」「見える」など英語では他動詞で表現する文を日本語では自動詞で表現するという。

日本語では、人間の活動も大きな自然界の流れの一つとしてとらえられ、自動詞で表されるわけです。(p.32)


かつて「自然渋滞」という言葉があった。高速道路などで、事故などの特定の原因がわからない渋滞が発生した場合に使われたのだが、この言葉が生まれた背景には人為的な原因ではなく「自然に渋滞した」という発想が働いていたのだろう。

第4章の「ボイス(態:動詞の意味する動作の、受身・使役などの差異を示す文法形式)」にも、日本語に特有の発想が表れているという。「雨が降った」という自然現象によって受けた影響を、日本語では「雨に降られた」と言うことができる。自動詞の出来事を受身文にすることが可能なのだ。欧米語ではまったく考えられないこの発想は、自分や相手がどうするという「人間中心の発想」ではなく、身の周りに起きたことを人間を含めた大きな自然の流れのなかでとらえる世界観だからだ。

把瑠都関は、優勝インタビューで会場の母親に向かって「私を生んで、ありがとう」と言った。日本人ならば「生んでくれて、ありがとう」と言ったはずだ。外国人が日本語特有の思いやり表現である「あげる・くれる・もらう」を補助動詞的に使用できるようになるには時間がかかるという。

第5章の「アスペクト(相:動詞の意味する動作の様態・性質などの差異を示す文法形式)」では、動作の直前・開始・進行/継続・終了・完了・結果について詳しく解説している。

第6章の「テンス(時制)」では、日本語の時制感覚について解説している。留学生が間違えやすい相対テンスが面白い。

日本に来る時、友達がパーティを開いてくれた。
When I came to Japan, my friends held a farewell party for me.

英語では「時制の一致」で「came」「held」となるが、日本語では「来る」「開いてくれた」と時制が一致しない。「来た」と時制を一致させると、母国での送別パーティではなく日本に着いてから歓迎パーティが開かれたことになってしまう。日本語は、パーティが開かれた時点を基準点とする相対テンスだからだ。

さらに、文末決定要素である「ムード」、「複文」の種類と構造についても詳しく解説し、本書はまさしく「これだけは知っておきたい」内容となっている。役に立たない「学校文法」などさっさと止めて、「日本語文法」を教えるべきなのだ。


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