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『高杉晋作の「革命日記」』一坂太郎(朝日新書 256)

高杉晋作の「革命日記」


『高杉晋作の「革命日記」』一坂太郎(朝日新書 256)


高杉晋作といえば、長州藩に農民や町人を動員した奇兵隊を創設した尊皇攘夷の志士という程度の知識しかなかった。坂本龍馬をはじめ多くの志士が明治維新を前に死ぬか、明治政府で要職を得たなかで、高杉晋作の名前がないのは大政奉還の直前に結核で病死したからだ。

尊皇攘夷の志士たちの多くは下級武士や町人出身だったが、高杉晋作は長州藩の藩主側近である高杉小忠太の長男として生まれている。家禄は200石だった。萩城のすぐ近くに住んでいた。

1石は10斗で約180リットル。1人が1年間に食べる米の量に相当する。江戸時代には、武家では米で支給された給料を米屋に売って現金を得ていた。晋作の生まれた幕末には1石は約4万円程度だったらしいので、小忠太の年収は800万円ということになってしまうが、藩から支給される家禄以外に田畑からの収入もあったようだ。

本書は、高杉晋作が日本風漢文で残した6つの日記を現代語訳したものである。

【目次】

序章 高杉晋作小伝
     ―幕末の青春、二十七年と八カ月
第1章 東帆録
     ―萩から江戸までの航海実習日記
第2章 試撃行日譜
     ―北関東、信州などを歩いた旅日記
第3章 セツ(執の下に日)御(ぎょ)日誌
     ―初出仕したエリートの萩での勤務日記
第4章 初番手行日誌
     ―若殿様の側近として江戸での勤務日記
第5章 遊清五録
     ―上海で欧米列強の脅威を痛感した旅日記
第6章 投獄文記
     ―失意の中で内なる自分と向き合う獄中日記


『東帆録』は藩校明倫館で学んでいた晋作が、藩からの命で江戸の軍艦操練所で航海術を学ぶために萩から江戸までを帆船で旅した時の航海日誌。目次には「航海実習日記」とあるが、潮や風の影響で船が進まないことを記している以外は実習らしき記述はなくて、単なる日記である。藩命だったにもかかわらず、晋作は自らの性格が「疎にして狂」だから航海術には向かないとして、軍艦操練所への入学を辞めてしまう。

そこで、萩へ戻るに際して藩の許可を得て、北関東から長野、北陸を経て帰国した時に書いたのが『試撃行日譜』。佐久間象山といった知識人に会うのが目的だったが、柳生新陰流の免許皆伝だった晋作の武者修行の旅でもあった。そこで「試撃行」と題したが、当時は道場破りの浪人が多かったらしく、北関東では立ち会いをことごとく断られている。

『遊清五録』では、幕府貿易視察団に加わって滞在した上海の街がイギリス軍によって守られていることに恐怖を再認識し、尊皇攘夷を実現しなければならないと書いている。日本も清と同じように列強の支配下に陥る危険を実感したのだ。これが、庶民も動員した奇兵隊の構想に結びつく。武士だけでは列強に対抗できないからだ。

奇兵隊を組織した後に、京を攻めようとしていた来島又兵衛の説得に失敗して脱藩すると、晋作は野山獄に投じられた。3か月間の獄中に書かれたのが『投獄文記』である。

奇兵隊の創設以外にも、独断での軍艦購入や四国への逃亡、海軍総督として幕府軍との戦闘指揮などさまざまな活動をした晋作だが、残念ながらそうした時期には日記を書かなかったようだ。

高杉晋作は、結核のため29歳で亡くなっているが、現代の数え方ではわずか27歳8か月だった。死の6か月後の1867年10月に大政が奉還される。

尊皇攘夷を進めながらも、長州藩毛利家の家臣として忠実に生きた高杉晋作の矛盾に満ちた人生は、封建体制を残しながら強引に近代化を進めた明治維新そのものだった、と著者は書いている。

明治維新後に不要となった奇兵隊は解散され、半数の2500名だけが常備軍となった。選別は身分が重視された。民衆は論功行賞もなく排除されたのだ。


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