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『中国共産党の経済政策』柴田聡+長谷川貴弘(講談社現代新書 2184)

中国共産党の経済政策


『中国共産党の経済政策』柴田聡+長谷川貴弘(講談社現代新書 2184)


本書は、財務省官僚と経済学者による中国経済の分析である。主著者の柴田は、4年間の中国勤務を終えて2012年7月から財務省理財局総務課調査室長として帰国し、長谷川は、現在も在中国大使館経済部専門調査員として働いている。

両者は、在中国大使館経済部で2008年から4年にわたって机を並べ、6000ページの及ぶ中国経済レポートを送り続けたという。本書は、そうした2人の分析の成果に基づき、2013年3月に国家主席になる習近平体制下の中国の経済政策を予測している。

【目次】

第1部 国家指導者人事
   第一章 習近平と中国共産党
   第二章 李克強と中国政府人事
第2部 経済政策
   第三章 四兆元の内需拡大策
   第四章 習近平時代の経済政策―量から質へ
   第五章 習近平時代の人民元
第3部 米中逆転と日本
   第六章 米中逆転―中国経済の成長は続く
   第七章 日中経済の今後


中国の経済政策は、著者が「政経一体システム」と名付ける中国共産党のコントロールにその本質があるという。しかも、政策の遂行は法治ではなく人治で行われる。そこで第一章から第三章までは、中国共産党と政府の人事、習近平と李克強について詳しく解説している。

2012年11月の中国共産党第18回党大会で党トップの総書記に就任し、2013年3月の全国人民代表大会(全人代)で国家機構トップの国家主席に就任することが確実の習近平および中国共産党の組織について詳しく説明している。習近平は2007年に開催された第17回党大会では、54歳の若さで9人しかいない中央政治局常務委員に就任して副総理になっており、5年前の時点で将来の「国家主席」が約束されていたことになる。習近平は、中央官僚の2世である「太子党」の一員であるといわれるが、文革時代には下放された経験もある。ちなみに、2012年3月に失脚した薄煕来も太子党であった。

日本の国会議員は2世3世どころか、小泉進次郎のような4世議員までいて、世襲制がすっかり根付いているが、中国の中央官僚における太子党の割合は2割以下らしいので、日本のほうがずっと封建的だ。

序列第2位の李克強は、第17回党大会で52歳の若さで中央政治医局常務委員に就任し、2013年3月には、国務院総理に就任すると見られている。文革後に再開され、英才たちがこぞって受験したため優秀な学生が集まった北京大学で経済学博士号を修めた天下の大秀才と言われる。卒業後、中国共産党の下部組織である共青団(中国共産主義青年団)の書記を務め、河南省や遼寧省のトップを務めて経済振興に成功した。同じく共青団出身の胡錦濤の系列である。

中国には「国家発展改革委員会」という強力な経済官庁がある。5カ年計画を立案している役所だが、資源配分の決定権を持ち、マクロ経済政策を総合調整する権限と重要プロジェクトの許認可権を有している。経済政策の企画、予算調整、産業・エネルギー政策の策定、国家および地方開発プロジェクト計画の策定と事業認可といった経済政策全般の策定・調整機能を果たしているという。日本の内閣府と財務省、経済産業省、国土省の経済・産業政策の策定機能を横断的に有した官庁だ。

リーマン・ショックで世界に金融危機が広がり、各国が有効な打開策を見いだせずにいる中で、中国は短期間で「4兆元の内需拡大策」を打ち出し、見事なV字回復を果たした。中国政府の見事な手腕に賞賛と羨望の声が上がったが、本書によれば、「国家発展改革委員会」が短期間で策定し、遂行したためであるという。しかし、他の国に同様の官庁がないというためではなく、中国以外の国では実行不可能な政策であった。

まず、中国人民銀行は度重なる貸出金利と預金準備率の引き下げを行ったが、他国では中央銀行が政府の完全なコントール下にはないためだ。さらに、株式取引に関する税率を引き下げたが、税制改革は他国では議会による承認が必要であり、3週間といった短期間で実行することはできないからだ。

中国の経済政策は、習近平になっても大きな変化はないだろうという。1982年の第12回党大会で鄧小平が提案した社会主義体制を堅持しつつ現代化を図るという政策だ。1992年の第14回党大会で江沢民は、社会主義体制を維持しつつ市場経済への移行を進めるとする「社会主義市場主義」を提案した。市場経済体制に移行しつつも、政治的には依然として共産党独裁による社会主義体制を堅持するというものだ。

資本主義経済では、政府は所得の再配分や経済の安定、経済成長の促進といった限定的な役割だが、中国では民衆の不満爆発による政治体制の転換を回避しすることが経済政策の目的であり、そのために経済全体を強力にコントロールしているのだ。

そして今後は、外需依存の経済成長から消費振興策による内需拡大へと向かうという。本書では、内需拡大によって習近平政権が続く10年以内に、中国の経済規模が米を抜くだろうと予測している。

中国は易姓革命の国である。13億人の国民を8000万人わずか6%の共産党員が支配しているのだから、民を飢えさせたり怒りを買えば、政権を追われてしまう。しかし、所得格差が広がりつつも、エリート層と農村の双方の所得の上昇が続く限り、共産党独裁政権は揺るがないと見ている。


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