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『入門 朱子学と陽明学』小倉紀蔵(ちくま新書 990)

入門 朱子学と陽明学


『入門 朱子学と陽明学』小倉紀蔵(ちくま新書 990)


儒教は、西欧を手本とする近代化の障害となる「旧弊な思想」として明治維新後に弾圧・打倒されたが、それは誤読であり曲解だと著者は言う。

本書は、儒教的な「宇宙認識」を哲学化した朱子学と、朱子学を継承しつつ「心」の問題を克服しようとした陽明学の言説的な解説にとどまらず、その世界観までを伝えようという意欲的な入門書である。

【目次】

第一章 儒教の「宇宙快感」と「宇宙認識」
第二章 まず儒教を理解する
第三章 朱子学の玄関口
第四章 朱子学の核心―「理」とは何か
第五章 陽明学の核心―「ひとつになること」
第六章 「空虚」をめぐる思索
第七章 鬼神と社会
第八章 気と生命


第1章と第2章では、儒教の基礎を解説している。著者は儒教を次のように定義している。

【定義A】
儒教とは、血の連続性および超越的な存在(天)との合一感を基本にして、生者と死者を包摂した愛と知と美の共同体を構築する宗教思想であり、かつ、その愛の道徳的エネルギーを外部に拡散する変革運動によって他者への統治を実現し、世界的な文明共同体を成就しようとする政治思想である。

【定義B】
儒教とは、血のつながりを基本にした宗教的な愛と道徳のエネルギーを、血縁以外にも拡大することによって文明的共同体の構築・維持を企図する思想である。

【定義C】
儒教とは血と愛と道徳の関係を美によって統御しようとする変革思想である。

【定義D】
儒教とは血と愛と道徳の思想である。

定義Bがもっともわかりやすい。定義Aはわかりにくいし、定義Cや定義Dでは儒教思想のごく一部しか語っていないからだ。儒教とは、血縁共同体を基本として、愛と道徳によって社会統治を目指す思想だという。道徳は日本人にも馴染みがある概念である。しかし、ここでいう愛とは何か。仁のことである。親子という基本単位の間にある愛を同心円的に周りまで広げてゆくのが人間であり、聖人・君主は天下まで広げることのできる特別な人間であるとする。

孔子は古代中国の周を理想社会とした。しかも、その「文化」を普遍的な「文明」であると意図的に錯視することによって、中華思想を生み出した。同じように、中東の1部族の宗教であるキリスト教は全人類の普遍的な宗教であると偽装し、アメリカ合衆国は「自由」と「民主主義」を全人類の権利であると偽装している。

第三章からは『中庸』や『朱子語類』などを引用しつつ、「理」と「気」といった基本概念を詳しく論じて、朱子学の世界観を解説している。

朱子学は「性即理」であるという。「性」は万物の本性であり、「理」は道徳的な原理のことである。朱子学は「性即理」であり「性=理」としたが、陽明学では「心即理」とした。朱子学では「心」を性と情にわけたが、陽明学はわけない。性と情、理と気、善と悪、内と外をわけないのが陽明学の特徴だという。

「根本はひとつだが、結局はわかれている」とするのが朱子学で、「表面上はわかれているように見えるが、根本はひとつである」とするのが陽明学なのだ。

儒教は、ごく一部のエリート層のための学問であり宗教であったが、朱子学が論じた認識論や哲学は、現代の中国人の言動と著しく乖離しているとしか思えないから、日本人の目には異様に映る。より教条的に朱子学を取り入れた李氏朝鮮では、両班が勤労を蔑み読書三昧と思索こそを信条として生きた。イザベラ・バードは『朝鮮紀行』で、そうした両班の日常を強い批判を込めて報告している。

朝鮮半島ほどではないが、私たち日本人の思考や行動様式には儒教思想が深く染み付いている。

仁義や礼を重んじるのはもちろんだが、日本では政治家にはことさら「徳」を求める。日本の政治家は、政策立案能力や外交手腕、官僚を動かす行政処理能力がいかに高くても、徳に反したスキャンダルな行動をすれば瞬く間に糾弾され、政治生命を断たれることもある。聖人が天命によって国を治めるのが政治だという儒教思想に支配されているからだ。


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