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『バカに民主主義は無理なのか?』長山靖生(光文社新書 623)

バカに民主主義は無理なのか?


『バカに民主主義は無理なのか?』長山靖生(光文社新書 623)


バカとは、私のことであり、あなたのことだ。つまり、著者を含めた私達すべてのことだ。

英語のdemocracyの語源は、ギリシア語の「デモス(民衆)」と「クラティア(支配・権力)」に由来する。そして、古代ギリシアの時代からデモクラシーは衆愚政治に陥る危険性があると指摘されていたという。デモクラシー自体がバカだといわれていたことになる。

本書は、「私達には民主主義は無理なのか?」と問い、混迷を極める日本の政治状況を分析している。

【目次】

第1章 日本人は、いったい政治に何を望んでいるのか?
     ―日本の民主制が危機におちいっている理由
第2章 「自由」と「平等」に、根拠はあるのか?
     ―民主制の歴史と、展開
第3章 日本国憲法、何か問題でも?
第4章 戦後の日本政治は、何を積み残してきたのか?
第5章 バカに民主主義は無理なのか?
     ―輝かしくない日本の未来に向けて


第1章では、日本人が「お上」に依存する傾向があることを指摘している。明治維新を市民革命と呼ぶのは無理があるし、太平洋戦争後に国民が主権を得たのも、「お上」から与えられたにすぎない。日本人は主体的に民主主義を獲得したことはないのだ。

第2章では、古代ギリシアにおける民主制から説き起こして、フランス革命や名誉革命の根拠となったホッブスやロックの社会契約論、ベンサムやミルの功利主義、ノージャックのリバタリアニズムといった社会思想の流れを俯瞰している。

第3章では、日本国憲法が大日本帝国憲法の規定に則り、天皇が裁可し、帝国議会の決議によって成立したことを明らかにしている。「天皇がくれた日本国憲法に、なにか問題でも?」と、押し付け憲法というデマを広める改憲派に疑問を呈している。

そして、第4章では日本の戦後政治を概観してその課題をコンパクトにまとめている。

第5章では、福沢諭吉の「東洋になきものは、有形に於て数理学と、無形に於て独立心と、此二点である」(『文明論之概略』)という指摘を引いて、日本人に欠けている「科学的思考」と「独立心」を論じている。特に、科学的思考に関しては福島第一原子力発電所の惨事を例に専門家と政府の思考停止状態は情緒的対処によってなされたことを指摘している。

日本の一般市民の多くは「自分は善良で無力な小市民で、ただ任せて信じていただけなのに」と思い、何か大惨事に巻き込まれると「騙された」と感じる。私もそうだ。(p.261)

勝てる見込みのない太平洋戦争に突入したのも「軍部の暴走」に騙されたのであり、原発の安全神話を信じたふりをしたのも東京電力に騙されたからだ、と責任転嫁をしたくなる。しかし、中国侵略を「暴支膺懲」と謳う新聞報道にほとんどの日本国民は歓喜し、原発の危険性を訴える声を無視して電気を蕩尽し続けてきた。衆愚だったというほかはない。

「バカが選挙権を持っていいのか」という課題以上に深刻なのは、「バカが政治家をしていいのか」であろう。(p.274)

愚かでずるく卑怯なわれわれの代表が行っている政治は、ひどく愚かでずるく卑怯な可能性がある。だからこそ政治に関わるために示すべきは「服従や忠誠ではなく、支持や参加」であり、政治家を「信じる」のではなく理解するよに努め、確認し続けることが大切だと著者は言う。

なぜか本書では言及していないが、democracyに「民主主義」という訳語を当てたのはなぜだろうか。aristcracyは「貴族制」という訳語になっているから、democracyは「民主制」とすべきだったはずだ。

日本語の民主主義という言葉は、体制の「民主制」と政体の「民主政」、思想としての「民主主義」の3つがないまぜになっている。つまり、日本語の民主主義には「ism」が混じっているが、思想ではなく純粋な制度としての民主制を、われわれ自身が作りだしていかなければならないのだ。


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