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昼食難民の新書生活

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『ドイツ人住職が教える 禅の教え 生きるヒント33』ネルケ無方(朝日新書 363)

禅の教え33



ドイツ人住職が教える 禅の教え 生きるヒント33』ネルケ無方(朝日新書 363)


著者は、兵庫県の山奥にある安泰寺のドイツ人住職。本書は、道元の『正法眼蔵』『典座教訓』『知事清規』などを中心に、「いかに生きるか」というテーマで33の教えを解説している。

【目次】

一章 出会うものすべてが自己
二章 あなた自身を手放す
三章 無常を感じる


迷える者の禅修行』では、ベルリンに生まれた内省的で坐禅に魅せられたドイツ人少年が、日本語を学び安楽寺の住職となるまでが描かれたが、本書では33の教えをその後の結婚生活や子どもの誕生といった著者の日常とともに描かれている。

この数カ月間、本書をトイレに置いて、ある時は毎日、しばらく時間を置いてまた毎日、と何度も何度も読み返した。各項はわずか数ページなのでとても読みやすい。しかし、なかなか読み終えることができないのは、本書が通読するような本ではないからだ。

著者は身の回りの世俗的で卑近な例を挙げながら、道元の教えを通して釈迦の思想に迫っていく。私にとって『正法眼蔵』は、挑むたびに跳ね返され真髄どころか片鱗にすら触れることができない大きな巌のような存在だ。著者はその巌の側面や細部に光を当て、奥底に潜む道元と釈迦の深遠な思想に触れさせてくれるのだ。

帯に書かれている「少欲知足」は、釈迦が沙羅双樹の下で涅槃に入るときに説いた本当の大人(だいにん)になるための8つの条件である「八大人覚」の最初の2つである。

「八大人覚」
少欲(欲が少ないこと)
知足(足るを知ること)
楽寂静(今ここに落ち着くこと・よそ見をしないこと)
不妄念(自分は何をしようとしているのか、ハッキリ念頭に置くこと)
修禅定(自分を坐禅に任せること)
修智恵(大人の自覚を実践に移すこと)
不戯論(空論を止め、現実に生きること)

 
「言葉その2 少欲知足という生き方」(p.16)では、少欲知足は「やせ我慢をしなさい」というマイナス思考ではなく、欲という束縛から解放されれば、「失うものは何もなかった」という気づきが待っている。「これでいい!」とすべてを手放してみたら、仏の手のひらの中にいる自分を再発見できる、と説いている。

日本人には馴染み深い「少欲・知足」にこそ、本当の大人の条件が集約されている、と著者は言う。しかし、あくなき欲望こそが近代文明のエンジンであったことも確かだ。非生産的な求道者だけでは社会は成り立たない。そこで「身の程」や「分」といった、長い歴史の中で我々の思考や行動原理の奥深くに刻まれた生き方が生まれたのだろう。

本書の最後、「言葉その33 無方、それでも空にちらばらない」は、仏典ではなく宮沢賢治の『農業芸術概論綱要』からの引用である。

  「宇宙の微塵となりて無方の空にちらばらう。」(p.203)

寺の倉庫を修理中の事故で重症を負った著者は、自分では死ぬ気はなかったが弟子たちが騒ぐので「それなりに大事かもしれない」と覚悟を決める。その覚悟が「宇宙の微塵となりて無方の空にちらばらう」だった。

「無方」という僧名はここから来たのだろうか。



■ネルケ無方の著書
『迷える者の禅修行―ドイツ人住職が見た日本仏教』
『ただ坐る―生きる自信が湧く 一日15分坐禅』
『日本人に「宗教」は要らない』


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