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昼食難民の新書生活

(新宿・秋葉原・芝浦など各地でのランチと読書)

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『出雲と大和―古代国家の原像をたずねて』村井康彦(岩波新書 1405)

出雲と大和



『出雲と大和―古代国家の原像をたずねて村井康彦(岩波新書 1405)


本書は、岡山県の総社宮で説明板に祭神の名前が大名持命(オオナモチノミコト)と須世理姫命(スセリヒメノミコト)と書かれていることに気づいたところから始まる。

地域の神々を集めた総社なのに、祭神が二柱だけなのか。なぜ大和の神ではなく出雲系の神なのか、ということ長年に気づかなかったことに著者は驚く。スリリングなスタートである。

【目次】

序章 三輪山幻想
第1章 出雲王国論
第2章 邪馬台国の終焉
第3章 大和王権の確立
第4章 出雲国造―その栄光と挫折
終章 再び惣社へ


大和の中心にある三輪山になぜ出雲の神様が祭られているのか?

奈良の三輪山は、ご神体として巨石を祀っていることから、著者は古代の磐座信仰に注目する。出雲族が鉄を求めて山を歩くことが磐座信仰につながったというのだ。そして、大和に磐座信仰があったということは、出雲族がヤマト朝廷につながる神武族よりも先に大和に進出していたことを示しているのだ。

総社宮の祭神である大名持命は、記紀や風土記で大国主神や大己貴命、八千矛神、葦原色許男神などたくさんの異名を持つ出雲系の神である。

著者は、各地の磐座や遺跡を巡り、記紀や『出雲国風土記』、『魏志倭人伝』を読み解きながら大胆な推論を進めていく。

そこから導き出されたのは、磐座信仰を持つ出雲族が製鉄技術で他を圧倒し、大和に進出して邪馬台国を作ったが、南九州に発した神武族の東征に「国譲り」してヤマト王権が誕生した、というものだ。

邪馬台国がヤマト王権とは連続していないことは、記紀に卑弥呼や邪馬台国の記載がないことから明らかである。ヤマト王権が、大きな社を作るという条件で出雲族に「国譲り」をさせたが、屈服させた前政権を正史には記載しないことにしたのは、政権の正当性を天孫降臨神話で彩るにはふさわしくなかったからだ。

帯に書かれている「邪馬台国は出雲勢力が立てたクニである!」だけでなく、出雲族・邪馬台国・ヤマト王権の3者の歴史がつながることになる。

著者は、1930年生まれなので今年で83歳というご高齢である。なのに、各地の磐座を廻る行動力とこの瑞々しい文章は驚きだ。文体の若々しさは、もちろん研究者として今なお衰えない旺盛な好奇心や探究心から生まれているのだ。


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昼食時は「難民」と化して「新書」を片手に、都内各地を彷徨っています。

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