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昼食難民の新書生活

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『森の力―植物生態学者の理論と実践』宮脇昭(講談社現代新書 2204)

森の力



『森の力―植物生態学者の理論と実践宮脇昭(講談社現代新書 2204)


著者は潜在植生学の研究者であり、60年にわたって日本だけでなく世界各地の植生を調べ、それぞれの土地に本来生えていた樹木を“宮脇方式”と呼ばれる植樹法で4000万本も植林した人。

本書は、著者の自伝的エッセイであり、研究生活のスタートから現在までを語りながら、鎮守の森の重要性を説くとともに、その理論的裏付けである“潜在自然植生”や“宮脇方式”についてもわかりやすく解説している。

【目次】

プロローグ 三〇年後の「ふるさとの森」に入ってみよう
第1章 原点の森
第2章 始まりは雑草から
第3章 日本の森の真実
第4章 木を植える
第5章 “宮脇方式”
第6章 「天敵」と呼ばれた男
第7章 いのちと森
第8章 自然の掟
エピローグ タブノキから眺める人間社会


スギやヒノキの単純植林による弊害が叫ばれて久しい。第二次大戦で燃えた住宅の復興に大量の木材が必要だったために、戦後の国策としてスギやヒノキを大量に植林したためだが、日本の山林のほとんどはタブノキやブナといった照葉樹林が生える地域であり、そこにスギやヒノキを植林されてしまった。それが環境保全力を失わせているのだ。

多層群落の森は、芝生のように一種類の植物だけを植えた単層群落に比べ、緑の表面積が三〇倍もあるため、防音、防塵、水質浄化、大気浄化、水源涵養、カーボン(炭素)吸収固定などの環境保全機能に加え、防風、防潮、斜面保全などの多様な災害防止機能も併せ持っています。(p.19)

本書によれば、植生には3種類ある。

1.原植生(原始自然植生=人間が影響を加える直前までの植生)
2.現存植生(人間によって変えられてしまった後の植生)
3.潜在自然植生(人間が手をかけなくなった場合に生きる植生)

現存植生に対して人間活動の影響がすべて停止しても、長い間の人間の活動によって立地や環境が変えられている可能性があるため、すぐに原植生は再現されない。

人間の影響をすべて停止した場合に、その土地の自然環境総和が、どのような緑の姿を支える潜在的な能力を持っているかを理論的に考察するのが潜在自然植生である。(p.57)

日本は国土面積の3分の2が森林であるが、著者によればその多くは数百年にわたって人間の影響を受けているという。ところが、人里離れた山林ではなく、市街地にそれぞれの地域の原植生に近い植生が残されている。それが鎮守の森であり、世界でも唯一の存在だという。

東日本大震災の復興にも著者は積極的に提言を行っている。海岸に300キロの長さで有害でない瓦礫と土を混ぜた盛り土を作り、潜在自然植生に適合した植林を行って、防災に役立てるとともに瓦礫を処理するというものだ。住宅廃材やコンクリート片を盛り土に加えることで、樹木の根に十分な酸素を供給し、高い成長が望めるらしい。

研究一筋の著者だが、あまりに身勝手な行動に呆れさせられる。妻が大分の実家で赤ん坊を生んだ時にも、沖縄からの移動中に一晩だけ立ち寄っただけで、その1か月後にはドイツに留学してしまう。その後も、子供の運動会や父兄参観等の行事には一切出たことがないという。また、妻が実家から送られてきた新しい着物を持って質屋通いをしていたことを、評伝作家に教えられるまで知らなかったという。夫失格者・父親失格者として糾弾されるような生き方である。

また、著者の理論に反対する勢力や現象、著者の教えを守らなかった人物に対する舌鋒の激しさに原理主義的で偏狭な人柄が現れている。

しかし、こうしたある種の“狂気”こそが、わが国に潜在植生学を導入し、根付かせることになったのだ。


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