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『漢字雑談』高島俊男(講談社現代新書 2200)

漢字雑談


『漢字雑談』高島俊男(講談社現代新書 2200)


本書は、講談社のPR誌『本』に現在も連載中のエッセイのうち、2010年10月号から2012年11月号までの31本をまとめたもの。

エッセイと書いたが、もちろん単なる身辺雑記の随想ではなく、日本における漢字の受容とその後の時代的な変化について詳しく解説している。「漢字について雑談」したもの、と書いていて口述筆記なのかもしれないが、本書は漢字と日本語について著者が抱いた疑問や読者からの質問に、膨大な知識と綿密な調査で答えている。

【目次】

1 我慢して商売
   我慢して商売
   人事を尽して天命を待つ
   営養・栄養
   「戻る」の由来
   光采配
   腕ぶす得意舞台
   私は屈さない
2 リクツについてリクツをこねる
   リクツについてリクツをこねる
   古く中国から入った日本語
   オニの由来、ほか
   震災後の言葉
   篇と編その他
   改定常用漢字表の愚
3 英語が入ってきた
   英語が入ってきた
   英語・中国語・日本語
   明治初頭のベストセラー
   『西国立志編』の訳語
   行蔵は我に存す「拉」の字いろいろ
   「調査」の由来
   形声字のはなし
4 脅迫状三通
   脅迫状三通
   日本は識字率世界一?
   成語のはなし
   成語のはなし・つづき
   微言大義その他
   敬語と訓読体
   音節の離し
   歌の漢語音・漢語
   「自然」の不思議
   甲板と納戸


一回一回読みきりなので、どこからでもお読みください、とあって連載順にまとめたようだが、1本7ページ半のコラムはどれもあっと驚くような知見に満ちている。

漢字の用法などについて疑問を抱くと、誰でもするように著者は辞典や辞書にあたるのだが、その調べ方が徹底している。

『広辞苑』(岩波書店)や『日本語大辞典』(小学館)、諸橋『漢和大辞典』(大修館)といった辞典は、長い年月と叡智を集めて編纂されたものであり、威光を放っている。われわれはこうした辞典に書かれていることに何の疑問も抱かずに100%信用している。

ところが、著者にかかればこうした辞典ですら単なる吟味の対象に過ぎない。明らかな間違いや誤植はもちろんだが、不十分な語句説明まで厳しく指摘している。

本書で著者が何度も書いているように、漢字は中国語を視覚化した文字で「一語一音一字」が原則で、中国人にとってはわかりやすく明快な文字体系だが、全く異なる言語である日本語で使用するにはさまざまな不都合が生じる。かといって、ひらがな表記やローマ字表記では効率が悪いだけでなく同音異義語が多すぎるし、すでにわれわれの思考は和語ではなく漢語でまとめられるのが普通になっていて、和語だけでは抽象的な思考は不可能だ。なんとか折り合いをつけて漢字を使い続けるしかない。

そこで、著者のような漢語と日本語のエキスパートの知恵が必要になる。

それにしても、著者のような碩学が長らく在野のままでエッセイを執筆しているというのは、われわれ読者にとっては幸福だが、この国の中国文学研究の分野では極めて大きな損失だったのではないか。


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