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『現代オカルトの源流―霊性進化論の光と影』太田俊寛(ちくま新書 1022)

現代オカルトの源流 

『現代オカルトの源流―霊性進化論の光と影太田俊寛(ちくま新書 1022)


「オウム真理教」や「幸福の科学」は、ドイツ系ロシア人ブラヴァツキー夫人の「神智学」の影響を受けているという。

本書は、神智学の思想誕生から、現代オカルティズムに与えた影響を詳しく解説している。

【目次】

第1章 神智学の展開
  神智学の秘密教義—ブラヴァツキー夫人
  大師のハイアラーキー—チャールズ・リードビーター
  キリストとアーリマンの相克—ルドルフ・シュタイナー
  神人としてのアーリア人種—アリオゾフィ
第2章 米英のポップ・オカルティズム
  輪廻転生と超古代史—エドガー・ケイシー
  UFOと宇宙の哲学—ジョージ・アダムスキー
  マヤ暦が示す二〇一二年の終末—ホゼ・アグエイアス
  爬虫類人陰謀論—デーヴィッド・アイク
第3章 日本の新宗教
  日本シャンバラ化計画—オウム真理教
  九次元霊エル・カンターレの降臨—幸福の科学


著者は、「人間」が輪廻転生を繰り返しながら霊性のレベルを向上させて「神人」という神的存在に近づき、それができない者は「獣人」へと堕落する、とする考え方を「霊性進化論」と名付けている。それを体系化したのがブラヴァツキーである。

ブラヴァツキーは、しばしば精霊と会話をする夢見がちな少女だったが、17歳の時に20歳以上年長の夫と結婚すると情緒不安定となり、3か月後には家を飛び出して放浪生活に入った。その後、著名な霊能者の助手を務め、フリーメイソンの組織に接触したり、さまざまな魔術や秘術の教義を学んだという。やがてニューヨークに渡り、当時流行っていた心霊主義に触れるうちに、彼女はチベットで大師の指導を受けたと自称するようになり、やがて「神智学」を創設する。

「神智学」における霊性進化論の中心要素を著者は次のようにまとめている。

(1)霊性進化:人間の本質は霊体にあり、それを進化させるのが人生の目的である。
(2)輪廻転生:人間は、地上界への転生を繰り返して霊性を進化させる。地上での行いは「カルマ」として蓄積し、死後のあり方を決定する。
(3)誇大的歴史観:個人の歴史は、天体・人種・文明等の歴史全体と相関関係を持つ。
(4)人間神化/動物化:人間は霊的な成長を遂げた結果として神のような存在に進化しうる。しかし、物質的快楽に耽る者は動物的存在に退化する。
(5)秘密結社の支配:人類の進化全体は、大師・大霊・天使などと呼ばれる高級霊が結社を形成して管理・統括している。その働きを妨害する低級霊も秘密結社を組織している。
(6)霊的階層化:人間・文明・人種は、霊格の高さに応じて階層化されている。神や天使の正体は高級霊であり、悪魔や動物霊は低級霊である。
(7)霊的交信:高級霊は、宇宙の構造や人類の運命などあらゆる真実を知悉しており、霊媒となる人間にメッセージを送る。
(8)秘教的伝統・メタ宗教:霊性進化に関する真理は、諸宗教に断片的な形で受け継がれている。

1859年11月24日に出版されたダーウィンの『種の起源』は、西欧諸国の宗教・思想に革命的変革を強いるものだった。人間が動物から進化した、というのは、神が人間を作ったとするキリスト教の教えを完全に否定するものだったからだ。

「人間の霊性が進化する」という思想は、ダーウィンの『種の起源』が発表された以降に誕生している。キリスト教は、天文学の発展によって地球が宇宙の中心に存在するのではなく無数に存在する星の1つにすぎないことが証明され、さらに「人間」は神が創造したのではなく生物の進化によって現在の姿になったとされ、信仰上の危機を迎えた。それを克服するために生み出されたのが、霊も進化するという思想だった。

ブラヴァツキー、オルコット、リードビーターといった初期の神智学の代表者たちは、その多くが何らかの仕方でフリーメイソンの組織と接触しており、ある側面において神智学協会は、「神秘主義的フリーメイソン」の一種であったと見ることもできるだろう。(p.61)

霊性進化論は、ブラヴァツキー以降にはチャールズ・リードビーターやルドルフ・シュタイナーに引き継がれ、やがてナチスのアーリアン学説へとつながっていく。

ナチズムにおける民族的運動が、通常の近代的ナショナリズムの範疇を遥かに超える暴挙に結びついた原因の一つとして、霊性進化論に基づく特異な世界観からの隠然たる影響があった。(p.104)

第二次大戦後の冷戦化には、アダムスキー型UFOで有名なジョージ・アダムキーによってUFOに乗った宇宙人の来訪という新たなストーリーが語られるが、彼の思想も霊性進化論の一変種であった。

オウム真理教が地下鉄サリン事件によって「獣人」を殲滅し「神人」による新しい国家を創造しようとした荒唐無稽な妄想は、オウム真理教のオリジナルではなく「霊性進化論」に基づいているという。「幸福の科学」も、神智学とスピリチュアリズム、伝統仏教などさまざまな宗教を折衷して高橋信次が起こした「GLA」を、大川隆法が学んでさらにさまざまな宗教的エピソードをまぶして作り上げたものだ。

最後に著者は、霊性進化論の「負」の側面を3つ指摘している。「霊的エリート主義の形成」「被害妄想の昂進」「偽史の膨張」である。

オカルティズムに限らず宗教の危険性は選民思想にあると思う。選ばれた人間のみが救われるとする教えは、実は数少ないエリートのための教えではない。むしろ才能を生かせず不遇にあり、差別され、現状に不満のある者に希望の光を与える仕組みだ。輪廻転生思想と融合し、現状は幸福に包まれている者も来世には終末の後には不幸のどん底に転落し、現状は不幸の私が選ばれて幸福を享受するのだ、と教えているからだ。

宗教団体は、社会から批判を受けると闇の勢力から攻撃を受けていると主張する。組織の靭帯を強化するには敵の存在が不可欠になると同時に陰謀論に飛びつく。

そして、「霊魂は死後も存在して転生を繰り返す」とする霊性進化論は浅薄な宇宙論やアトランティック大陸などの超古代文明論へと結びつき、光の勢力と闇の勢力による最終戦争論やハルマゲドンといった妄想へと発展するのだ。


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