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『炭水化物が人類を滅ぼす―糖質制限からみた生命の科学』夏井睦(光文社新書 663)

炭水化物が人類を滅ぼす


『炭水化物が人類を滅ぼす―糖質制限からみた生命の科学夏井睦(光文社新書 663)


本書は、糖質制限食によって半年で11キロの減量に成功して高血圧を克服した著者が、その体験の理論的解説をしているだけでなく、地球における生命の誕生や人類の歴史にまで踏み込んでいる。

著者は、当ブロクで以前紹介した『傷はぜったいに消毒するな』で、傷を消毒しない/乾燥させない「湿潤療法」を提唱し、医学の常識を覆した内科医。

著者が創始した傷の湿潤療法は、傷や火傷を消毒せず乾燥を防ぐことで、痛みが少なく治癒が早く傷跡が残りにくい治療法で、「傷は消毒・乾燥する」という常識に真っ向から反する。まだ多くの医療機関に取り入れられているわけではないが、すでに専用のプラスターも販売されていて徐々に広がりつつあるようだ。

【目次】

1 やってみてわかった糖質制限の威力
2 糖質制限の基礎知識
3 糖質制限にかかわるさまざまな問題
4 糖質セイゲニスト、かく語りき
5 糖質制限すると見えてくるもの
6 浮かび上がる「食物のカロリー数」をめぐる諸問題
7 ブドウ糖から見えてくる生命体の進化と諸相
8 糖質から見た農耕の起源


著者は糖質制限を単身赴任中に始めたという。そのころの著者の食事は次のようなものだった。

 朝食:オールブランなどのシリアルと牛乳
 昼食:病院の売店で買った弁当
 夕食:居酒屋で野菜炒めと焼き魚+焼酎
 晩酌:つまみ無しで日本酒、焼酎、ウイスキー

著者は、たまたま糖質制限食ブームの火付け役となった江部康二氏(京都・高雄病院理事長)の紹介記事を読んで、昼食の弁当のご飯を半分残し→3分の2残しと減らし、日本酒を飲むのを止めたところ、2週間後には「痩せたね」と言われるようになり、半年後には11キロの減量に成功して医学部卒業時と同じ体型になったという。

しかも、著者は50歳前後には150/100mmHgという高血圧患者で、中性脂肪とLDLコレステロールも高い高血圧症+高脂血症患者だったが、糖質制限開始から5か月後には124/82mmHgと血圧が正常値になっただけでなく、中性脂肪とLDLコレステロールの値も正常化していたという。降圧剤も飲まず、運動もしていないにもかかわらずである。

この間、著者のしたことは昼食のご飯を食べなくなったことと、晩酌で日本酒を飲まなくなったことだけだった。

著者の食生活は糖質制限食を採り入れる前から糖質を大量に摂取するものではなく、さらに本格的に初めてからは江部康二氏の推奨するスーパー糖質制限食に近いものだった。

 ◇プチ糖質制限:夕食のみ主食抜き
 ◇スタンダード糖質制限:朝食と夕食のみ主食抜き
 ◇スーパー糖質制限:三食ともに主食抜き
  
本書でショックだったのは、飲料や食物に含まれる糖質を角砂糖の数に置き換える喩えだ。

6枚切り食パン1枚には32グラムの糖質が含まれるので8個分の角砂糖(1個4グラム)に相当するという。トースト2枚で16個の角砂糖に相当する。同じく、うどん1玉は角砂糖14個分。砂糖=糖質だから当然のことだが、糖質の量を角砂糖に置き換えるのは視覚的でわかりやすい。

さらに、著者は食品のカロリーについても疑問を呈している。

栄養学では、タンパク質4キロカロリー、脂質9キロカロリー、炭水化物4キロカロリーということになっているが、このカロリーという概念は食物を燃焼して得られた概算値を元に算出されている。つまり、 カロリーは「食物を空気中で燃やして発生した熱量」から「同量の食物を食べて出た排泄物を燃やして発生した熱量」を引いた値から計算されている。しかし、細胞内で起こる代謝は燃焼とは異なるし、食物に含まれるカロリー以上のエネルギーを食物から得ている動物が多数存在している。人間も経口摂取した食品からだけ栄養を得ているわけはない。腸内細菌との共生関係によってさまざまな栄養が作られているからだ。

必須脂肪酸や必須アミノ酸など脂質とタンパク質は体内で産生できないため摂取する必要があるが、ブドウ糖はタンパク質から「糖新生」という仕組みで産生できるため、摂取しなくても大丈夫なのだ。しかし、WHOや日本の厚労省は、炭水化物・脂質・タンパク質を55〜75%・10〜15%・15〜30%で摂取することを推奨している。ところが、これは砂糖に置き換えれば驚くべき数値なのだ。

成人男性は「1日あたり2400キロカロリー必要」とされるが、WHOや厚労省の推奨する割合の炭水化物量は、ご飯4杯、パン6枚、うどんや蕎麦を3杯ということになる。炭水化物を砂糖にすると330〜450グラムという数値になる。3回に分けると砂糖110〜150グラムということになり、角砂糖で28〜38個という恐ろしい分量になるのだ。

糖質制限は、血糖値を高めるのは糖質だけだから、糖質の摂取を制限すれば生活習慣病の2型糖尿病を抑えることができる、という当たり前の治療法だ。しかし、ブームになるにつれて、糖尿病学会などから激しい批判にさらされている。著者によれば、糖尿病患者を「飯の種」にしている医師や製薬メーカーにとって、誰でも簡単に始められて効果の高い糖質制限は脅威そのものだからだという。

本書の中盤以降は、ブドウ糖代謝や脂質代謝をもとに生命の誕生の謎や農耕による人類の歴史について大胆な仮説を展開している。

炭水化物が「人類を滅ぼす」と大げさなタイトルになったのは、大量の穀物生産のための灌漑農業によって世界中で地下水が枯渇するとともに農地が塩害等で、穀物生産は限界を迎えつつあることを示しているのだ。


(2014-7-19追記)
江部康二氏のブログによれば、医師向け雑誌『日経メディカル』が実施したオンラインアンケートで、20〜70代の医師2263人のうち、「糖質制限」を15.1%が「支持する」と回答し、「どちらかと言えば支持する」と回答した43.2%と合わせると、過半数の医師が「糖質制限」を支持していて、3人に1人は自らも糖質制限を実行していることがわかったという。



(2014-3-5追記)
北里大学糖尿病研究センターから糖質制限食vsカロリー制限食に関する報告が、1月中旬、日本内科学会の英文誌に掲載されたという。12名ずつの2型糖尿病患者に糖質制限食とカロリー制限食を実施したところ、試験開始6カ月後に糖質制限食群でのみ、HbA1cが有意に改善したのである。しかも、改善幅はカロリー制限食群よりも大きかった。中性脂肪値も糖質制限食群でのみ、有意に改善したのだ。(DIAMOND ONLINE『ようやく日本人のエビデンス登場―糖質制限食vsカロリー制限食』)



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糖質制限の関連書籍
『腹いっぱい食べて楽々痩せる「満腹ダイエット」』江部康二
『外食・ズボラ・満腹OKダイエット』桐山秀樹


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