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『脳には妙なクセがある』池谷裕二(扶桑社新書 154)

脳には妙なクセがある


『脳には妙なクセがある』池谷裕二(扶桑社新書 154)


著者は、『海馬』や『進化し過ぎた脳』など脳科学を平易に紹介した著書のある東大准教授の脳研究者。

本書は、最新の脳研究の状況を200を超える論文を紹介しながら、とてもわかりやすく解説している。

本書は、100を超える原稿として雑誌やネット向けに執筆したエッセイを2年がかりでまとめて2012年8月に単行本として出版され、1年4か月後の2013年12月に新書化された。

【目次】

1 脳は妙にIQに左右される—脳が大きい人は頭がいい!?
2 脳は妙に 自分が好き —他人の不幸は蜜の味
3 脳は妙に 信用する —脳はどのように「信頼度」を判定するのか?
4 脳は妙に 運まかせ —「今日はツイテる!」は思い込みではなかった!
5 脳は妙に 知ったかぶる —「○○しておけばよかった」という「後知恵バイアス」とは?
6 脳は妙に ブランドにこだわる —オーラ、ムード、カリスマ…見えざる力に動いてしまう理由
7 脳は妙に 自己満足する —「行きつけの店」しか通わない理由
8 脳は妙に 恋し愛する —「愛の力」で脳の反応もモチベーションも上がる!?
9 脳は妙に ゲームにはまる —ヒトはとりわけ「映像的説明」に弱い生き物である
10 脳は妙に 人目を気にする —なぜか自己犠牲的な行動を取るようにプログラムされている
11 脳は妙に 笑顔を作る ―「まずは形から」で幸福になれる!?
12 脳は妙に フェロモンに惹かれる ―汗で「不安」も「性的メッセージ」も伝わる!?
13 脳は妙に 勉強法にこだわる ―「入力」よりも「出力」を重視!
14 脳は妙に 赤色に魅了される ―相手をひるませ、優位に立つセコい色?
15 脳は妙に 聞き分けがよい ―音楽と空間能力の意外な関係
16 脳は妙に 幸せになる ―歳を取ると、より幸せを感じるようになる!
17 脳は妙に 酒が好き ―「嗜好癖」は本人のあずかり知らぬところで形成されている
18 脳は妙に 食にこだわる ―脳によい食べ物は何か?
19 脳は妙に 議論好き ―「気合い」や「根性」は古臭い大和魂?
20 脳は妙に おしゃべり ―「メタファー(喩え表現)」が会話の主導権を変える
21 脳は妙に 直感する ―脳はなぜか「数値」を直感するのが苦手
22 脳は妙に 不自由が心地よい ―ヒトは自分のことを自分では決して知りえない
23 脳は妙に 眠たがる ―「睡眠の成績」も肝心!
24 脳は妙に オカルトする ―幽体離脱と「俯瞰力」の摩訶不思議な関係
25 脳は妙に 瞑想する ―「夢が叶った」のはどうしてか?
26 脳は妙に 使いまわす ―やり始めるとやる気が出る



すべての章に「脳は妙に」という枕がついているが、すべては人間が示す妙な現象のことである。感覚・感情・行動といった人間の現象は、奇妙に思えたり因果関係を説明するのが難しかったりするが、実はすべては脳にプログラムされているのだ。

数々の実験が紹介されているが、心理学や哲学といった他分野の研究も含まれ、その多くが脳機能局在論の紹介となっている。

MRIの登場で、実験中における脳内の活性化された部位を調べることが可能になった。そのため、「恋愛、自尊心、正義感、意志など、過去の神経科学者たちが手を出せないでいた未知の領域へと研究範囲を広げることを可能にします。これによって、脳研究と心理学や哲学にあった溝は一気に狭まり」 (p.110) 、現在の脳研究はさまざまな異分野が融合されつつあるのだ。

例えば、「前頭前野の「腹外側部」が麻痺すると、自己中心的な人間になってしまう」(p.122)し、「腹内側前頭前野が障害されると、羞恥、同情、罪悪といった社会モラルを作る基本的な感覚が欠如」(p.128)することが明らかになっている。

実にさまざまな脳研究の知見が紹介されるが、著者が「本書のバックボーン」と書いている、第11章と第22章、そして最終章の第26章は面白い。

特に第26章では、メルロ=ポンティの身体論を踏まえて、出入力変換回路としての脳と、身体感覚(入力)および身体運動(出力)の関係性を深く考察していて興味深い。

人間の行動と心理作用には、苦味と嫌悪、痛覚と心痛、眼球運動と暗算など、一見関係のない脳回路が共用されていることが多いという。苦味を感じた時の目や鼻、口を閉じようとする表情は嫌悪と同じ表情筋の動きであり、身体の痛むときに活動する脳部位と心が痛むときに活動する脳部位は同じだという。

嫌悪や心痛は人間の社会性生物として必要になったものであり、そうした心理作用に、生物としてもっていた身体感覚に関する脳回路が流用されているのだ。

つまり、「一見抽象的にも思えるヒトの高度な思考は、身体運動から派生している」(p.328)のであり、「身体運動や身体の感覚が内面化されることによって、高度な機能が生まれた」(p.332)のである。

笑顔に似た表情を作るだけで愉快な気分になるという実験データがあり、楽しいから笑うのではなく、笑顔という表情の出力を通じて愉快という心理状態を脳が生み出しているらしい。

脳幹や小脳、基底核といった進化的に古い旧脳は、身体と深い関係をもっている。これに対して、大脳新皮質は身体とは直接的な連結をほとんどもっていない。旧脳よりも大脳新皮質が肥大化したことで、身体感覚(入力)→脳→身体運動(出力)→身体感覚へのフィードバックという回路が、身体を省略した脳内でのループへと変化したのが、同情心やモラルといった「心」になったというのだ。

脳にとって入力と出力のどちらが重要かと問われれば、著者は「躊躇なく出力と答える」と書いている。感覚ではなく、運動が重要なのだ。脳は、繰り返し入力することではなく、出力することで記憶するようになっているのであり、必要な情報を選択的に記憶するようになっているからだ。


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