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『維新の後始末―明治めちゃくちゃ物語』野口武彦(新潮新書 548)

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『維新の後始末―明治めちゃくちゃ物語野口武彦(新潮新書 548)


本書は、『週刊新潮』に連載していた歴史読み物シリーズの8冊目で、最後の一巻。明治維新直後から西南戦争まで、一般的な歴史書から漏れた逸史を中心に44編を紹介していて面白い。

【目次】

第1部 明治夢幻録
 その一 明治維新は革命か—革命の三条件と三つの謎
 その二 桑と茶—失業と貧窮の首都
 その三 大村益次郎暗殺—破格な登用は命取り
 その四 奇兵隊反乱—民間兵の失業と解体
 その五 浦上四番崩れ―新たな宗教思想の模索
 その六 人力車の時代―没落士族と奉公人の失業
 その七 あぐら鍋―文明開化と肉食ブーム
 その八 絞首刑の採用―近代的な死刑の追求
 その九 海保―ある東北藩士の慷慨
 その十 広沢真臣の暗殺―新政府がおった負債と賠償
 その十一 普仏戦争と日本人―近代日本のモデルとなった国
 その十二 版籍奉還―武士の財産は回収できるか
 その十三 岩倉使節団―西欧社会で見た「近代」の風
 その十四 円の誕生―財政と貨幣制度の一元化
 その十五 尾去沢鉱山事件―巨大化する大蔵省の権限
 その十六 マリア・ルス号事件―万国公法と国際世論のあいだで
 その十七 銀座煉瓦街―公共事業をめぐる利権争い
 その十八 鉄道開設―交通網整備と資金調達の壁
 その十九 徴兵令―国のために血を流すのは誰か
 その二十 山城屋和助憤死事件―大臣の口利きと成金商人
 その二十一 敵討禁止令―武断統治から法治国家への移行
 その二十二 征韓論―東洋的秩序との軋轢 
第2部 明治反乱録
 その一 ざんぎり頭—頭髪は時代を映す
 その二 秩禄処分—職業としての武士を潰すまで
 その三 明治六年政変—外征派と内治派の争い
 その四 東京新繁昌記—活字が描いた新風俗
 その五 地租改正―米から金へと変わった租税制度
 その六 岩倉具視暗殺未遂―反政府勢力の二極化と後遺症
 その七 警視庁創設―行政執行力としての警察
 その八 樺太・千島交換条約―領土帝国主義から国境を守るには
 その九 佐賀の乱―士族反乱の蜂起と鎮圧
 その十 台湾出兵―新政国家初の海外派兵
 その十一 島津久光ごねる―旧幕体制と新中央政府の確執
 その十二 小野組の没落―ある大商人の先見性と没落
 その十三 三井と三菱―財閥という大企業連合の誕生
 その十四 讒謗律―反政府的言論の封殺
 その十五 江華島事件―弱肉強食こそ外交の国是
 その十六 廃刀令―郷愁なき武装解除の受容
 その十七 神風連の乱―新しい時代を拒絶した士族
 その十八 萩の乱―不平士族反乱の連鎖
 その十九 西郷隆盛暗殺計画―文明開化か「第二の維新」か
 その二十 西南戦争―最後にして最大の士族反乱
 その二十一 西郷星―西郷は政敵か英雄か
 その二十二 紀尾井坂の変―明治維新激動期の完結



逸史といってももちろん裏話的な逸話ばかりではない。1つ1つの記事は5ページと短いが、学校では教えられなかった歴史を動かした政治力学の背景が次々と明らかにされている。記事のタイトルの眺めれば、維新直後に実にさまざまな政策決定事項があったことがわかる。

本書によれば、三谷博は『明治維新を考える』で明治維新に関して以下の3つの謎を挙げているという。

①維新で武士身分が無抵抗に「社会的自殺」を遂げたのはなぜか。
②権力転覆を不可避とする「単純・明白な原因」がないのに、幕府が瓦解したのはなぜか。
③明治新政府は「復古」の大義を掲げながら欧化政策を推し進めることに矛盾を感じていないのはなぜか。

著者の解説では、①武士身分は明治最初の10年間は存続したが徐々に活力を抜き取られ、②徳川幕府は危機的状況に統率力を欠いて自ら瓦解し、③明治政府には「復古派」と「文明開化派」が存在し、岩倉使節団の派遣、征韓論、西南戦争をピークとする士族反乱の根底には両派の対立があったが、結局「文明開化派」が勝利した、というものだ。

明治維新は幕府の「開国」に反対する尊皇攘夷・王政復古派によって成し遂げられたが、明治政府は一枚岩などではなかった。薩摩藩主島津久光などは、徳川幕府に代わって自分が将軍になるつもりでいたという。維新直後の明治新政府は「復古派」と「文明開化派」による呉越同舟・同床異夢であり、最終的に勝利した「文明開化派」の手で日本の近代化が進められたのだ。

明治4年、「廃藩置県」を7月に断行した直後の11月に右大臣岩倉具視を正使とする使節団が欧米に向かった。岩倉以下、特命全権副使として参議木戸孝允、大蔵卿大久保利通、工部大輔伊藤博文、外務少輔山口尚芳といった政府メンバーのほか、1等から4等までの外務省書記官、中江兆民、津田梅子、山川捨松などの留学生を含め107名の大使節団だった。当初の目的は条約改正だったが、それが不可能となると西欧の文化吸収へと変わる。

この間、残された大隈重信・西郷隆盛・板垣退助・江藤新平・井上馨らの「留守政府」は、廃藩置県の後始末のほか、徴兵令・学制の発布・地租改正・太陽暦の採用・司法制度の確立など、近代国家の礎となる大改革を断行した。幕藩体制からの改革が必要であったのと同時に、西欧近代国家並みの行政・司法制度やインフラの整備が必要だったわけだ。

本書の最後では、明治11年5月に起こった大久保利通の暗殺を採り上げている。紀尾井坂の変と呼ばれるこの事件は、西南戦争を鎮定し、権力の頂点に上り詰めた大久保を旧加賀藩士の一団が襲ったものだ。明治初年からの10年間で政府内のすさまじい権力闘争と士族の不満を背景に佐賀の乱・神風連の乱・秋月の乱・萩の乱・西南戦争といった内乱・武力抗争は大久保の暗殺を最後に収まり、日本は明治維新の激動期を終えて近代国家への道を突き進むことになる。


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