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昼食難民の新書生活

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『男と女の江戸川柳』小栗清吾(平凡社新書 717)

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『男と女の江戸川柳』小栗清吾(平凡社新書 717)


大人の男と女が一緒にすることといえば、今も昔も変わらない。

江戸時代も儒教思想に縛られていた武士階級はともかく、一般庶民の楽しみといえばセックスだった。そして、江戸時代の川柳は、性をおおらかに謳歌する一方で、人の業として実に冷徹に詠んでいる。

著者は元銀行マンの川柳研究者。本書は、前著『はじめての江戸川柳』『江戸川柳 偉人伝100』に続く第3弾で、江戸時代の川柳から750のエロ川柳を紹介している。

【目次】

第1章 ようこそ、破礼句の世界へ
第2章 男と女の一生1—娘から新婚まで
第3章 男と女の一生2—中年から老年まで
第4章 破礼句のスターたち
第5章 男と女のパラダイス
第6章 おもしろ“裏”偉人伝30
第7章 プロフェッショナルな人たち
第8章 男と女のからだの構造
第9章 俗信と年中行事
第10章 楽しい小道具


安永5年から享和元年(1776〜1801)にかけて刊行され、猥褻だとしてたびたび発禁処分となった『誹風末摘花』を中心に、「破礼句(ばれく)」だけを採り上げている。破礼句とは、「 下(しも)がかったこと。みだらなこと。」を意味する「ばれ」の句。「下がかった」の「下」は下半身のことだから、 破礼句は 下半身を題材にしたエロ川柳のことである。

蛤は初手赤貝は夜中なり

これは冒頭に紹介されている川柳で花婿を詠んだもの。江戸時代の婚礼では、必ず蛤の吸い物が出された。花婿は、婚礼の宴会で蛤を賞味し、夜中は赤貝を賞味する、ということらしい。

誰が広くしたと女房は言い込める

これは閨房での夫婦の会話。

割れているものをお袋危ながり

娘は初体験を済ませているのに、母親は男を近づけないようにしている。

痛いことないと娘を口説くなり
孕まない仕方があると口説くなり

本当か?

茶臼では柄漏りがすると亭主言い

これはかなり猥褻。「茶臼」は女性上位。川柳の世界では、一般女性が嫌がる体位とされていたらしい。「柄漏り」は、雨が傘の柄を伝わること。

出会茶屋危うい首が二つ来る

「出会茶屋」は上野・不忍池界隈にたくさんあったというラブホテルのこと。不義密通で打ち首になりかねない二人も、人目を忍んで利用したという。

驚かさせるのは、すべての破礼句が実にあっけらかんとストレートに性を詠んでいることだ。処女や結婚初夜、夜這い、間男、後家、勃たない老人、体位、口説きの方法、性行為や性器、性技、性具、強精剤、俗信を笑い飛ばしている。もっとたくさん引用したいところだが、あまりに下品な川柳が多いので躊躇われる。

そういえば、数年前に「タモリ倶楽部」で『誹風末摘花』を採り上げた回があった。当然のことながら、あまりに露骨な表現の川柳は紹介されなかった。

破礼句の奔放であからさまに性を詠んだ文学を江戸時代の人々は喜んでいたが、解説がなければ理解できない川柳も多い。謡曲『高砂』や『海土』などを踏まえた「文句取り」や縁語など修辞を駆使した文学表現も少なくないからだ。

『誹風末摘花』は1947年まで発禁処分だったという。江戸時代にも発禁処分になったことはあったが、セックスを罪悪として嫌悪するキリスト教的な近代化の流れで、性を神聖なものとしつつも人間の業として見つめる文学が失われたのだ。

本書は、猥雑で可笑しくも物悲しい性を詠んだ江戸川柳を紹介するなかで、さまざまな江戸の性風俗や庶民の性生活がよくわかるようになっていて面白い。

ただし、ところどころにあからさまに性を描いた『女大楽宝開』( これは良妻賢母の教訓書『女大学宝箱』をもじった性の指南書)のような江戸時代の春画がカットとして入っていて、周りの人が驚くので電車の中などでは決して読まないこと。


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