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『1日で学び直す哲学―常識を打ち破る思考力をつける』幸田純生(光文社新書 657)

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『1日で学び直す哲学―常識を打ち破る思考力をつける幸田純生(光文社新書 657)


本書は、ピタゴラス、ソクラテス、プラトン、アリストテレス、デカルト、カント、ヘーゲル、ハイデッカーと西洋哲学者8人の思想を歴史的発展の流れの中で解説し、「哲学とは何か」という問いに迫っている。著者は本書を「哲学史ではない」と書いているが、歴史的なつながりの中で記述されている。

著者は、広島国際大学准教授の哲学者。

「1日で学び直す」とは1日程度で読了できるページ数という意味らしいが、コンパクトながら1日では学び直せない充実した内容だ。

【目次】

第1章 ソクラテス以前の哲学者たち
     哲学者1 ピタゴラス—思考のラディカリズムのはじまり
     【コラム①】群雄割拠の古代論者たち
第2章 古代哲学を築いた3人
     哲学者2 ソクラテス—哲学のあらたな幕開け
     哲学者3 プラトン—イデア論
     哲学者4 アリストテレス—10のカテゴリー
     【コラム②】中世の哲学
第3章 近現代フランス哲学
     哲学者5 デカルト—疑う姿勢
     【コラム③】社会契約論
     【コラム④】大陸合理論とイギリス経験論
第4章 ドイツ観念論の時代
     哲学者6 カント—感性の形式としての空間と時間
     哲学者7 ヘーゲル—炸裂する存在
     【コラム⑤】フランス革命の衝撃
第5章 20世紀最大の哲学者
     哲学者8 ハイデッガー—存在と時間をめぐる思索
     【コラム⑥】ハイデッカーに影響を与えた哲学者たち
     【コラム⑦】ウィトゲンシュタイン


副題の「常識を打ち破る思考力をつける」とはどういうことか。

著者は、「哲学を学んで、ものの見方を180度ひっくり返す思考を身につける」としている。「哲学は思考のラディカリズム」であり、「物事をその根本から考え抜いていくと、ついには常識を覆すようなものの見方にたどり着いてしまう」からだ。 もちろん、本書を読んだからといって思考力が簡単に身に付くはずはない。 本書で繰り返し書かれているのは、哲学者たちによるそうした常識を根底から覆す思考の大転換の数々なのだ。

本書のユニークなところは、ピタゴラスから初めているところだ。数学者というイメージがあるが、ピタゴラスは禁欲生活と魂の浄化(ムーシケー:musicの語源だが学芸一般を意味する)を目指す秘教教団の教祖的存在だった。ピタゴラス教団は、数学から「演繹的推理こそが学問の理想である」という信念を持ち、「魂の不死」つまり魂と肉体の二元論、感覚を超えた世界に無常の価値を見出すという「価値の逆転」をしていた。

ピタゴラス以降も、哲学と数学は密接な関係があった。それは、

哲学の内部には、数学への憧憬があるのです。これは具体的には、演繹的方法の重視となって現れます。(p.114 )

思考の転換としてピタゴラスの次に挙げているのが、「ソクラテスの死」とその理不尽さを受容さざるを得なかった後継者たち、そして「キリストの死」である。

ソクラテスは、毒殺刑に値するような罪を犯したわけでもなく、裁判の場でその点を弁明すればよかったのに、独りよがりに思える弁明の末に死刑を宣告されてしまう。

一方、キリストはユダヤの神を冒涜したとして、十字架に架けられた。弟子や信者たちは見せしめの刑である十字架にかけられた神、恥辱にまみえた神にするという思考の転換を行った。

確かに十字架はキリスト教を象徴するとして何の疑問も抱かずにいたが、よく考えてみればこれほど奇妙なイコンはない。イスラム教による偶像崇拝への執拗な禁忌が少しだけ分かったような気がする。

本書で繰り返し書かれているのは、哲学者たちはそれまでの常識を180度変えるるような価値の大転換を行ったということだ。つまり、「思考のラディカリズム」を実行した哲学者が人類の叡智こそが、歴史として残っているのだ。


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