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『生命誕生―地球史から読み解く新しい生命像』中沢弘基(講談社現代新書 2262)

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『生命誕生―地球史から読み解く新しい生命像中沢弘基(講談社現代新書 2262)


生命の起源について、これまでRNAワールド説や粘土説、宇宙起源説などさまざまな仮説が出ている。生物進化についても、用不用説や突然変異説、自然選択説など、個々の生物種が特殊な形態に進化する理由が説明されてきた。

しかし、「なぜ、生命が発生して、生物には進化という現象があるのか?」という根源的な命題は解かれていない、と著者はいう。

本書は、「地球エントロピーの減少に応じた地球軽元素の秩序化」という熱力学第二法則からスタートし、隕石衝突で発生による「有機分子ビッグ・バン説」と「生物有機分子の地下深部進化仮説」 で、この難問に答えている。

「太古の海は生命の母」ではないのだ。

【目次】

第1章 ダイナミックに流動する地球
 1−1 無視された大陸移動説
 1−2 大陸移動説の復活
 1−3 プレートテクトニクス、流動する地球
 1−4 プレートテクトニクス、全地球流動
第2章 なぜ生命が発生したのか、なぜ生物は進化するのか?
 2−1 生命の発生や生物の進化は物理の大原則に反する?
 2−2 生命の発生と進化の必然性
第3章 “究極の祖先”とは?—化石の証拠と遺伝子分析
 3−1 最古の“生命の化石”
 3−2 遺伝子で探る“究極の祖先”
 3−3 遺伝子は量子力学の支配する“分子”でなければならない!
第4章 有機分子の起源—従来説と原始地球史概説
 4−1 有機分子の起源、従来説
 4−2 概観:冥王代および太古代の地球冷却史
 4−3 40億〜38億年前頃、“局地的”“一時的”に還元大気が生じた!
 4−4 隕石の海洋衝突による“岩石・鉱物の蒸発”:模擬実験による実証
 4−5 隕石の海洋衝突によるアンモニアの局地的大量生成説
第5章 有機分子の起源とその自然選択
 5−1 有機分子ビッグ・バン説
 5−2 「有機分子ビッグ・バン説」の実験による実験による検証
 5−3 生物有機分子の自然選択
第6章 アミノ酸からタンパク質へ—分子から高分子への進化
 6−1 「太古の海は生命の母」の呪縛を解く
 6−2 生物有機分子の地下深部進化仮説
 6−3 「生物有機分子の地下深部進化仮説」の実験による検証
 6−4 生物有機分子のホモキラリティ(光学活性)、自然選択の結果か?
第7章 分子進化の最終段階—個体、代謝、遺伝の発生
 7−1 プレートテクトニクスの開始と付加体
 7−2 「個体」の成立と小胞融合
 7−3 生命誕生!
 7−4 遺伝子的乗っ取り説とFe−Sワールド説
第8章 生命は地下で発生して、海洋に出て適応放散した!
 8−1 地球軽元素進化系統樹―“根のある”生物進化系統樹
 8−2 生命を生んだ「水の惑星」―地球


地球は46億年前に誕生して以来、内部にある熱を外部に放出し続けている。エントロピーが減少し続けているのだ。

化石の研究によって生物種は「巨大化し特殊化して絶滅する」という「進化の法則」があることがわかっている。進化とは、より多くの分子が、高度な組織の中に固定されて自由度が奪われる歴史なのだ。単細胞生物のバクテリアから多細胞生物へと進化し、巨大化と組織化のプロセスを積み重ねて、ゾウのような巨大な生物やヒトのような高度な知能を持った生物へと進化してきた。

しかし、この生物進化は基本的な物理法則の1つである熱力学第二法則に反している。

宇宙の全体や物質は、大局的にはエントロピーの増大に向かっている。どんな物質も放っておけば無秩序な状態に向かい、周囲の環境と区別がつかなくなっていく。コップの水にインクを垂らせば、一時的には濃淡が生じるが、最終的には水全体が均一に着色されてそれ以上は変化しない。自然現象は、必ず「秩序が崩れて無秩序になるように変化する」という熱力学第二法則に従っている。

生命現象も「崩壊して平衡状態になる」という熱力学第二法則に矛盾している。シュレーディンガーは『生命とは何か』で「生物体は“負のエントロピー”を食べて生きている」と説いた。 動物はエントロピーの小さい他の生物を摂取して、エントロピーの大きな排泄物を排出し、その差額で自分自身のエントロピーを小さく保ち、生命を維持しているからだ。

著者は、生物進化と生命現象は地球の放熱によるエントロピーの減少の結果だとする。

46億年前に微惑星の衝突エネルギーでドロドロに溶けて均質になった地球は、熱の放出にともなって温度が下がり、重い金属元素は核に、軽いアルミニウムやケイ素の鉱物はマントルに、そしてもっとも軽い水素(H)、炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)などの軽元素は水や大気となって地表に濃集する、そういう層構造に“秩序化”したのです。(p.79)

熱の放出が続いて、地球の構造は複雑化し、陸地や海の形状は時代とともに複雑になり、核やマントルの層構造もさらに細分化した。軽元素もエントロピーの減少によって秩序化し、その結果が有機分子の生成であり、生命の発生、さらにはその進化なのである。

生命の発生と生物進化は、地球のエントロピーの減少に応じた、地球軽元素の秩序化(組織化・複雑化)である(p.79)

アメリカの科学者スタンリー・ミラーは、水を沸騰させてメタン・アンモニア・水素からなる原始大気に放電し、タンパク質のもととなるアミノ酸などの有機物を合成することに成功した(ミラーの実験)。

かつては、生命誕生は「ミラーの実験」のようなシナリオだろうと思われていた。しかし、20世紀末の地球物理学の進展で、原始地球にはメタンやアンモニアは存在しなかったことが判明したため、その研究は過去のものとなった。

しかし、著者は「ミラーの実験」のような環境も存在したという。

40億〜38億年前頃に現在の1000倍ほどの頻度で隕石が大量に降り注ぐ「後期重爆撃」の時代があって、秒速10km以上の隕石が、海面に衝突し、隕石と海水、海底岩石・鉱物の蒸発して局地的に還元大気が発生し、アンモニアや有機物質が生成することを実験によって証明したのだ。著者は、これによって大量の有機分子が発生したとする「有機分子ビッグ・バン説」を提唱している。

発生した有機分子の一部は、粘土コロイドにくっついて海底深くに沈み、堆積して高温・高圧化環境で濃縮・脱水・高分子化する。アミノ酸や核酸塩基が重合して、タンパク質の片鱗であるポリペプチドまで脱水重合することも、著者は実験によって証明している。「生物有機分子の地下深部進化仮説」である。

海底の地下で、酵素やRNA/DNAの片鱗にまで進化した生物有機分子は、プレートの移動で熱水による加水分解の危機に遭遇し、鉱物結晶による小胞の「個体」を得たものだけがサバイバルし、熱水脈の中で離合集散しながら共生・融合して代謝機能を獲得し、さらに核酸の片鱗を取り込んでRNA/DNAを獲得して、自己複製機能を備えた。

これが著者の提唱する「生命誕生」のシナリオである。

これは、従来の生物進化系統樹において未解明であった「根」の部分であり、有機分子と生物とのつなぎ目である「生命の起源」の謎を解明する提案である。

かつて、生化学者の大島泰郎氏から「ミラーの実験を超えるブレークスルーがいくつもなければ、生命の起源の謎は解けない」と伺ったことがある。著者の学説は、そのブレークスルーの1つなのではないだろうか。



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