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『日本霊性論』内田樹・釈徹宗(NHK出版新書 442)

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『日本霊性論』内田樹・釈徹宗(NHK出版新書 442)


本書は、2つの集中講義を収録した二部構成になっている。

第一部は内田樹が2012年8月に相愛大学で行った三日間の集中講義「みんなの現代霊性論」、第二部は同年秋に内田が主催する凱風館寺子屋ゼミで釈徹宗が鈴木大拙の『日本的霊性』をテキストにしてに行った集中講義で、それぞれの講義録に加筆したものである。

東日本大震災以降、内田樹は「霊性の賦活が急務である」とし、霊性賦活への道筋として鈴木大拙の『日本的霊性』をしばしば引用したという。実は、内田と釈は『現代霊性論』を上梓しているので、2人は東日本大震災以前から「霊性」に注目していたのだ。

【目次】

第一部 なぜ霊性を呼び覚まさなければならないか(内田樹)
 第一章 先駆的な直感とセンサーの劣化について
  (1)「正しさ」を身体的に確信する
  (2)「シグナル」を感じる力の衰え
  (3)無意識に察知する
  (4)「事後的にわかる」知性
 第二章 人間社会に迫りくるもの
  (1)「心」の発見
  (2)人間集団が生き延びるための四つの柱
  (3)四つの柱が今、攻撃に晒されている
  (4)「内通者」たるものは何か
 第三章 このメッセージは私宛である
  (1)それは善きものか、悪しきものか
  (2)人間本質としての歩行
  (3)空位
第二部 「日本的」霊性と現代のスピリチュアリティ(釈徹宗)
 第一章 大拙の『日本的霊性』を読む
  (1)大拙が考えた「日本的霊性」
  (2)『日本的霊性』から日本の霊性を考える
  (3)人類のスピリチュアリティ
  (4)現代のスピリチュアリティ
 第二章 宗教的人格と霊性
  (1)人はいかにして冷静に目覚めるか
  (2)「妙好人」に見る宗教的人格
  (3)日本的霊性と現代スピリチュアルの違い
 第三章 霊性への道
  (1)日常の中で霊性を研ぎ澄ます
  (2)人間的な領域と非人間的な領域
  (3)自らを問う体系としての宗教
  (4)みんなの霊性論


本書における「霊性」とは、数値化できないものやエビデンスのないことといった、現代社会では「存在しない」ことになっているモノやコトとの境界線を感知する能力のことであり、鈴木大拙が説いた「宗教意識」に近い。

祈りについて、内田はこう書いている。

「聞こえないメッセージを聞き取ろうとする構え」が祈りの基本的な姿勢だと僕は思います。合掌して、センサーの感度を高めている。(p.29)

内田は、人は祈ることで人知を超えた災厄が襲ってくるのを想像するために感受性を高めているのであり、無意識や潜在意識のレベルでさまざまなシグナルを受信しているが、それは「生き延びていくための必須の能力」であり、先駆的な直感であるとしている。

内田は、共同体の4つの柱として「裁き・癒やし・学び・祈り」を挙げている。そして、この4つは市場原理に委ねてはならないとしている。「司法・医療・教育」は制度資本であり、政権が交代するたびに教育や医療のシステムが変わっては困るからだ。そして「祈り」は、「外界から到来するかすかなシグナルを聴き取るセンサー感度を最大化するもの」だという。

現代社会は、そのセンサーが鈍感になっているという。未知のものに対する怖れを失い、非人間的なものの侵入を感知できないようになってしまったのだ。しかし、そうした境界線を監視する人として「歩哨」の役割の重要性だ。そして、「裁き・癒やし・学び・祈り」の領域では、市場原理に左右されない歩哨が見張っていることが大切なのだ。

釈は、「宗教とは人間と非人間との境界線へと歩みをすすめる行為でもあります。仏教の説いている理想はずいぶんと非人間的なんです」と書いている。つまり、仏教は非人間的領域まで歩もうと志向しているのではないかというのだ。

内田の書いていることは脇道のそれた部分も含めて面白いのだが、「霊性」とどう結びつくのかよくわからない部分もある。しかし、第二部で釈が鈴木大拙の『日本的霊性』の講読から始まり、霊性やスピリチュアリティについて俯瞰し、続いて宗教的人格について具体的に紹介し、第三章では内田の第一部を含めて全体を総括してくれているので、読んでいてよくわからなかった部分が一気に明らかにされる。



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