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昼食難民の新書生活

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『日本の風俗嬢』中村淳彦(新潮新書 581)

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『日本の風俗嬢』中村淳彦(新潮新書 581)


日本では、性風俗産業で35万人ほどの女性が働いているという。F1層(20-34歳の女性)の人口は約1000万人なので、28人に1人だからほぼクラスに1人という計算になる。

本書は、利用者向けの情報しか語られない風俗産業について、業態・法律・経営者や働く女性、スカウトへのインタビューなど多角的に調査し、日本の性風俗を包括的に分析した性風俗入門書になっている。

【目次】


第1章 性風俗の現在
  1 風俗嬢と売春婦は別物なのか
  2 誰がいつ逮捕されるのか
  3 日本に性風俗店は何店舗あるのか
  4 現在どのような風俗店が存在するのか
  5 裏風俗とはどんなものか
  6 サービスはどこに行き着いたのか
第2章 ビジネスとしてのデリヘル経営
  1 デリヘルは儲かるのか
  2 暴力団との関係はどうなっているか
  3 どんな客が迷惑か
  4 警察との癒着はあるのか
第3章 激増する一般女性たち
  1 日本に風俗嬢は何人いるのか
  2 女子大生はなぜ風俗嬢を目指すのか
  3 なぜ介護職員は風俗に転職するのか
  4 なぜ「狭き門」になってきたのか
第4章 風俗嬢の資格と収入
  1 主婦はなぜ一線を越えたのか
  2女性たちのレベルはなぜ向上したのか
  3 実際にどのくらい稼げるのか
  4 人材はどう育成されているのか
  5 個人売春はワリにあうか
第5章 スカウト会社とスカウトマン
  1スカウト会社とは何か
  2 スカウトマンは気楽な家業か
第6章 性風俗が「普通の仕事」になる日
  1 性風俗は普通の仕事になるか
  2 風俗嬢の意識の変化をどう見るのか
  3 安心して働ける職場になるのか


本書によれば、風俗店は1999年と2006年の風営法改正によって大きく変わったようだ。

まず、1985年に「風俗営業適正化法(風俗営業等の規則及び業務の適正化等に関する法律)」が施行され、さらに1999年の同法改正で性風俗店の届出が義務となって、デリバリーヘルス等の無店舗型が「合法化」されたことだ。

さらに、2006年に同じく「風営法」が改正され、看板を掲げずマンションの一室などで営業するデリヘルの受付所や待機所も店舗とみなされることになり、さらに賃貸物件だと大家の承諾が必要になったことが、無店舗型増加の一因になったという。そのため、デリヘル等の無店舗型の届出数は、毎年1000〜1500店程度増え続けているという。

著者は、日本にある性風俗店の店舗数を、違法店も含めておおよそ1万3000店と推測している。性的サービスを伴う「性風俗関連特殊営業」の届出は、

 ・店舗型第一号営業:ソープランド
 ・店舗型第二号営業:ファッションヘルス、性感マッサージ、イメクラ、エステ、ピンサロ(のうちの一部)
 ・無店舗型第一号営業:各種デリバリーヘルス、ホテルヘルス

の3種で、2011年の届出状況は

 ・店舗型第一号営業:1246店
 ・店舗型第二号営業:822店
 ・無店舗型第一号営業:17204店

ピンサロや本サロには、本来はキャバレーやキャバクラなどが対象の「風俗営業一号営業」「風俗営業二号営業」として届出たり、無届で違法営業している店が、少なくとも2500店あると推測している。

また、デリヘル等の無店舗型風俗は開業が容易である一方、競争が激しく、実際に営業しているのは半数程度8500店舗と見ている。

以上から、著者は日本の性風俗店の店舗数を「ソープランド1250店+店舗型ヘルス、イメクラなど820店+無店舗型デリバリーヘルスなど8500店+偽装届出・無届店2500店=1万3070店」と計算している。

では、そこで働く風俗嬢は何人くらいいるのか? 必要な在籍女性の数は、店の規模や知名度、人気によってさまざまで、勤務形態も週1日のバイトから週6日の女性までいて、複数店舗に在籍しているケースもあるとしている。小規模零細から人気店まで平均すれば、25〜30人程度と見ている。

各種性風俗総店舗数1万3000店×在籍女性数25〜30人
=32万5000〜39万人

著者はこの推計から、東京23区の人口が900万人で各区の平均が39万人だから、東京都の1つの区と同程度の人数ということになる、としている。

別の例を挙げれば、39万人という数字は高知県の全女性の人口36万8000人と同程度ということになる。さらに言えば、性風俗で働いている女性の多くがF1層(20-34歳の女性)とすると、F1層の人口は女性全体の約16%程度であることを考慮すれば、女性人口が189万5000人の静岡県と同程度ということになる。

風俗嬢になるには、インターネットや雑誌の求人広告、風俗嬢の紹介、スカウト経由の3つのルートがある。

インターネット普及以前は、風俗嬢になるのは派手な表紙の高収入雑誌を購入したり、スカウトに声をかけられて立ち止まったり、風俗嬢の知り合いがいたりする一部の女性に限られていた。ところが、2000年に入るとさまざまな高収入求人サイトが立ち上がり、またそれぞれの性風俗店がホームページで女性たちの求人活動を始めるようになり、これまで性風俗とは縁遠かったはずの多くの一般女性が、それらの情報を日常的に閲覧するようになって、風俗嬢就職の敷居が低くなった。

しかし、簡単に性風俗にアクセスできるようになったために供給過多となり、性風俗も狭き門になっているという。

新宿歌舞伎町でかつてデリヘルを経営した人物によると、求人サイトの応募は1日1〜3人。月に20人ほど面接を行って採用するのは多くて3人。過半数は風俗嬢として耐えうるレベルに達していないので断るらしい。採用率15%という狭き門なのだ。

前著『職業としてのAV女優』にも書かれていたが、性風俗業界も女性を貧困から救うセーフティーネットとして機能しなくなっているのだ。

カラダを売りたくても売れない層が大量に現れたのは、おそらく歴史的に現在が初めてではなかろうか。(p.154)

性風俗店が女性を選ぶポイントは、第一に容姿。面接では顔と体型を中心に胸の大きさ、ヒップ、脚などのパーツを精査される。やる気があるのか、コミュニケーション能力があるかなどの性格や人格は面接の段階では優先順位の下位であり、容姿が基準に達していれば採用される可能性はきわめて高い。

著者が、ベテラン風俗嬢・風俗ライター・デリヘル経営者などの意見を聞いて作成した各種風俗店の採用基準が下記。ごく普通の公立中学校のクラスに女子20人がいるとして、容姿の優れている順番に並んでもらい、9〜11番目が偏差値50というイメージだという。

■2014年版各種性風俗採用の難易度と給与(収入の目安)
偏差値80 単体AV女優(1本40〜100万円)
偏差値72 企画単体AV女優(1日12〜25万円)
偏差値68 高級デリバリーヘルス(60分2万円以上)
偏差値67 高級ソープランド(120分2万5000円以上)
偏差値66 SM女王様(60分2万5000円以上)
偏差値62 企画AV女優(1日3〜8万円程度)
偏差値61 店舗型イメクラ(60分1万円以上)
偏差値60 都市部人気デリヘル(60分1万円以上)
偏差値59 回春マッサージ、M性感(60分1万円以上)
偏差値58 SMクラブM女(60分1万5000円以上)
偏差値57 大阪のちょんの間(10〜20分8000円以上)
偏差値56 都市部ファッションヘルス、デリヘル(40分6000円程度)
偏差値55 大衆ソープランド(60分1万円、120分2万円程度)
偏差値54 韓国デリヘル(60分1万円以上)
偏差値53 都市部人気ピンクサロン(時給2500〜3500円)
偏差値52 格安ソープランド(50分7000円程度)
偏差値51 地方デリヘル(60分8000円程度)
偏差値50 地方ファッションヘルス(40分5000円程度)
偏差値49 本番サロン(30分6000円程度)
偏差値47 都市部格安デリヘル(40分4000円程度)、地方ちょんの間(30分5000円程度)、地方ピンクサロン(時給1800〜2000円)

採用率は、単体AV女優は300〜500人に1人なので0.3〜0.2%、企画単体AV女優およそ3%、偏差値60台は10〜20%、偏差値50台は30〜40%、偏差値40台は60〜70%ということらしい。

風俗嬢は、最も多い層である偏差値50前後やそれ以下の女性では、カラダを売る覚悟をしたからといって高収入は望めない。

性風俗専業でそれなりの生活をするには偏差値55のラインを越えられるかどうかがポイントである。それ以下になると一般の仕事と大差がなくなり、将来の結婚や病気、周囲にバレるなどのリスクを考えるとわざわざ性風俗で働くメリットがない。別の道を探したほうが賢明である。(p.172)

しかし、地方出身の女子大生や介護職員など貧困から性風俗で働く女性が増えているという。ただし、従来のような「借金カタ」ということではなく、ポジティブな生き方の1つとして自ら積極的に選択しているのだ。



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■関連新書
『職業としてのAV女優』中村淳彦(幻冬舎新書 263)



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