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『解離性障害』柴山雅俊(ちくま新書)

解離性障害


『解離性障害-「うしろに誰かいる」の精神病理』柴山雅俊(ちくま新書)

極めて示唆に富んだ内容。統合失調症と解離性人格障害の違いを記述する部分も少なくないが、それほど明確ではない。精神分析そのものがまだ未熟な科学であることの証左なのだろう。

■■以下メモ(必ずしも、抜き書きとは限らない)

p.62
◆夢中自己像視(autoscopy in dreaming)
解離の患者は、夢の中で自分の姿形を離れたところから見ていることが多い。自分が何かしているのを上方から見ていたり、後ろから見ていたり、横から見ていたりする。著者はこれを夢中自己像視と呼ぶ。健常人でこの体験をするのは2割から多くて3割でその頻度は極めて低いが、解離患者は半数以上が幼少期から夢中自己像視を年に数回以上経験している。「驚くべきことに、解離の患者の2、3割はほとんどこの形式の夢であると報告する」「一般人でこの夢中自己像視をしばしば経験している人は解離に通じる能力があると私は思っている。彼女たちはもちろん性的外傷体験や虐待を受けているわけではない。夢見がちで空想傾向のある彼女たちは作文や物語を作るのが好きで芸術的才能があることが多いと私は思っている」

p.65
◆解離の主観的体験
 ①離隔
 ②気配過敏症
 ③対人過敏症
 ④影が見える
 ⑤表象幻視
 ⑥体外離脱体験
 ⑦自分を呼ぶ声が聞こえる
 ⑧思考・表象が湧き出る

これらは必ずしも解離性障害に特有のものではなく、境界性パーソナリティ障害や節食障害、てんかん、パニック障害、気分障害、統合失調症、物質乱用など多くの疾病にみられる。

p.67
◆気配過敏症状
「誰かがいる」という気配をありありと感じること。背後のほかに物陰、部屋の隅、扉の向こう側、隣の部屋、階上へとつながる階段の辺りなど、視野が遮られ見えない領域が多い。トイレや風呂場、部屋のカーテンの裏側や窓の周辺、玄関、玄関の扉の向こうなど住宅の境界も他者の気配を感じやすい。

p.69
◆統合失調症の実体的意識性の特性
 ①実体性の体験
 ②うしろの空間への定位
 ③感覚要素の欠如
 ④主体性への侵害
 ⑤強い実在確信

p.74
◆人影の幻視
窓の周辺、背後空間、家の中の物陰など、周囲空間において視界が途切れる空間に出現する傾向がある。影や人影のほかにも、動物、子ども、妖精、幽霊などさまざまな姿形が外界に見える。(略)人物や動物に加え、幽霊や悪魔、死神など死のニュアンスのある幻視が多い。一般に解離性の人物幻視はナイフや刀などを持っており、誘惑したり、部屋に侵入したり、窓の辺りに姿を見せることが多い。周囲に対する視覚の変容で特徴的なのは、周囲の世界が遠ざかったり、逆に迫ってきたりするといった感覚である。

p.77
◆表象幻視
自分の表象であるという意識を保ちながら、あたかも知覚であるかのように感じる体験。(略)視覚領域、聴覚領域、触覚領域などあらゆる感覚様式において表象が知覚的要素へと引き寄せられる症状である。これは表象が知覚化することであり、たいていの場合、知覚の表象化である離人症状とともにみられる。(略)表象幻視はひとりでぼんやりしているときや、逆に興奮したり、イライラしているときに見られることが多い。体をほとんど動かさない状態、たとえば入眠前や高速道路を車で運転中などにもみられる。

p.79
◆体外離脱体験
たいていの場合、上の方から自分が暴れている姿が見えたとか、自分の体から少し後ろにずれた位置から自分の後頭部が見えたとか、自分が寝ている姿が見えたなど自己像視を伴う。

p.84
◆解離性幻聴
欧米の報告では、解離性同一性障害にみられる幻聴は頭の内部から聞こえるのに対し、統合失調症型幻聴では外部から聞こえるとされるが、必ずしもそうとはいえない。若干内部からの声が多いという程度。解離の患者は声の起源が、頭の中からか外からかという質問に比較的苦労なく答えられるが、統合失調症の患者の場合、このような質問には困惑することが多い。

p.90
◆「存在者としての私」と「眼差す私」
存在者としての私:世界のなかで知覚し行動する私
眼差す私:存在する私を傍観者のように見ている私

離隔は「眼差す私」と「存在者としての私」の分離とその交代の構造として捉えることができる。

p.90
◆離人症性障害
「自分の心的過程あるいは身体から離隔して(detached)、あたかも自分が外部の傍観者であるかのように感じている持続的または反復的な体験」(DSM-Ⅳ)

p.90
◆時間・空間性の病理
●空間的変容症状
   離人・疎隔
   気配過敏症状
   対人過敏症状
   体外離脱症状
   自己像幻視
   転換症状
    ↑
  もうろう状態
    ↓
●時間的変容症状
   健忘
   遁走
   交代人格
   転換症状


p.89
◆解離の症状(空間的変容と時間的変容)
●空間的変容:他者、物、あるいは自己との対象関係の変容。は、離人・疎隔症状、体外離脱症状、自己像幻視、気配過敏症状、対人過敏症状など
●時間的変容:時間的流れにおける意識状態の突然の断裂や交代であり、意識状態を構成している記憶や同一性などの変容である。


p.91
◆存在者としての私
「今・ここ」から逃避できないほどに自らの身体と世界に拘束されており、通常の時間・空間的世界のなかにいる。(略)自分の背後などにうっすらと人の気配や視線を感じる(気配過敏症状)。また人込みのなかで「人が怖い」と感じる(対人過敏症状)。(略)頭の中が考えでいっぱいになると感じたり、知覚や表象を「今・ここ」の自分に対して圧倒的に迫ってくるものとして体験したりする。

p.91
◆眼差す私
身体から遊離し、俯瞰的位置から世界と「存在者としての私」を眼差す。周囲空間のいかなる空間にも位置づけられうるが、身体の後上方に位置づけられることが多い。(略)時間の河が流れるのを、橋の上や川岸に立って、じっと眼差している。

p.93
◆体外型離隔と体内型離隔
体内型離隔:世界から隔絶された空間に閉じ込められた感覚をもつ。自分の体を着ぐる身のように感じ、体の内側から自分を眼差す私がいること。
体外型離隔:眼差す私が体外にあること。身体、時間、空間という衣を脱ぎ落とした魂ように、ジオラマ化した世界を眼差している。


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