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昼食難民の新書生活

(新宿・秋葉原・芝浦など各地でのランチと読書)

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『サブリミナル・インパクト』下條信輔(ちくま新書 757)

サブリミナル・インパクト

『サブリミナル・インパクト』下條信輔(ちくま新書 757)

本書には、最新の認知神経学に関するさまざま知見が書かれている。意識に上らない神経情報処理である「潜在認知」についての研究である。

例えば、2つの顔写真のうち、好きな方を見るのではなく、長く見た方を好きになることが証明された実験について書かれている。

つまり、個人的な感情のはずの好嫌や自由な選択といった行為も、容易に操作することができるのである。

本書によれば、人間は、接触回数が増えればそれだけ好感を抱く「単純接触効果」というおよそ理性があるとは思えない反応を示すという。だからこそ、選挙が近づくと町中に不気味としか思えない笑顔や不自然なポーズの立候補予定者のポスターがあふれ、ひとたび選挙期間になれば宣伝カーは名前を連呼する。批判を受けながらも、政治家たちが名前の連呼を決して止めようとしないのは、票に結び付く実感があるからだろう。

そういえば、本書とは関係ないが、まだオウム真理教が危険なテロ集団だとは世の中に気づかれなかったころ、ある年の東大駒場祭に行くと構内の各所にオウム真理教が貼った数百枚の小さなポスターがあったという。そこに書かれていたのは「本日午後3時、麻原尊師が水中に2時間潜る」といった内容だった。

もちろん、こんな途方もない馬鹿話を信じる者はいない。その証拠に、待ち合わせ場所とされた教室(プールではなかった)に集まったのはほんの数名だったという。そして案の定、麻原彰晃こと松本智津夫は姿を現さなかった。

結局、ポスターを目にした数万人の中で、麻原彰晃が水中に2時間潜るというのはウソだ、ということを確認したのは、たった数人しかいなかった。

つまり、数万人の潜在認知に、オウム真理教は実現できる可能性が0.1%もないマンガのような途方もないことを言い出す団体である、あるいは麻原彰晃は奇跡を起こすことができるのかもしれない、というメッセージだけが残ったのである。もちろん、オウム真理教の狙いはそこにあったのだろう。

100人中100人がポスターを一瞥して「アホか」と思ったとしても、潜在記憶には「麻原彰晃」「2時間潜水」という不気味なメッセージは残る。

本書によれば理性ではなく情動に刷り込まれた潜在記憶は容易には消すことができないらしい。911以降にアメリカ政府が採用したのは、愛国心という情動に訴えて、次々に他国への軍事侵攻を正当化する手法だった。

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