TOP > スポンサー広告 > 『天皇はなぜ生き残ったか』本郷和人(新潮新書 312)TOP > 新書 > 『天皇はなぜ生き残ったか』本郷和人(新潮新書 312)

昼食難民の新書生活

(新宿・秋葉原・芝浦など各地でのランチと読書)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『天皇はなぜ生き残ったか』本郷和人(新潮新書 312)

天皇はなぜ生き残ったか


『天皇はなぜ生き残ったか』本郷和人(新潮新書 312)

著者の本郷和人は東大史料編纂所准教授。本郷は、ある学会で歴史学者が「天皇と将軍というように、権威と権力が分離していた」と何の根拠もなく語ることに強烈な違和感を感じたという。本書では、権威と権力が分離・併存したのは本当か。天皇とは何であったか、天皇の本質は、「天皇の芯」とは何であったか、を考察している。

本書で書いているように、例えば天皇が貧困のために大嘗祭や譲位ができなかったという事実は、“神の国”や“万世一系”といった明治政府の描いたフィクションを信じる人々にとって困ったことかもしれない。しかし、“天皇”という制度が幾たびもの危機を乗り越えて継続してきたことの意味を探ることは、天皇が日本に不可欠なシステムだったことを明らかにすることでもある。

中世から江戸にかけての1000年に及ぶ時代をネグって、古代王権から明治天皇までその権力と権威が継続されているかのごとく語る、明治政府が描いた天皇制のフィクションに対して、本書では中世以降の天皇がいかに不安定な存在であったかその実態が明らかにされる。論考を進めるに当たり著者は、数々の史料を基に「当為」と「実情」という概念を使い、中世以降の天皇が、権力も権威も失っていく有様が詳述している。また、明治以降、建武中興を成就した偉大な王とあがめ奉られている後醍醐天皇ですらも、その実態は倒幕の意志が強いだけで、貴族たちも敬遠する孤立した存在だったことが明らかにされる。

著者がいう「天皇の芯」とは、文化・情報の王として暦(元号)を司り、律令時代から連綿と続く行政官である貴族の長として、文字すら書けない中世・戦国の武士たちにはない情報を持っていることだった。それも、江戸時代に入ると武士たちも教養を身につけ、徳川幕府に編暦作業すら奪われてしまう。

江戸時代に忘れ去られていた天皇がなぜ生き残ったかという疑問は、「むすびに代えて」で少しだけ明らかにされる。幕末の尊皇論は、水戸学によって生まれた。儒学の立場から将軍職を授ける「天皇」を再発見し、尊貴な存在として強調されることとなったのである。

関連記事

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://pasage.blog43.fc2.com/tb.php/346-9f4593f3

 | HOME | 









ブログランキングに参加中です

リンク

お気に入りに追加
このブログをリンクに追加する

最近の記事

にほんブログ村ランキング

ブログ内検索

Loading

カテゴリー


全記事一覧(500件ごと)

カレンダー+月別アーカイブ

ケータイ版URL

QRコード

RSSフィード

プロフィール

Author:pasage
昼食時は「難民」と化して「新書」を片手に、都内各地を彷徨っています。

FC2Ad

Template by たけやん

QLOOKアクセス解析

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。