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昼食難民の新書生活

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『フォト・リテラシー』今橋映子(中公新書)

フォト・リテラシー


『フォト・リテラシー』今橋映子(中公新書)

冒頭から、著者のリテラシーを疑いたくなるような悪文が延々と続く。
例えば序章は、

「今や、あまりにも身近になりすぎた写真――写真そのものについて考える時間が、普段私たちにはどれほどあるだろうか?」

という文章から始まるが、写真が「あまりにも身近になりすぎた」というのはどういう意味なのだろうか。「あまりにも」や「なりすぎた」という激しい表現をしなければならないほど、写真が生活の隅々にまで存在していて煩わしいとでもいうことだろうか。そんな風に感じている人は日本中いや世界中を探しても見つからないだろう。冒頭から「著者はアホじゃないだろうか」という疑念が生じる。

次の文章との接続に使っている「――(2倍ダーシュ)」の意味が不明だ。息継ぎ(読点)として使用したのだろうか。句点や読点ではなく「――」を使った意図はどこにあるのか。読者はこの記号を前にどうすれば良いのか。そもそも「写真」という言葉をわざわざ「――」で接続してまで2度記述しなければならない理由が分らない。同じページで「――」を違う目的にも使っている。「(略)読者はどのように感ずるだろう――(改行)」という使い方だが、この場合は読点ではなく、句点として使っていることになる。

それに「写真そのもの」と書いているが、「そのもの」とは何のことか、「写真」だけで必要十分ではないのか。さらに、写真について考える時間がどれほどあるか、と問われても、「ほとんどない」のが一般的なのは明らかだ。そんな自明のことを敢えて疑問文にするのは何故か。

この悪文を読んで、かつて東大教授だった西部邁が、中沢新一を同僚に招こうと盛んに活動したが、中沢の「悪文」が原因で助教授就任が見送られたことを思い出した(西部は中沢の助教授不採用に抗議して東大教授を辞任)。現在はそれほどひどくはないが、あのころの中沢の文章はひどかった。中沢はダメだったのに、こんな悪文を書く著者が、東大の准教授に就任できたのは何故だろうか。

悪文批判はこれくらいにして内容を紹介すると、まずカルティエ-ブレッソンの有名な写真集『決定的瞬間』がフランス語の原題とは違い、序文も改変されていることが紹介される。しかし、原書と間を措かずに刊行された英語版による改題や序文の改変をカルティエ-ブレッソンが承認していたかどうかの検討はなされていない。小説や映画では、タイトルを直訳するのではなく、改変することは珍しくない。著者も書いているが、のちにカルティエ-ブレッソンが「決定的瞬間」に類する発言をしているのであれば、英語版制作の時点で改題を了承していた可能性もあるだろう。

続いて、1920年代ころからフランスでグラフ誌が刊行され、亡命ユダヤ人写真家たちの活躍が紹介される。なかなか「フォト・リテラシー」に関する記述が始まらない。結局、この本の題名に関する記述は、75ページなので全体のわずか3割未満しかない。これを羊頭狗肉と言わずして何と呼ぼう。

しかも、肝心の「フォト・リテラシー」も、スーザン・ソンダクの著書『他者の苦痛へのまなざし』からの、報道写真家セバスチャン・サルガドへの批判に関する長い引用と紹介程度に終わっている。挙句の果てに、「フォト・リテラシー」は単なる写真読解力のことではない、とまで書いている。撮影者はもちろん写真を見る側も「倫理」が問われるのが「フォト・リテラシー」だそうだ。

「あとがき」には、この本は「科学研究費補助金[基盤研究B 2006-2009年]による研究成果の一部である」、としている。これは税金の無駄遣いではないか。もし無駄遣いではないとしても、この本の印税はどうなっているのか。著者が印税を受け取るのだとしたら、公務員が出張の際に航空機のマイルを個人名で貯めるようなものではないのか。あまりにひどい本だから、こんな細かいことまで気になる。

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