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昼食難民の新書生活

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『傷はぜったいに消毒するな―生態系としての皮膚の科学』夏井睦(光文社新書 411)

傷はぜったいに消毒するな


『傷はぜったいに消毒するな―生態系としての皮膚の科学夏井睦(光文社新書 411)

本書は、傷や火傷の画期的な治療法を生み出した著者による啓蒙書。この治療法を支持する医師は全国にもまだわずかしかいない〈異端の治療法〉だ。

擦り傷や火傷を消毒せずにサランラップで包むだけの湿潤治療については、数年前に偶然、著者のウェブサイト「新しい創傷治療」を覗いて読んだことがあった。

著者が唱える湿潤療法とは、
 (1)傷を消毒しない。消毒液を含む薬剤を治療に使わない。
 (2)創面を乾燥させない。
というもので、従来の擦過創や熱傷に対する治療法とは正反対の治療法である。

菌に感染しないように消毒し、乾燥させてカサブタができやすくするのが従来からの治療法であり、現在も日本のほとんどの医療機関で採用されている治療法だから、著者の主張がなかなか受け入れられないのは当然かもしれない。しかも著者は、医学雑誌への論文投稿というアカデミックな方法ではなく、インターネットで公開するという、学者や臨床家が眉をひそめるような方法で全く新しいこの治療法を公開してきた。

消毒するなというが、化膿してしまったらどうするのか。敗血症予防などの感染症対策について本書では触れられていないが、ウェブサイトの症例を見ると抗生物質を投与しているようだ。

最終の第11章では「思考実験」として、生物進化を皮膚と微生物の共生関係から再構築している。これが面白い。外胚葉生物から、二胚葉生物、三胚葉生物へと進化する過程から、傷が治るシステムを捉え直すことで、これまで解明されてこなかった現象を説明できるとしている。

例えば、皮膚の表皮細胞にはすべての神経伝達物質の受容体が発見されており、表皮細胞にはすべての神経伝達物質の産生能があり、さらに神経伝達物質をヒトの角質欠損部に塗布すると、欠損部の修復が促進されるという。

著者の考えは、神経伝達物質はもともとは創傷治癒物質であったということである。神経伝達物質は、外胚葉損傷シグナル物質だったものが、中枢神経の神経伝達物質に転用されたというのだ。細胞が「破壊された」という情報を受容体に送っていたのが、細胞が「興奮している」という情報を送ることになったということらしい。

傷を消毒しないのは相当に勇気がいるけど、怪我をしたら試してみよう。

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