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『精神科医は信用できるか―「心のかかりつけ医」の見つけ方』和田秀樹(祥伝社新書)

精神科医は信用できるか


『精神科医は信用できるか―「心のかかりつけ医」の見つけ方和田秀樹(祥伝社新書)

著者は、とても勇気と自信のある人なのだろう。本書は、敵をたくさん作ってしまうような率直さに溢れている。

結論から言えば、日本の精神科医の多くは「信用できない」と言いたいようである。日本の精神医療に関して絶望的な記述が続く。

驚いたことに、日本では大学の多くが薬物治療がメインの生物学的精神医学を採用しており、カウンセリングの講座はほとんどないという。精神医学の治療には、薬物治療、カウンセリング、精神分析などがあるはずだが、日本の大学は研究機関として薬物治療の実験場と化しているのである。さらに、製薬会社との癒着によって、アメリカでは重大な副作用が報道されて売り上げが激減した抗うつ薬のアルプラゾラム(商品名:コンスタン)をいまだに投与しているなどの問題も指摘している。

序章では、構造改革を強力に推進した小泉首相の時代には年間の自殺者数が3万人を超え、佐藤首相時代の8年間よりも多くの自殺者を3年短い5年間で出している、と批判している。

しかし、そもそも自殺者が前年の50%も急増したのは小渕恵三内閣だった1998年であり、その後の森内閣・小泉内閣の時代も高止まりをしているにすぎない。1年で自殺者が1万人も増加する異常事態が起こった背景には、1998年から自殺者の集計方法が変更されたなどの可能性を検討する必要があるのではないか。さらに、小泉内閣の構造改革に先立って、橋本内閣で決定したいわゆる金融ビッグバンや、それ以前のバブル崩壊から続いた不況感の蔓延も無視できないのではいか。

著者は、自殺者が増加したのは中高年の「うつ病」患者が増加したためで、それは能力主義の採用と終身雇用制度の廃止によって中間管理職のストレスが増えたためであるとしている。これを小泉内閣の構造改革の影響であるとしているのだが、グローバリズムという名のアメリカン・システムを諸手を上げて歓迎したのは、小泉内閣が最初ではなかったはずだ。デファクト・スタンダードという名のアメリカ標準を盛んに喧伝しながら、あの当時に世界各地で発生していた反グローバリゼーションのうねりをほとんど報道しなかったマスコミにこそ重大な責任があるのではないか。あのころ、新興国や途上国には、アメリカによる経済支配に「NO!」と拒否する人々がたくさんいた。

第1章で、横綱朝青龍がケガを理由に地方巡業を欠席しておきながら、モンゴルでのチャリティ・イベントでサッカーをしたことで相撲協会から処分を受けた際に、友人の医師と協会が診察を依頼した2人の医師が、三者三様の診断名を出したことに対しては、彼らの目的は診断名を決定することではなく、朝青龍を治療することであり、三者ともに「モンゴルでの療養」としていた、と擁護している。その理由として、アメリカの診断基準である「DSM-IV-TR『精神疾患の分類と診断の手引き』米国精神医学会」を採用している医師が少なくないが、WHOの基準である「ICD-10」を採用している医師もおり、日本では統一的な診断基準がないことや、精神病に対する差別や偏見を避けるために「神経衰弱」という診断名が多用されてきたことなどを上げている。

しかし、序章では安倍晋三前首相が所信表明直後に辞任した理由を「うつ病」と決めつけ、差別と偏見をなくすために安倍晋三は「うつ病」であったことを告白すべきだという。相撲取りの病名はどうでもよいが、首相は国民のために病名を明らかにせよと言うのは無理があるだろう。著者は診察すらしていないのだから。

ところで、肝心の精神科医の信用性に関する話題は、第5章の「いい精神科医とダメな精神科医の見分け方」に書かれている。

見分け方として、受診前に医師のプロフィールを調べるように推奨している。出身大学のブランドではなく、どこでどれだけトレーニングをしたかが重要だという。

ほとんどの大学教授が、カウンセリングの臨床経験もなく、薬物治療しかしたことがないのであれば、大学病院を選択するのは危険だ。同じく精神病院も、かつて武見太郎に「牧畜業者」と罵倒されたように、患者を閉じ込めて薬を投与し続けるようなところも少なくないという。

つまり、大学病院や精神病院は当たり外れが大きく、しかも外れの確率が高い。そこで、もっとも当たりの確率が高いのは「総合病院の精神科で10年以上の臨床経験を積んでいる精神科医」ということになる。

また、『「良い精神科医」かどうかを見極める、6つのチェックポイント』として、以下のポイントを挙げている。

(1)初診の診察に時間をかけるか
(2)相性
(3)医者が「社会適応」を考えてくれるか
(4)状態が良くなっているか
(5)家族も医者と話ができるか、患者が良くなっているか
(6)薬の出し方をきちんと説明しているか
 ・投与の予定期間、減薬の方法
 ・薬の作用、副作用
 ・薬に対する質問にきちんと答えるか
 ・薬の種類を増やすときや変更するときに理由を説明したか

さらに、巻末には『「心のかかりつけ医」が見つかる全国優良病院66』として、著者が「まともな病院」と判断した病院を実名で挙げている。しかし、著者の出身大学である東京大学はその中に入っていない。

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