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昼食難民の新書生活

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『なぜ正直者は得をするのか―「損」と「得」のジレンマ』藤井聡(幻冬舎新書 137)

なぜ正直者は得をするのか



『なぜ正直者は得をするのか―「損」と「得」のジレンマ藤井聡(幻冬舎新書 137)

「はじめに」を読んでゲンナリさせられた。著者は〈正直者は得をする〉というナイーブすぎる教訓を真面目に証明しようとしていることがわかったからだ。

1章は、〈人間は「利己主義者」ではない〉という非論理的な暴論からスタートする。人間は誰だって利己的になったり利他的になったりしながら生きているに決まっているじゃないか。

本書では触れていないが、マックス・ウェーバーは『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で、禁欲的で天職として仕事に励む傾向のあるプロテスタントの行動様式が資本主義の発達に欠かせなかったことを明らかにした。単なる拝金主義や利益の追求ではなく、合理的な経済活動を支えた行動様式は、資本主義の発展が遅れたイタリアやスペインのようなカトリック国にはないものだったからだ。

しかし、フォーディズムによって実現した資本主義の果実を貪っているのは、資本主義社会を支えている大多数の〈正直者〉ではなく、利益のみを追求しようとする〈利己主義者〉たちだ。

バブル崩壊以降の日本のマスコミは、市場原理主義や成果主義、グローバリズム、デファクト・スタンダードといったワードを金科玉条のごとく繰り返した。これを企業経営者たちはリストラという美辞の首切り、終身雇用や年功序列を破壊するためのキーワードとして喜々として採用した。

しかし、市場原理主義は911に乗じたドル売りで150億ドル(1兆5000億円!)を稼いだジョージ“売国奴”ソロスが言い出した言葉だった。デファクト・スタンダードはアメリカン・スタンダードの強要でしかなかったし、グローバリズムはアメリカン・システムへの強制参加でしかなかった。

プロテスタントの矜恃を失って単なる拝金主義者に堕したアメリカ人(ソロスは元々ユダヤ教徒だから失うような矜恃は初めから持ち合わせていないだろう)が、資本主儀を変容させてしまったのだ。

ここでまた話は変わるが、〈息を吐くように嘘をつく民族〉と形容される国から来た人に、「日本では、幼いころから何度も『嘘をついてはいけない』と教えられる」と説明したときのことを思い出した。案の定、彼の国では幼い子に「嘘をつくな」ではなく「他人には絶対に負けるな」と教えるのが一般的だという。子供への教育に関する彼我の違いは、そのまま国民性の大きな違いとなっているのは誰でも理解できるところだろう。国を離れても、子供に対する教育は世代を越えて受け継がれて行く。その民族性は定住している国とは全く無関係に国境線を越えていく。

「正直者であれ」と教えられた人間が、「負けるな」と教えられた人間とは、行動様式が異なるのは当たり前だ。

閑話休題。

本書では、〈利己主義者が敗北する原理〉として、互恵不能原理・暴露原理・集団淘汰原理の3つを挙げている。

利己主義者は、他者と助け合うことができないから協力を得られなくなった滅びる、というのが互恵不能原理だそうだ。そして、利己主義者は態度にその低い品性が現れて周囲から疎まれるようになるのが暴露原理だという。

最後の集団淘汰原理はお笑いだ。利己主義者が存在する集団は正直者を道連れに集団ごと淘汰されるから利己主義者は滅びる、という。

6章では、それまでをまとめている(この章だけを読めば時間の無駄にならなかった!)のだが、利己主義者はえてして不幸な人生を歩むのであり、「正直者」として生きていくことこそが、幸福な人生のために非常に重要な要件となっているからだ、という古色蒼然たる〈人生訓〉を読まされた時には思わず「馬鹿!」と叫んだ。

著者は、利己主義者が跋扈し正直者が搾取され続ける状況に対する対処法として〈公的な精神の活力〉を持ち続けることが重要だという。

馬鹿馬鹿しい。


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