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昼食難民の新書生活

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『匂いのエロティシズム』鈴木隆(集英社新書 0129)

匂いのエロティシズム


『匂いのエロティシズム』鈴木隆(集英社新書 0129)


新刊ではなく1992年刊行の本だが、書店で「知的にエロスを愉しむフェア」で並べられていたので、新刊と勘違いして購入したが、思わぬ拾い物だった。

これまでも「匂い」に関する書籍は何冊も読んできたが、迂闊にも本書の刊行には気づかなかった。本書は出色の出来といって良いだろう。もちろん「匂い本」のナンバーワンは、映画にもなったパトリック・ジュースキントの『香水―ある人殺しの物語』だが。

嗅覚が人より優れているらしく、微弱な匂いを嗅ぎ取ってそれを口にしたばかりに「犬!」と罵られたことのある私には、匂いに関する知見に触れることは自らをより深く知るための手がかりとなる。

本書は、香料会社の調香師だった著者が、古今東西の匂いに関する文献を駆使して、数々の見解を展開している。

本書によれば、ある物質が匂うというのは次の3つの段階を通過することで成り立つ(p.120)。

1.その物質が揮発すること
2.嗅細胞にその分子をキャッチするレセプター(受容体)があること
3.嗅細胞が電気信号に変えた匂いの情報を大脳皮質が意識レベルで知覚すること

著者は、脳に直接働きかけるフェロモンからエロスへと進化を遂げる過渡期に匂いが演じた役割を説明するために「エロモン仮説」という冗談のような名前の仮説を提示している。無意識に生殖衝動を突き動かすフェロモンは、視覚を発達させた人間のエロスへと変化する中間の段階で、性的誘因力は強いが人間の意識に訴える匂いの力があったとしている。人間はフェロモンの影響力を失う代わりに、「匂い→発情」というエロスの回路を手にしたと考えているのだ。これがエロモン仮説である。

さらに著者の興味は、使用済みパンティの匂いをかぐために集めている「フェティシスト」やゴム製の衣服やマスクで全身を覆う「ラバリスト」へと広がる。視覚中心の社会からは、変態と見なされ嫌悪されるこうした嗜好の人々に、著者は匂いと性の根源的なつながりを見出していく。

そして、さらに川端康成の『眠れる美女』を採り上げ、眠りと匂いの関係にまで探求は続く。

本書は、匂いとエロティシズムに関して深く迫った良書である。

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