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昼食難民の新書生活

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『邱永漢の「予見力」』玉村豊男(集英社新書 514A)

邱永漢の「予見力」


『邱永漢の「予見力」』玉村豊男(集英社新書 514A)


本書では、若い時分から邱永漢との親交を深めてきた玉村豊男が、「株の神様」「金儲けの神様」と呼ばれ、85歳を迎えてもなお活発な経済活動を行っているその「予見力」に迫っている。

第一章では、インタビューで自らと邱永漢との関係や邱永漢が中国で始めている農業投資の概略を紹介。なぜ中国で、なぜ農業なのかは、13億人をかかえる中国が遠からず食料輸入国になるであろうことから容易に想像できる。

第二章から第四章までは、邱永漢が主催する中国視察団に同行して、穀物飼育による牛肉生産やコーヒー農園、永田農法によるトマト生産の現場などを巡るルポルタージュ。

BSE問題の際に、成長を早めるために牛に肉骨粉を与えていることが明らかとなって問題になった。しかし、それよりずっと早い昭和30年代に、日本では牛の穀物飼育が始められていた。それは、乳牛ホルスタインのオスが出産後すぐに屠殺されるのがかわいそうだという理由からだったという。しかし、利用価値のないオスをなんとか付加価値をつけて利用したいという畜産農家の思いもあったのではないか。ともかく、現在、日本で販売されている食肉の6割は穀物飼料で育てられたホルスタインだということらしい。もともとは霜降り肉を作るために考え出された穀物飼育だが、乳牛のホルスタインに穀物を与えることで、太らせるだけでなく霜降りに近い脂肪をつけて日本人の好みにあった肉を生産することになったわけだ。

邱永漢は、中国で日本人の口に合う霜降り肉の生産をしようと調べたところ、すでに大連で1万頭規模の黒牛生産者が存在することを発見したため、ウイグル地方で乳牛のオスを肉牛にする方法を探っているのだった。穀物飼育による牛肉は、日本を市場とすることを念頭において入るが、生活レベルの向上とともに牛肉の消費が高まるのが各国の趨勢であるため、中国国内向けだけになる可能性もあるという。BSEが発生しているため日本の牛肉は、中国には輸入できない。しかし、中国にも霜降り肉の需要はあるため、黒毛和牛の肉を北海道に運んで魚の腹に仕込み、中国に密輸しようとした中国人がいたという。また、ウイグル地方はイスラム教徒が住む地域であるため、ハラールというイスラム教の作法に則った屠殺・加工が可能になる。それは、13億人を超えるアラブ諸国への輸出が可能になることを意味している。

そして、第六章で再びインタビューで邱永漢の投資活動に迫っている。

それにしても元気な老人である。85歳の今もさまざまな業界の人々を率いて中国を何度も巡り、ビジネスを展開するためのきっかけ作りをしているのだ。その秘訣は、興味を惹いた対象に素早く積極的に動いて情報をつかみ、他人よりも早く事業化することだった。他人よりもずっと早く行動するため、確固としたレールを敷いて進むようなことはしない。だから、周りの人間は何が起ころうとしているのかわからず、取り残されないように後ろを付いていくだけなのである。

少年のように旺盛な好奇心と即断即決の行動力こそが邱永漢の「予見力」を磨き、「金儲けの神様」と呼ばれる経済活動を支えてきたのだ。

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